倉敷の老舗宿で静かに流れる時間を楽しむ
柳の葉が揺れる倉敷川を目の前にして立つ厨子二階造と呼ばれる建物は、江戸時代中期の1744年に建てられた商家だったものだとか。白壁に格子戸のどっしりとした風格ある構えのお宿です。館内に足を踏み入れたとたん、その空間に長い歴史が感じられて思わず声が出るほど。
お部屋はわずか11室ですが、どのお部屋も、釘隠しのある柱や床の間、天井の梁などの造りをそのまま残してきれいに改装されています。陶器や檜の湯船があるお風呂付きのお部屋では、風情を楽しみながらの入浴が旅の疲れを癒してくれるようです。
かつての内蔵を改装した「羽島」と「酒津」のお部屋や、奥座敷であった10畳に9畳の次の間付きの「阿智」の縁側からは、手入れの行き届いたお庭が眺められます。由緒あるお宿の歴史を物語っているようなみごとな枝ぶりの老松は、樹齢400年を超す松だとか。このお宿なら、と、素直に納得してしまいます。
料理長厳選の山海の幸をたっぷり味わう幸せ
男女入れ替え制の大浴場は大きくはありませんが、清潔感があり、気持ちよく利用できます。さっぱりと旅の汗を流した後には、お部屋で夕食を。
“料理旅館“と謳うだけに、夕食は、瀬戸内で水揚げされた魚介類や地元の新鮮な野菜など、料理長が厳選した山海の幸を使った正統派の会席料理。お部屋で一品ずつゆっくりといただけます。プランによっては、国産牛のしゃぶしゃぶ会席や鰻会席膳なども。併設の「お食事処 鶴形」のメニューにある自慢の「名物 鯛茶漬け」を付けた鯛茶プランも好評です。ゴマダレにくぐらせた鯛の切り身に香り豊かなワサビと海苔をのせ、熱いお茶を注いだ鯛茶漬けは味わい深く、思い出に残る一品です。
夜でしか見られない美観地区の幻想世界
夕食後にぜひおすすめしたいのは、ライトアップされた美観地区の散策です。夜間景観照明は、世界的にも知られる照明デザイナーの石井幹子さんのプロデュース。倉敷市と周辺住民が協力して整備しており、毎日開催しています。
ライトアップで闇の中に浮かび上がる白壁の土蔵や洋館は、お昼とは全く違う幻想的な雰囲気で佇んでいます。倉敷川の川向うから眺める「料理旅館 鶴形」の夜景も、風情があってとてもすてきですよ。ぜひ、心に残る倉敷の旅の1ページに加えてください。
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