戦後世代で最もボリュームの厚い「団塊の世代」が75歳以上となる2025年、後期高齢者(75歳以上)は全人口の約2割に達します。これを「2025年問題」と呼ぶ人もいますが、 同年、医療・介護費は15年度の1.5倍の74兆円に膨らむ見通しです。 少子高齢化が急ピッチで進む日本において、最大の国家サービスとも言える社会保障制度を持続可能なものとするためには、 あらゆる政策資源を投入していく必要があります。スポーツも重要なプレーヤーのひとりです。
日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳(16年度)で、いずれも過去最高を記録しました。女性、男性ともに香港に次いで世界2位です。 問題は男性で約9年、女性で約13年短いといわれる健康寿命との差です。継続的な医療や介護に依存することなく、1年でも長く自立した生活を営みたいと考えるのは私だけではないでしょう。
東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫ってきたのを受け、多くの自治体が健康促進事業に積極的に取り組むようになってきました。
たとえば高知県では<全国初の県と保険者によるインセンティブ事業>と銘打って、昨年9月に「健康パスポート」を発行しました。周知のように高知県には「献杯」「返杯」で知られる独特な飲酒文化があります。これが災いしてか県民医療費は県民所得の26%を占め、
ひとりあたりの県民医療費は65万8000円で全国ワーストを記録しました(14年度)。
こうした現状を打開するために設けられたのが健康パスポート制度です。
20歳以上の県民で検診やスポーツ施設利用、健康イベント参加、献血などの諸条件を一定程度満たせば、
県から交付される仕組みになっています。
特典もあります。パスポートを提示すれば、県が指定するスポーツクラブの入会金やスーパーでの食品購入が割り引かれたり、ポイントが貯まったりするというのです。
この国では19年にラグビーワールドカップ、そして20年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。 ここへきてスポーツを「する・みる・支える」意識の高まりは、これまでになかったものといえるでしょう。 しかし東京オリンピック・パラリンピックが終わっても、私たちはスポーツを通じて健康的で文化的な生活を営む権利を有すると同時に、 持続可能な仕組みづくりを模索する努力を怠ってはなりません。今こそ「ポスト2020」に向けたビジョンが求められています。
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