秋の宮温泉郷
秋田県の最南端に位置し、栗駒山の麓を流れる役内川沿いに温泉が点在する風光明媚な保養地。平安時代の歌人・小野小町の故郷でもあり、奈良時代に発見されたと伝わる、県内最古の温泉地として知られ、江戸時代から湯治の湯として賑わっていた。野趣あふれる露天風呂をもつ「鷹の湯」や武者小路実篤ゆかりの「稲住」、秘湯ムード漂う「湯の岱」などの温泉があり、秋田と宮城を結ぶ国道108号沿いに10軒ほどの旅館とホテルが立つ。それぞれの宿が自噴泉をもち、湯量が豊富で泉質はさまざまだ。日帰り入浴が可能な宿も多く、湯巡りを楽しむのも一興だ。秋の宮温泉郷に宿泊すると、温泉郷内に点在する他の宿の3カ所の風呂に入浴できる十二ひとえ湯めぐりの「湯めぐり帳」も購入できる。
秋の宮温泉郷の情報
所在地:秋田県湯沢市秋ノ宮
泉温:65~94℃
源泉数:40
湯量:不明
飲用:不可
泉質:ナトリウム-塩化物泉、単純温泉、温泉法上の温泉など
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、五十肩、冷え性、慢性消化器病、切り傷、やけど、打ち身、慢性皮ふ病、慢性婦人病、痔疾など
宿泊施設数:7
日帰温泉施設数:1
アクセス:(公共交通)JR横堀駅からタクシーで20~30分。(車)東北道古川ICから国道47号・108号経由65km
玉川温泉
八幡平の秋田県側入口、焼山の麓に湧く国民保養温泉地に指定される人気の温泉地。発見は江戸時代初めと伝えられ、昭和初期から湯治場として利用される。全国でも珍しいPH1.2という強酸性の湯は、高い薬効を誇り、湯治目当ての逗留客が全国から集まる。湯量も非常に多く、毎分9トンは源泉1カ所からの湧出量としては全国一を誇る。また、玉川温泉が発祥の地である名物の岩盤浴(冬期休業)は、微量のラジウム放射線を発する岩盤の上にゴザを敷き横になる湯治方法。玉川温泉自然研究路内で体験可能だ。宿は旅館部と自炊部からなる220室以上を擁する「玉川温泉」がメイン。車で5分の場所に「新玉川温泉」もある。ヒバ造りの大浴場に日帰り入浴も可能(営業時間などは要確認)。
玉川温泉の情報
所在地:秋田県仙北市田沢湖玉川字渋黒沢
泉温:98℃
源泉数:1
湯量:9000リットル/分
飲用:不可
泉質:酸性-含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)-アルミニウム-塩化物泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、五十肩、打ち身、慢性消化器病、切り傷、やけど、慢性皮ふ病、糖尿病、高血圧症、痔疾、慢性婦人病など
宿泊施設数:2
日帰温泉施設数:なし
アクセス:(公共交通)JR田沢湖駅から羽後交通バス八幡平頂上行き(冬期運休)で1時間22分、バス停:玉川温泉下車。(車)東北道鹿角八幡平ICから国道282号・341号経由35km
水沢温泉郷
秋田駒ヶ岳の西麓に広がり、20軒ほどの特色ある宿泊施設が点在する温泉郷。温泉は標高1000mの地点に自然湧出しており、毎分約1000リットルと湯量も豊富だ。温泉が立地する高原の眼下には田沢湖が広がるほか、たざわ湖スキー場などもあり、秋田を代表するウインタースポーツのメッカとして人気がある。夏は駒ヶ岳登山の基地としても利用される。田沢湖を見下ろすように立ち並ぶ宿泊施設からの眺めは申し分なく、乳頭温泉郷への湯巡りの足場としても好適だ。各宿の湯は水沢源泉からの引き湯が中心で、白濁した硫黄泉を浴舎にたたえている。日帰り入浴施設は、「露天風呂 水沢温泉」が人気。スポーツを楽しみながら、周辺の湯巡りを満喫するのもおすすめだ。
水沢温泉郷の情報
所在地:秋田県仙北市田沢湖生保内下高野
泉温:58.6℃
源泉数:2
湯量:1850リットル/分
飲用:不可
泉質:含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉など
効能:筋肉痛、疲労回復、切り傷、やけど、慢性皮ふ病など
宿泊施設数:18
日帰温泉施設数:なし
アクセス:(公共交通)JR田沢湖駅から羽後交通バス乳頭温泉行きで25分、バス停:水沢温泉郷などで下車。(車)東北道盛岡ICから国道46号・341号、県道127号経由45km
大湯温泉
大湯川沿いに自然湧出する温泉で、開湯800年の歴史をもつ。江戸時代には南部藩の保養温泉地として大いに賑わっていたという。豊富な湯量を誇り、のどかな共同浴場が4軒と日帰り温泉施設が点在し、6軒ある温泉旅館も日帰り入浴を受け付けている(営業時間などは要確認)。温泉街の周囲には田園地帯が広がっており、素朴な風情を楽しみながら、湯浴みができる。また、毎月4と9のつく日には開かれる朝市(8~12時、変動あり)は、江戸時代から続いており、地元産の野菜や山菜、果物などを売る人々の威勢のいい声が響く。周辺にはりんご園も多いので、りんご狩りのシーズンには家族連れで賑わう。十和田・八幡平観光の中継地としても好適な温泉だ。
大湯温泉の情報
所在地:秋田県鹿角市十和田大湯
泉温:60~74℃
源泉数:50
湯量:不明
飲用:可
泉質:ナトリウム-塩化物泉、アルカリ性単純温泉など
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、五十肩、打ち身、慢性消化器病、切り傷、やけど、慢性皮ふ病、痔疾、慢性婦人病など
宿泊施設数:6
日帰温泉施設数:7
アクセス:(公共交通)JR十和田南駅から十和田タクシーバス中滝(大湯温泉)行きで17分、バス停:大湯温泉下車。(車)東北道十和田ICから国道103号経由8km
後生掛温泉
開湯300年、昔から「馬で来て足駄で帰る後生掛」といわれるほど効能に定評がある名湯で、「後生掛温泉旅館」が一軒宿。美肌効果が期待できる泥湯、ダイエットにもいい木箱の箱蒸し風呂、マッサージ効果抜群の打たせ湯など、7つの温泉浴が巨大な木造の湯殿で楽しめるのが魅力だ。泉質は白濁した単純硫黄泉で、日帰り入浴も受け付けている(営業時間など要確認)。地熱で床を温め、横になっているだけで湯治効果が期待できるオンドル宿舎もある。また、後生掛温泉から一周40分程度で、火山現象を間近で観察できる後生掛自然研究路も整備されているので、こちらも温泉と合わせて周遊したい。
後生掛温泉の情報
所在地:秋田県鹿角市八幡平後生掛温泉
泉温:88.9℃
源泉数:1
湯量:不明
飲用:不可
泉質:単純硫黄泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、五十肩、打ち身、胃腸病、痔疾、美肌など
宿泊施設数:1
日帰温泉施設数:なし
アクセス:(公共交通)JR田沢湖駅から羽後交通バス玉川行き(冬期運休)で1時間20分、バス停:玉川下車、旅館送迎バス30分(要予約、詳しくは要問合せ)。(車)東北道鹿角八幡平ICから国道282号・341号、県道23号経由35km
乳頭温泉郷
田沢湖の北東に7軒の一軒宿が点在する、素朴でひなびた風情を漂わせた山間の温泉郷で、全国の温泉ファンから憧れの秘湯と称されている。江戸時代から続く古い歴史をもつ「鶴の湯」、原生林に囲まれた「蟹場温泉」、山あいに立つ「黒湯温泉」、4つの源泉が湧く湯量豊富な「孫六温泉」、廃校になった小学校舎を移築した「大釜温泉」、和洋折衷の内装を施した女性好みのモダンな「妙乃湯」、リニューアルされ近代的な設備を誇る「休暇村乳頭温泉郷」など、源泉がすべて異なるため効能や泉質にそれぞれ特徴をもち、はしご湯をすればぜいたくな湯治を体験できる。乳頭温泉郷の宿泊者限定で購入できる「乳頭温泉郷 湯めぐり帖」を利用すれば、すべての温泉に入浴が可能。7湯めぐりの温泉浴は万病に効くと言われている。
乳頭温泉郷の情報
所在地:秋田県仙北市田沢湖生保内字駒ヶ岳
泉温:52~96℃
源泉数:17
湯量:不明
飲用:一部可
泉質:単純温泉、単純硫化水素泉など
効能:筋肉痛、関節痛、疲労回復、五十肩、打ち身、慢性消化器病、高血圧症、切り傷、糖尿病、慢性皮ふ病、慢性婦人病など
宿泊施設数:8
日帰温泉施設数:なし
アクセス:(公共交通)JR田沢湖駅から羽後交通バス乳頭温泉行きで47分、バス停:乳頭温泉などで下車。(車)東北道盛岡ICから国道46号・341号、県道127号・194号経由55km
男鹿温泉
男鹿温泉郷は日本海に突き出した男鹿半島の北部に位置し、男鹿観光の拠点。その起源は大同年間(806~810)、坂上田村麻呂の東征の際に発見されたとの伝承があり、現在は7軒の温泉旅館が立ち並んでいる。温泉は海水の成分に似た塩分を含んでおり、保温・保湿効果が高く、体が温まり「美肌の湯」として人気が高い。男鹿温泉郷の名物は2つ。新鮮な魚介が入った秋田杉の桶に、灼熱した石を投げ入れ一気に煮込む豪快磯料理の決定版「石焼料理」と、奇習ナマハゲ行事と和太鼓を組合わせた「なまはげ太鼓」が有名だ。男鹿温泉での夜の過ごし方の定番は、温泉→食事→なまはげ太鼓。子どもから大人まで、皆で楽しめる温泉郷だ。
男鹿温泉の情報
所在地:秋田県男鹿市北浦
泉温:57℃
源泉数:7
湯量:不明
飲用:不可
泉質:ナトリウム-塩化物泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、五十肩、切り傷、やけど、慢性皮ふ病、打ち身、慢性消化器病、痔疾、慢性婦人病など
宿泊施設数:7
日帰温泉施設数:1
アクセス:(公共交通)JR羽立駅から男鹿市公共路線バス男鹿北線で39分、バス停:男鹿温泉中央などで下車。(車)秋田道昭和男鹿半島ICから国道101号、なまはげライン経由40km
小安峡温泉
皆瀬川の急流が小安岳を侵食してできた景勝地・小安峡を見下ろす山麓のいで湯。皆瀬川と国道398号沿いに温泉街が広がる。開湯は江戸初期のことで、仙台~秋田で農林産物の交易が盛んだった江戸時代には、大勢の湯治客で賑わい、秋田藩主・佐竹氏も訪れたという。創業200年以上の歴史を誇る秋田藩主御用達だった「旅館 多郎兵衛」や貸切風呂が自慢の「湯の宿 元湯くらぶ」、源泉かけ流しの「おやど 鶴峯館」など、11軒の宿泊施設がある。周辺では、東北屈指の渓谷美をはじめ、川岸の岩場から音を立てながら勢いよく熱湯を噴き出す小安峡大噴湯なども見られる。
小安峡温泉の情報
所在地:秋田県湯沢市皆瀬字湯元
泉温:95℃
源泉数:4
湯量:1332リットル/分
飲用:不可
泉質:ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉、アルカリ性単純温泉など
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、五十肩、冷え性、打ち身、慢性消化器病、婦人病、痔疾など
宿泊施設数:13
日帰温泉施設数:3
アクセス:(公共交通)JR湯沢駅から羽後交通バス小安温泉行きで57分、バス停:小湯ノ上、元湯などで下車。(車)湯沢横手道路湯沢ICから国道398号経由30km
山の手温泉
花火大会で有名な大曲の市街地郊外にあるリゾートホテルに湧く自家源泉で、「フォレストリゾート 山の手ホテル」が一軒宿。檜と御影石造りの大浴場があり、ともに外には露天風呂も設けられ、冬は雪見風呂も楽しめる。弱アルカリ性の肌にやさしい温泉がたたえられる。客室は10室で、特別室の和洋室以外は、和室がメイン。料理はダイニングルームで、和洋折衷の懐石料理が味わえる。フランス料理のコースも選択できる。
山の手温泉の情報
所在地:秋田県大仙市大曲西根字仁応治
泉温:53.5℃
源泉数:1
湯量:370リットル/分
飲用:可
泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、打ち身、切り傷、やけど、皮ふ病、慢性婦人病、美肌など
宿泊施設数:1
日帰温泉施設数:なし
アクセス:(公共交通)JR大曲駅から車で15分。(車)秋田道大曲ICから一般道経由3km
湯瀬温泉
肌荒れなどに効能が高い美肌の湯が楽しめる温泉。湯量豊富で、川の瀬からも湯が湧き出していることから「湯瀬」と名付けられた。石川啄木ゆかりの地としても知られ、青春時代に「青垣山を繞らせる 天さかる鹿角の国を忍ぶれば 涙し流る」という歌を詠んだことでも知られる。現在では、紅葉シーズンが特にすばらしい米代川の湯瀬渓谷に沿って、「湯瀬ホテル」や「和心の宿姫の湯」などの近代的な大型ホテルや、小ぢんまりとした旅館が点在している。十和田・八幡平観光の中継地に宿泊するのにも便利だ。
湯瀬温泉の情報
所在地:秋田県鹿角市八幡平湯瀬
泉温:50~63.4℃
源泉数:不明
湯量:不明
飲用:一部可
泉質:アルカリ性単純温泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、五十肩、冷え性、打ち身、慢性消化器病、皮ふ病、痔疾、美肌など
宿泊施設数:4
日帰温泉施設数:1
アクセス:(公共交通)JR湯瀬温泉駅下車。(車)東北道鹿角八幡平ICから国道282号経由10km
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