九?で出会う台湾ゴールドラッシュの歴史、金鉱博物館と五番坑


JTB台湾マイバスチーム

山肌に沿って細い路地や階段が続き、道沿いにはお茶や食事の店、お土産物屋さんなどが並ぶ人気観光地、九?。時間が止まったような、郷愁を誘うムードが漂い、台湾映画の舞台にもなりました。日本でもすっかりおなじみの必見スポットですが、その発展の歴史は、意外に知られていないかもしれません。

一説によると、清朝初期の頃、九?(ジォウフェン)に住んでいる人は9世帯しかなく、物を買うときにいつも「9つ分」と言っていた、というのが地名の由来とか。そんな静かな田舎町が、お店や労働者で賑わうようになった契機は、19世紀末、金鉱の採掘がはじまったこと。特に、日本統治時代には町が大きく発展し、当時の姿で現在まで残っている建物も少なくありません。今回は、そんな九?の歴史をたどるのにおすすめの場所をご紹介します。

ノスタルジックな街並みが魅力的な九?。

九?の町全体が見渡せる絶景スポット「五番坑公園(五番坑道記念公園)」


住所:新北市瑞芳区九?五番坑

かつてはたくさんあった金鉱の入り口の1つ。1927年に完成し、九?で5番目の金鉱入口なので「五番坑」と呼ばれました。アクセスは、豎崎路から軽便路を西に向かい、10分ほどまっすぐ進むと公園の中にひっそりと残る五番坑の入り口が見えてきます。舊道口バス停からすぐです。

ゴールドラッシュの時代、このあたりには、いくつもの金採掘のための坑道がありましたが、現存するのは「五番坑」だけ。かつては黄金を運びだしていたという入り口には柵があり、中へ入ることはできませんが、内部の様子をうかがうことはできます。

五番坑公園は、九?の街よりも山をさらに上へ登った高台に位置するため、ここからは山の斜面に沿って発展した九?の街全体がよく見えます。晴れた日には、山の緑の先に東シナ海も見渡すことができます。九?の賑やかな市街地からは、登り坂を歩くことになりますが、町の雑踏からしばし離れ、深呼吸できる絶景ポイントとしておすすめです。

日本との関係も深い台湾ゴールドラッシュの歴史を辿るなら「金鉱博物館」


住所:新北市瑞芳区金瓜石金光路8号

九?からさらに山の奥へ、車で10分ほど進んだところが金瓜石鉱山で、現在はその跡地に「金鉱博物館」があります。入場は無料ですが、人気の2つの体験型アトラクションのみ、それぞれ有料となります。館長の曾水池さんは日本語が堪能で、実は親子3代にわたり、金鉱の発掘作業に従事なさった方。その間にコレクションしたという珍しい形の石や、金銀銅、水晶などを含んだ石も見ることができます。

ここを訪れる人々に一番人気なのは、砂金採り体験(100NTドル)。お皿一杯の泥を受け取ったら、これを静かに水で洗いながら、小石などを取り除き、最後はキラキラとした砂金が混じった泥だけを残すというもの。自分で洗った砂金は、小瓶に入れて持ち帰ることができます。「黄金館」の3階で挑戦できます。

また、本山五坑では、かつての坑道の一部が展示スペースになっており、実際に内部を歩いて見学が可能(50NTドル)。ヘルメットを被って、暗い坑道の中へ入ると、夏でもひんやり涼しい空気に驚きます。足元に視線を落とすと、かつて金塊を運んだトロッコの線路が残っています。金鉱掘りの作業風景や、出口で金を隠し持っていないか、ボディチェックする場面なども、リアルな人形を使って再現。岩や鉱石を粉砕するときに使用した発破の音なども聞こえて、当時の雰囲気がよくわかります。

博物館の敷地内には、ほかにも様々な建物や展示があります。従業員の宿舎や日本庭園などが大切に保存されていて、我々日本人にとっては特に興味深いです。台湾でこんな風に生活していた同胞がいたのだなあ、と感慨に浸ったり、日本と台湾の関係について考えてみたり。今まで知らなかった台湾の歴史に出会うきっかけになるでしょう。主な施設は以下の通り。

四連棟



日本統治時代は、日本人職員の宿舎だった建物。屋内は畳、ふすま、欄間、床の間に掛け軸と純和風の造り。ベッドだけは、戦後にここで暮らしていた台湾の方のものだそうです。四棟それぞれに台所や風呂が付いています。

錬金楼



日本統治時代は、来客用の宿泊施設として使用された洋館。戦後、台湾の企業が錬金工場として使用したため、建物内部に住居だった面影はほとんどありません。現在は、金鉱で作業員が使っていた道具や、当時の生活ぶりを紹介する展示スペースになっています。

金瓜石太子賓館



日本の伝統工法で仕上げた美しい木造建築。日本庭園には鯉が泳ぐ池があり、室内の意匠も非常に凝っています。それもそのはず、ここは昭和天皇がまだ皇太子だったころ、金爪石鉱山を視察なさる計画が持ち上がり、その滞在先として建てられたのだとか。風雅な趣たっぷりの客室の縁先には、台湾の形をした御影石が配されています。

黄金館 (ホンモノの巨大金塊に自分の手で触ってみよう!)



戦後、台湾金属鉱業公司が建てた事務所で、現在は「金」をテーマにした博物館。金瓜石におけるゴールドラッシュの歴史、台湾における金の文化的側面などについて紹介しています。黄金館を訪れた人々が皆、目を輝かせる瞬間といえば、展示されている大きな金塊に自分の手で触る時!金塊の重さはなんと220.3kg。展示ケースには丸い穴が一つあり、ここから手を差し込みます。その日の時価で算出した金塊の評価金額も表示。砂金採り体験は、この黄金館の3階でどうぞ。

環境館



金瓜石の周辺に生息する動植物や、地質学的な特徴などを紹介しています。

九?の象徴、阿妹茶酒館は夜が一番美しい!

九?で出会うゴールドラッシュの軌跡、いかがでしたか?ところで九?といえば、アイコン的存在となっているのがご存じ阿妹茶酒館(アーメイ・ツァージョウグァン)。もちろん昼間も趣があり、薫り高いお茶をお召し上がりいただけますが、せっかく訪れるなら、最高のタイミングはやはり日没後でしょう。建物の外観を飾る赤い提灯に明かりが灯ると、その艶やかな姿に魅了されてしまいます。

観光客でにぎわう九?のメインストリート、基山路でぶらぶら歩きを楽しむなら、見たことがない台湾デザートの数々にもぜひ挑戦してみてください。台湾の人たちが大好きなタロイモやヨモギのお餅などはいかがでしょう。

九?の町歩きに役立つ現地情報はこちらへ!
九?の名物カフェ、阿妹茶酒館
九?、台北から約1時間のノスタルジックな街の魅力

JTBでは、九?を楽しむ現地発着ツアーを多数、ご用意しています。なかでも、九?が一番、妖艶に輝く夕方以降の夜景を満喫するコースはおすすめです。

九?の代名詞ともいえる夜の阿妹茶酒館。

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