もてなしの心、縁と出会いへの感謝、「ようこそようこそ」が温かい【石川県 花紫】

石川
シンプルな洗練された雰囲気を醸し出す「花紫」
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公開日:2023.09.18
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更新日:2023.09.18
重厚なアーチ型の石橋・黒谷橋の橋上に立って、その下を流れる清流・大聖寺川を眺める。匂い立つような緑に包まれた渓流の美しさ、澄んだ大気に思わず深呼吸。山中温泉の温泉旅館「花紫」のすぐそばに架かる橋でのことです。 約1300年も前の奈良時代、高僧・行基が発見したという山中温泉。山代、片山津、粟津とともに加賀温泉郷の一つとして知られる古湯です。江戸時代の前期には、『奥の細道』を書いた松尾芭蕉が、その旅でここ山中温泉に1週間以上逗留しています。効能豊かな温泉に加え、日本海にも、名峰・白山にも近く、山海の食材に恵まれた地にある山中温泉では、温泉街を歩けばどこかしっとりとした雰囲気が漂っているのが感じられます。 「花紫」はそんな山中温泉で長くその歴史を紡いで来た老舗の温泉宿です。創業120余年。その年月を経てこのお宿が大切に受け継いできた言葉があります。 「ようこそ ようこそ」。一つ目はおもてなしの心を表し、二つ目はご縁と出会いへの感謝の心を表しているとか。「花紫」を訪れる人々を迎えてくれる言葉は優しさに満ちていますね。
JTB地域ナビゲーター 石川県担当 山﨑 陽子

現代に活きる日本の美と文化、変わらぬもてなしで心豊かに

緑溢れる渓流に面して立つ、日本文化を再発見できる老舗宿
山中温泉の見どころの一つ、四季折々に美しい景観を見せる鶴仙渓。温泉街の東側に流れる大聖寺川のこおろぎ橋から下流の黒谷橋まで、約1kmの渓谷です。「花紫」はその黒谷橋のたもとに佇むお宿です。 「花紫」の始まりは、明治35年(1902)に山中温泉街の中心部に創業した「山田屋」。昭和末期になって「花紫」が開業されました。“心の豊かさは人と人との繋がりによって生まれゆくもの”という想いから、人との出会いに感謝し、寄り添うような心温まるもてなしを心掛けているといいます。さらに、受け継がれて来た日本の工芸美や日本文化の素晴らしさも発信中。日本の様々な魅力をたっぷり感じながら、ゆるゆると癒される心地よさがここにあります。
水引工芸を活かしたムードあるステイダイニング「にほん」
お宿の建物は鶴仙渓に臨んで立つ7階建て。玄関やフロント、ロビー、茶房などは4階フロアに。客室は4階を除く全フロアにあって、2階に大浴殿「春夏秋雪」、3階にステイダイニング「にほん」、7階に露天風呂「ひらひら」があります。2022年夏には、「現代における日本の文化サロン」をコンセプトに、ロビーフロアを改装、茶房やギャラリーなどを新設。2023年3月にはスイートルームがさらに3室誕生し、進化が止まりません。 館内を歩けば、山中漆器や九谷焼などの伝統工芸品に出会い、日本の工芸美や日本文化の奥深さを改めて感じます。そうした工芸美を、現代的でアーティスティックにお宿に取り入れた美意識の高さにも感嘆。花紫ギャラリーでは、伝統工芸作家やアーティストとお宿がコラボ。「現代の和」を感じる陶芸やガラスなどの多彩な作品展を開催しています。

新緑、紅葉、雪景色、四季が溢れる渓流を眺めて過ごす贅沢

外気浴が心地よい天然木のプライベートサウナ付きスイートルーム「春の5」
客室数は全部で26室。全てのお部屋から四季折々の鶴仙渓を眺めることができます。中心となる基本客室は、客室入口に踏み石を配した坪庭付きの日本間です。12.5畳とゆったりとした間取りで、床の間や書院もある数寄屋風の造り。柱や壁などの仕様にも日本建築の美が感じられ、忘れていた和室の良さにたっぷりと包まれます。次の間付きの基本客室もあって、二世帯利用におすすめです。 スイートルームは1階の「春」と2階の「夏」の2フロアに揃っています。2023年3月に誕生したコンフォートスイート「春の5」は広さ143㎡、Jr.スイートルームの「春の3」・「春の4」の2室は広さ約90㎡。いずれも鶴仙渓をすぐ下に望むリビングルームと、シモンズ社製のツインベッドを設置したベッドルーム、小松市の滝ヶ原石を使用した露天風呂が備えられています。「春の5」は天然木のプライベートサウナ付きですよ。
暖炉の炎が心を癒してくれるコンフォートスイート「夏の1」
コンフォートスイート「春の1」と「夏の1」。どちらも広さは約170㎡もあって広々ゆったり。内装に和紙を効果的に使ったバリアフリーの「春の1」には、IHキッチンが付いたリビング、ツインベッドルーム、8畳の副室、そしてミストサウナがある半露天風呂。圧巻なのは、4トンの黒御影石をくり抜いた半露天風呂の湯船。何度でも入りたくなります。 「夏の1」は、IHキッチン付きの暖炉のあるスタイリッシュなリビングが好評です。冬は暖炉に燃え上がる炎の揺らめきや薪のはぜる音に心がほぐれていくようです。副室やツインベッドルームは「春の1」と同じですが、半露天風呂は十和田石と檜を使った湯船。サウナは約50度の低温サウナです。温泉に浸かって、渓流を渡る風を感じ、木々の緑や紅葉を眺めれば思わずため息が出てきます。

一人ひとりに、一人ひとりの心を満たす美味口福の感動を

匠の技が詰ったアラカルト懐石の献立の一例(イメージ)
「花紫」の魅力の一つは料理。人に寄り添うという想いから、好き嫌いや量などを考慮して創り出されたのが、オーダーメイドのような「アラカルト懐石」。まさに「日本で唯一、一人ひとり選べる懐石料理」です。もちろん、料理長おすすめの「旬懐石」や、一品一品の素材にこだわった最上級の「ゆとり本懐石」などもあり、どの料理でも感動必至です。 通常の料理人の2倍の人数が必要というアラカルト懐石は、越前和紙や加賀水引などの伝統工芸が見事に活かされたステイダイニング「にほん」で。旬懐石とゆとり本懐石は組数限定の場合もあるようですが、お部屋での食事もできます。 日本海の新鮮な魚介、加賀平野(金沢平野)の野菜やお米などの豊かな食材、素材本来の美味しさを引き出す匠の技、器には安土桃山時代から続く山中漆器や九谷焼を使っていて、五感で料理を楽しめます。おいしい料理をゆっくりと味わえば、幸福感で満たされますね。
花紫特製「和のアフタヌーンティー」(イメージ)
アラカルト懐石は、チェックイン後に、お部屋に用意された「当日の献立」から好きなメニューを選べるうれしい料理。ポイント制で、「岩もずくと梅貝」15P、「鴨と車麩の治部煮」25P、「白海老と新牛蒡のかき揚げ」15P、「能登牛香り焼き」35Pなど、メニューは約50種類。量より質を、酒の肴中心に、いろいろシェアしてなど、自由にセレクトを。基本コースは合計100Pまで選択自由という優れものです。ポイントの追加や2人以上ならシェアもできます。選ぶのが面倒くさいというなら料理長おすすめコースを選べば、一気に問題解決です。  朝食は、地の恵みと郷土の味、健康も考えた日本の朝ご飯。食べる楽しみがたくさん詰まっていてとっても元気が出て来ます。 因みに、茶室のような雰囲気がある茶房では、石川県産の煎茶や和紅茶、お茶のカクテル・茶酒などを、特別な茶器で楽しめます。花紫特製の和のアフタヌーンティーや夏期限定のかき氷は絶品。

肌に心地いい山中温泉、澄んだ湯に身体も心も大満足

内湯もある風情たっぷりの露天風呂「ひらひら」
ゆったりと温泉に浸かれる「大浴殿 春夏秋雪」
美肌効果があるという山中温泉の源泉は5つ。その源泉を加賀市が集中管理して各宿に配湯しています。源泉温度は約50℃。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉で飲用もできるという上質な温泉です。(花紫のお湯は飲用できません。) 「大浴殿 春夏秋雪」は男・女浴場ともにジャグジー付きの内湯だけですが、シンプルな造りがとても落ち着きます。ゆっくりと浸かった後は、湯上り処で一休みを。15時から18時の間なら、湯上りに花紫名物の冷たい梅ゼリー「爽[さやか]」を出してくれます。冷たくて爽やかな甘味のゼリーが、火照った身体を癒してくれると評判です。 庭園風の露天風呂「ひらひら」は、こぢんまりとした檜造りの内風呂に、自然石の岩組の露天風呂。最上階にあるだけに露天風呂からは周囲の山々や温泉街、鶴仙渓の景観が楽しめ、開放感たっぷりです。
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