台北日帰り!客家料理と陶芸、歴史の町めぐり

JTB台湾
飯田尚美

ホンモノの客家料理を体験したいならここ!北埔(ベイプー)

「客家」と書いて、「はっか」と読みます。客家とは、もともと台湾にいた人々ではなく、17世紀頃、中国大陸から海外へと移住した中華系の人々のこと。中国の華北地方にルーツを持ち、南へと移り住み、台湾や東南アジア各地に移住していきましたが、故郷の言葉や伝統文化を守り続けており、特にその食文化は、「客家料理」として中華のジャンルのひとつとなるほど。保存のきく発酵食品や、米粉の麺など乾物を用いた料理が多く、野菜をたっぷり使います。味付けは濃いめで、白いご飯がほしくなるなど、私たち日本人の普段の食事との共通点も少なくないです。
台湾にやってきた客家の人々の子孫が、今も多く暮らしている新竹県や高雄などでは、特に客家文化が健在で、歴史的建造物や、独特の食を目当てに、最近では、多くの観光客が訪れます。なかでも、台北から日帰り圏内にあり、客家料理の店や茶芸館が充実している人気エリアが新竹県の北埔です。
見どころのひとつは、清朝から日本統治時代の建物などが残る、歴史ある街並み「北埔老街」。台北市内から訪れる場合は、「台湾新幹線」と呼ばれる高鉄に30分ほど乗って新竹駅で下車。ここからバスで40分ほどになります。北埔慈天宮を中心に、客家料理の食材やお土産、雑貨の店でにぎやかな商店街、赤いレンガ造りの建物や狭い小道が広がる古い町並みが広がっています。

北埔を訪れたら、ぜひ味わっていただきたいのが名産の高級茶「東方美人」と客家料理。客家の伝統的な甘味、「擂茶」作りを体験できる茶芸館もあります。擂茶というのは、客家の人々に伝わるお茶の楽しみ方のひとつで、お客様をもてなすときに出すもの。茶葉を、ピーナッツやカボチャの種などのナッツ類、胡麻などと一緒にすり鉢でよく練り合わせ、ペースト状にしたもので、自然な甘みがあります。

客家グルメといえば、ヘルシーでほんのり甘いおもてなしの茶菓「擂茶」

陶磁器とアートの町、鶯歌(おうか)

鶯歌は、「陶芸の里」「台湾の景徳鎮」などと呼ばれ、台湾で最も陶芸が盛んなエリアです。最寄りの駅は、鶯歌駅。台北から縦貫線に乗り、30分ほどで到着します。陶芸に興味がある方には、2000年にオープンした台湾初の陶磁器ミュージアム、「鶯歌瓷博物館」がおすすめ。地下2階、地上3階の館内では、台湾の陶芸文化に関する展示が充実。陶器を焼く窯、巨大な芸術作品から、日常使いできそうな器まで、陶器の世界が様々な角度から楽しめます。体験型アクティビティーもあります。
同博物館から歩いて10分ほどの商店街「鶯歌老街」は、まるで陶器市のようなところ。中華っぽいデザインから、モダンでシンプルなもの、どことなく和風なものまで、あらゆる陶磁器の店が並び、アート作品なども飾られています。ほかにも木製のキッチン用品やカトラリー、様々な雑貨などを扱う店もあり、訪れる人たちでにぎわっています。
鶯歌老街の一角には、もともと陶磁器の製造工場だったところを観光客向けに開放した「許新旺陶瓷記念博物館」があり、こちらも陶芸ファンの方におすすめです。実際にロクロを回す体験コースだけでなく、赤ちゃんの手形・足形陶器プレート作りなどもあり、子連れの方も楽しめます。

新北市立鶯歌陶瓷博物館
住所:新北市鴬歌区文化路 200 号
営業時間:9:30~17:00(週末は18:00まで)、毎週月曜日は休館
https://tour.ntpc.gov.tw/ja-jp/Attraction/Detail?wnd_id=115&id=111699

許新旺陶瓷記念博物館
住所:新北市鴬歌区尖山埔路 81 号
営業時間:10:00~17:00
https://tour.ntpc.gov.tw/ja-jp/Attraction/Detail?wnd_id=115&id=111956

巨大な壺から、手軽なカップまで、ありとあらゆる品々が並んでいます。

ヨーロッパ、中華圏、日本の文化が融合した街、三峡(さんきょう)

鴬歌と同じ新北市にある、かつての商業都市が三峡です。台北から出かける場合は、電車で10分ほどの「板橋駅」が最寄り駅。ここからさらに観光の中心地まで、バスに乗ります。鴬歌駅からも近く、バスかタクシーで10分ほどなので、鴬歌と一緒に回るのが効率的です。
三峡も、台湾に移住してきた客家の人々が開拓した街のひとつです。淡水へと流れていく川沿いに位置し、清朝時代から日本統治時代まで、物流と交易の拠点として栄え、さまざまな商材を扱う店が軒を連ねていました。現在は、当時の歴史的な建造物を修復したところに、食べ物や雑貨のお店が入り、そぞろ歩きを楽しむ人々でにぎわっています。
三峡での散策の中心となる「三峡老街」は、インスタ映えしそうな赤レンガ造りのノスタルジックな建物が続くアーケード街。260mほど続く道沿いに、ヨーロッパ風の建物が続き、旅情を誘う風景となっています。レンガ造りの建物を見ると、アーチ型の柱などバロック建築の要素と、「亭仔脚」など中国南部の建築様式が融合。そこに日本の家紋を模した装飾なども取り入れられ、東西のさまざまなスタイルが混じったエキゾチックな空間を作り出しています。建物には、当時の戸主や商店の名前、扱っていた商品などがレリーフやガラスモザイクで記されており、かつての繁栄をしのばせます。
訪れる観光客に人気なのが、三峡老街の名物、「金牛角?包」。いわゆる台湾風クロワッサンで、外側はしっかりと固く、つややか。かじるとサクッ、中はふんわりとした食感です。色々なフレーバーのクリームが入っているものもあります。一見、ヨーロッパを思わせつつ、実はしっかり台湾風な味付けでもあり、というところが、いかにもこの町らしいかもしれません。

JTBでは、奥深い台湾の魅力に触れる旅を、台北から日帰りでお楽しみいただけるよう、上記3エリアを1日で周遊するコースを企画しています。台湾で最も客家の味わいを色濃く残す街「北埔」と、陶芸の里「鶯歌」、客家ゆかりの歴史の町「三峡」を1日でゆったりと散策していただくツアーの詳細は以下へ。

通り沿いに続く赤レンガの三峡のアーケード街

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飯田尚美

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