「美味しい!」と心からの笑顔があふれる理想の旅 ~Bridging the Dreamキャンペーン第5弾 好きなものを好きなだけ楽しむ食の金沢旅行 石川編~
JTBは、2020年に向けて、「Bridging the New~つながれば、はじまる。~」をスローガンに掲げた活動を展開してきました。
その一環として、2019年春に「あなたの夢、叶えます! Bridging the Dream」キャンペーンを実施。全国から集まった多くの応募から、JTBが旅のさまざまな可能性を活かし、自分や家族、仲間たちと共につなぐ、5つの夢の実現をお手伝いするというものです。
最終回となる第5弾の今回、「好きな食べ物を好きなだけ楽しむ息子の笑顔を見たい!」と願う保本さんの夢を実現するため、全国にわたるJTBのネットワークと「人と地域を結びつける力」を活用し、食のバリアフリーに力を入れる金沢をご紹介。
お客様と金沢市をつなぎました。
“誰もが安心して食べられるものを”
金沢市が力を入れる食のコミュニティ
訪日観光客やアレルギー体質の方からも注目される「食のバリアフリー」
石川県金沢市では市民と行政が協働し、市民主体のまちづくりを推進することを目的としてさまざまな取り組みを行っています。
取り組む企画は公募され、採択されたものは「協働のまちづくりチャレンジ事業」として実行されます。
その協働のまちづくりチャレンジ事業の中でも、石川県に訪れる多くの旅行者に影響を与えているのが「金沢市 食のバリアフリーMAP」です。
食のバリアフリーMAPはヴィーガンやベジタリアン、アレルギーフリーに対応可能な飲食店を掲載したマップ。
事前相談が可能な飲食店が記載されており、宗教上の理由から食事に関して気を使っている訪日観光客やアレルギー体質の方、そして金沢を訪れる旅行者の支えとなっています。
今回は、この食のバリアフリーMAPを作成したカフェ「Los Angeles」のオーナー森島さんと、アレルギーっ子サークルの交流団体「るみえ~る」代表の本多さんにお話を伺いました。
(左)Los Angeles オーナー 森島幹博さんと(右)るみえ~る代表 本多陽子さん
カフェ「Los Angeles」オーナーの森島さんは、2011年東日本大震災で被災。
当時住んでいた福島県を離れ、石川県金沢市への避難を決断しました。
建てたばかりの住居に戻れず、好調だった自営の仕事も続けることが出来ず、当時は落ち込むこともあったそう。
しかし、アメリカ・ロサンゼルスに住むご兄弟からの助けで、2014年3月に「Los Angeles」をオープン。
どんなお店にするか、試行錯誤する中で森島さんがたどり着いたのは「食の安全性を広めたい」という思いでした。
食の安全性を確保するには、一次生産から消費にわたって食品の安全性向上に取り組む「フードチェーンアプローチ」が必要です。
そういった思いから、森島さんは地元農家の方々から仕入れた金沢の野菜をたっぷり使ったサラダボウルを提供し始めました。
そのサラダボウルは近隣のベジタリアンの方々や、訪日観光客の方々から好評いただきました。
さらに、地産地消を意識した県産米粉のワッフルも、小麦アレルギーのお子さんがいるお母さんたちに喜んでいただけました。
選んだものが本当に安全か、自分や家族、地域、地球環境などに影響を及ばさないか、消費者自身が情報を取捨選択できる状況も必要です。
アレルギーを始めとした食の課題に悩むお客様と積極的につながる森島さんの姿勢は、その状況を整える1歩となっています。
また、「食に悩むお客様は色んなところからたくさん情報を集めて、ようやくこの店にたどり着いてくださる方ばかりです。今も卵を使わないお菓子を求めてご近所から遠方まで多くの方にご来店いただいていますが、たくさんあるお菓子を『どれもアレルギー食材を使っていませんよ。』とご案内すると、『こんなに多くの中から選べるのですか?』と、とても感動していただけます。」と語る森島さん。
「ヴィーガンやアレルギーに対して理解のある飲食店でも、用意している全てのメニューが対応しているとは限りません。実際に食べられるものは1種類しかないこともあります。我慢することなく選べると知った時のお客様の笑顔を見ると、この店をやっていてよかったと心から思います。」とお話いただきました。
さまざまな事情から食に気を使っている方々は、「Los Angeles」で食べる楽しみだけではなく、選ぶ楽しみも味わっています。
完全予約制でアレルギー特定原材料7品目不使用のケーキ販売も実施。
誕生日や結婚式など「特別な日にケーキが食べたい」という願いも叶え続けています。
そういった日々の活動の中で「情報を共有できるコミュニティがあったらいいのに」と話題になり、森島さんは本多さんたちと交流会を開催しました。
「子どもと一緒に入れるお店がなかなか見つからないなど、アレルギー体質の子どものお母さんは、みんな一度は同じ経験があると思います。だからこそ先輩お母さんの知識や経験を伝えていきたいと考えました。」と語るのは、自身もアレルギー体質のお子さんをもつ、るみえ~る代表の本多さん。
大切な我が子だからこそ真剣に考えます。
るみえ~るは心細い時に手を差し伸べられる団体でありたく、エリアや特定の病院などの制限をつけず、石川県という大きな範囲で交流を深めています。
そんな背景を持つおふたりが主軸となり作った食のバリアフリーMAP。
パンフレットのほかWebサイトを制作したところ、ヴィーガンやアレルギー体質の方、さらに訪日観光客の方からも大変支持されました。
カフェ「Los Angeles」でお二人からお話を伺う間も、肉類や卵、乳製品、動物性油脂などを使わないと記載された看板を見て、嬉しそうに会話する訪日観光客の方がいらっしゃいました。
こういった県をあげての取り組みは、日本人の健康や食生活を改善するきっかけとなり、海外旅行者の過ごしやすさにもつながり、今後さらなる拡がりを見せるでしょう。
≪応募動機≫
どれでも好きなものを自由に選んでいいよ、食べていいよって言ってあげたい。
保本さんは、2人の男の子を育てるお母さん。
次男の瑛仁くんは生まれた時からアレルギー体質です。
保本さんの願いは瑛仁くんに「自由に選んでいいよ、好きなものを食べていいよ。」と言ってあげること。
そんな時、今回のキャンペーンを目にして「食べることが大好きな息子の笑顔が見たい。」との願いを込めて、応募を決意したそうです。
≪旅の様子≫
夢の実現は2019年12月中旬、保本さんの希望に沿ったスケジュールを立て、1泊2日の金沢旅行が実現しました。
そして、いよいよ当日。
願いを叶える舞台となる石川県金沢市へ。
瑛仁くんも初めての土地に興味津々。
これから訪れる金沢での旅に期待が膨らみます。
改札をでると石川県観光PRマスコットキャラクター「ひゃくまんさん」がお出迎え。素敵な家族写真を撮影しました。
保本さんファミリー(左から2番目が瑛仁くん)
「ドクターズクリエーションcafe87」
まず最初に訪れたのは「ドクターズクリエーションcafe87」。
ドクターズクリエーションcafe87は、医療を柱に健康をトータルサポートする複合施設「スコール金沢」を建設する際、いつまでも元気に若々しくいるための「食」を伝える場として立ち上げました。
パフォーマンスを上げたい方から難病(アレルギー、うつ病、不妊、副腎疲労など)の治療食として健康的な食生活を取り戻すためのヒントを、美味しく、楽しいお料理というカタチにしてお客様に提供しています。
メニューはグルテンフリー、カゼインフリー、エッグフリー、化学調味料、防腐剤など使わず、質の良い油とこだわりの食材を使い、抗酸化食材をたっぷりと使った、見るだけでもワクワクする彩りの良い料理ばかりです。
「当店では従来の健康食のイメージを一新するようなお洒落で美味しいカフェ料理を提供しています。調味料や調理法までこだわっているため、アレルギー体質の方はもちろん、健康促進や体質改善のためにご来店くださるお客様もいます。」と語る統括マネージャーの浦田さん。
店内には体格の整った若い男性からスーツ姿の女性、ご家族、年配の方まで幅広いお客様が料理を楽しんでいました。
また浦田さんからは「当店で提供するのは、あくまでご家庭で実践できる料理をアレンジしたもの。そのためプロはおらず、調理はすべて、料理好きのキッチンスタッフと管理栄養士がメニューの構成から調理まで行っています。ご依頼があればレシピもお渡ししていますので、健康的な食事を生活に取り入れるきっかけにしていただければ嬉しいです。」と言っていただけました。
ドクターズクリエーションcafe87が行っている「ご自身で継続できる健康的な食生活のきっかけ作り」は、食に関する課題を抱えた日本人旅行者や地元の方の支えとなっています。
また、さまざまな希望に応える姿勢は、訪日観光客の方々にとっても非常に心強いものです。
この日は、瑛仁くんの大好きなハンバーグを注文。普段は外食で食べることが難しい洋食も、ここでなら大丈夫。
なぜなら、グルテンフリー・カゼインフリー等、cafe87のメニューは「身土不二」(人間の身体と土地は切り離せない関係にあるといわれ、その土地でその季節にとれたものを食べることが健康に良いという考え)を取り入れたこだわりの食材、調味料を使った料理を提供しているからです。
可愛らしい旗が刺さったランチプレートの登場に「わあ~!」と歓声があがります。
いつもはカトラリーからの混入を気にして食べなければならない家族の食事ですが、今日のランチは家族全員、同じメニューで、同じテーブルを囲み心から食事を楽しむことができました。
お食事の後は、併設する浦田クリニックの医師から食に関するアドバイスをしていただきました。
アレルギー体質の方にとって、症状を起こさないよう「避けて生活する」ための知識はとても大切ですが、ドクターズクリエーションcafe87を始めとした浦田クリニックでは、避けるだけではなく、ひとつひとつの細胞の栄養を正常な状態に近づけ、アレルギーを「治療する」ことも重視しています。
お子さんの症状に気づいて初めて試行錯誤するご家族も多いですし、アレルギーに関する正しい知識を深める場はそこまで多くありません。
保本さんご家族にとっても、カフェでの時間は貴重な情報共有の場になりました。
浦田さんからは「アレルギーをお持ちの方はぜひ事前にご連絡ください。ダイエット目的や健康意識を高めるためにご来店いただけるのも大歓迎です。ご自身の体調、器質に合わせた食事を摂るきっかけになれば嬉しいです。」とコメントをいただきました。
また、「ドクターズクリエーションcafe87」ではグルテンフリー・カゼインフリーの米粉食パンなどテイクアウトの料理も充実しています。
食と向き合うきっかけとして、金沢旅行のお土産にもぴったりです。
ドクターズクリエーションcafe87のホームページはこちら
※カトラリー:ナイフやフォーク、スプーンなどの総称
「ドクターズクリエーションcafe87」統括マネージャーの浦田早希さん(左)
カフェ「Los Angeles」
そして、今回の旅行の締めくくりは、カフェ「Los Angeles」です。
甘い物が大好きな瑛仁くん。「Los Angeles」のお店に入った途端、目に入る色とりどりのマフィンや洋菓子、アイスクリームをキラキラとした目で見てくれました。
普段は、外食先では注文することのできない「マフィン」や「ティラミス」もここでなら大丈夫。
カフェ「Los Angeles」は小麦粉や卵、乳製品を使わないカフェなのです。
瑛仁くんは、思う存分好きなものから堪能していきました。
瑛仁くんがお兄ちゃんやお父さんと一緒に洋菓子を楽しんでいる間、保本さんはアレルギーのお子さんを持つお母さんの会「るみえ~る」の本多さんとお話。
アレルギー体質のお子さんを育てるお母さんならではの悩みや情報を共有する有意義な時間を過ごしていただきました。
カフェ「Los Angeles」のホームページはこちら
≪旅を終えての感想≫
みんなで美味しいものを一緒に食べ、楽しむ喜び。
金沢旅行で得たものとは。
アレルギー情報に関しては普段から情報を集めている保本さんですが、地域に根付いた活動や専門知識は、いくら調べても調べきれるものではなく、遠く離れた地域にアレルギー対応をしている飲食店を見つけても、お子さんが小さい間は気軽に出かけるのも難しいと言います。
だからこそ今回の金沢旅行では新しい発見のある時間を過ごしていただきました。
保本さんからは「これだけ外食先で好きなものを選べるなんて滅多にありません。それをみんなで楽しめたのがとても嬉しかったですね。ホテルのバイキングなどでは、食べられるのは納豆、ご飯、海苔くらい。今まではせっかくの旅行なのにシンプルなご飯が続いて、可哀相だと感じていました。でも、今回のように食に対する取り組みをしている地域ならこんなに楽しい時間が過ごせるのですね。専門的な方々とお話する機会をもらえたのもよかったです。」との感想をいただきました。
≪JTB Tokyo2020プロジェクト推進室 室長 久家 実よりコメント≫
今回は、「食べることが大好きな息子さんの笑顔が見たい」というお母様からご応募を頂きました。
交流を創ることが生業のJTBにとって、食のバリアフリーを進める金沢をご紹介しお客様と金沢市をおつなぎできたこと、そして同じテーブルで外食ができるという、ご家族にとっての「非日常体験」をサポートできたことを大変嬉しく思っております。
Bridging the Dreamキャンペーンにご応募いただいた保本様に改めて感謝申し上げます。
来年の夏、開催される世界最大のスポーツの祭典に、JTBは、「Bridging the New~つながれば、はじまる。~」をテーマとして、世界中の方々の「感動」や「歓び」の架け橋となれればと思っております。
これからも多くのみなさまの夢の実現とその先の素晴らしい未来をご一緒に築けるよう、JTBは旅を通じて想像を超える感動をお届けしてまいります。
今回ご応募いただいた保本さんファミリーとJTB Tokyo2020プロジェクト推進室 室長 久家 実(写真右)
※社名・肩書きは取材当時のものです。