カナダ人のアイデンティティが支える、雄大な大自然とその文化

自然と共生する人々の暮らしを体感する

エコな宿泊施設を利用し環境課題に取り組む旅づくり

　旅先で宿泊するだけで、地球規模のさまざまな課題を解決するための目標「SDGs」に協力することができるシステムがあります。それが、1994年にデンマークで始まった宿泊施設の認証制度「グリーン・キー・プログラム」です。
これは、連泊の際のハウスキーピング簡略化、食品ロス削減、プラスチック製品の不使用など環境に配慮した運営、持続可能な取り組みを実践しているエコな宿泊施設に認証を与えるグローバルなエコラベルです。ルックJTBでは、この認証を受けたサステナビリティホテルの利用を推進。環境課題に取り組むパートナーと旅を創ることで、同時に「SDGs」に積極的に協力しています。
ご提供するカナダの旅では、バンフ国立公園内レイクルイーズ湖畔に佇む「フェアモント・シャトーレイクルイーズ」や、ロッキー山脈のシンボルとして知られる老舗ホテル「フェアモント・バンフスプリングス」など、「グリーン・キー・プログラム」認証取得の一流ホテルをご用意しています。
エコで快適な宿泊施設を起点に、日本のおよそ27倍もの広大な国土に点在する数々の見どころへと出発しましょう。

ナイアガラの滝の水資源を発電に有効活用

　カナダでの観光人気ナンバーワンの呼び声が高いナイアガラの滝は、カナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州の国境沿いに位置しています。実は「ナイアガラの滝」とは、大きな3つの滝の総称です。カナダ側には、そのうちのひとつ、3つのうち最大で圧倒的スケールのカナダ滝があります。
流れ落ちる水量があまりにも膨大なため、水の力によって侵食が進み、1950年代までは滝が年に約1mずつ上流に後退していました。そのため浸食防止の工事を行った結果、年間3cm程度まで侵食のスピードは落ちましたが、自然の営みに逆らうことはできず、この先、2万5000年後に滝はエリー湖に埋没し、消失してしまうと言われています。

カナダとアメリカが条約を締結し、滝の価値を高める

しかし人々は、この水量を無駄にはしませんでした。19世紀初頭から水力発電所を造り、水資源を有効活用してきたのです。現在も下流の発電所から世界最大級ともいわれる電力量をカナダとアメリカに供給しているので、ナイアガラの滝は「SDGs」に大きくコミットしているともいえます。
ここに至るまで、カナダ、アメリカの二国間において1909年には「国境水条約」が、さらに1950年に「ナイアガラ条約」を締結。電力開発のほか、観光シーズンには滝の迫力を増すよう水量を増やすなどのコントロールをお互い円滑に行っている、という隠れたエピソードがあるのです。

先住民が代々守ってきた、砂糖カエデの原生林

　ナイアガラの滝やバンフの自然と開発の共生例は、自然を愛する国ならではのエピソード。そこで、あらためてカナダの国旗に注目してみましょう。国旗両側の赤い帯は、太平洋と大西洋をあらわし、中央にはカナダを象徴するメイプルリーフ（砂糖カエデの葉）が置かれています。メイプルリーフは18世紀以来、伝統的にカナダのシンボルとされてきました。
そしてその砂糖カエデの樹液を煮詰めたメイプル・シロップが、カナダの特産品であることは誰もが承知の事実。世界生産の約72％（※）がカナダ産であり、そのうちのほとんどが東部ケベック州で生産されています。さらに言えば、樹液が採れる砂糖カエデの原生林があるのは、世界でもカナダのケベック州とオンタリオ州、それにアメリカの一部だけ。ケベック州におけるメイプル・シロップ生産に使われる砂糖カエデの原生林は、ケベック州法の規定により保護されています（※ケベック・メープルシロップ生産者協会HPより）。

現地でこだわりの味を体感し共感するプログラム

　この原生林はメイプル・シロップが世界に流通するずっと以前の15世紀、先住民たちが暮らしていたころからあったと伝えられ、この甘い樹液は極寒の地・ケベックで生き抜いてきた人々のエネルギー源だったのです。先住民たちは、ヨーロッパから渡ってきた人々に樹液の存在を伝え、自然の恵みをともに共有しながらメイプル・シロップ製造技術を進化させてきました。このメイプル・シロップ発展の歴史、今も残る砂糖カエデの原生林は、「持続可能な社会」を実現するための素晴らしい見本といえるのではないでしょうか。
ケベック州の観光では、昔ながらの製法でメイプル・シロップを作る砂糖小屋「アンドレさんのピック・ボア」を訪ねます。従来品とはひと味違う伝統的なメイプル・シロップを試飲し、カナダの先住民たちが繋いできた奇跡を感じてください。
ケベック州と隣り合うプリンスエドワード島には、メイプル・シロップに並ぶカナダの特産品ロブスターが有名であり、サステナブルな方法で行う漁が盛んです。「フードアイランド」と呼ばれるこの島では、ほかにもこだわりの農産物、ビーフ、フルーツなどがもりだくさん。ツアー内では、島で獲れたハチミツを使ったオーガニックのハニーワインの試飲、島のフルーツを使ったジャムの試食などを体験していただきます。