台湾 九份（九ふん）の魅力をご案内｜名物カフェやみどころ、ベストな時間帯など解説

日本が台湾を統治していた時代の面影を残す小さな町・九份（きゅうふん、ジォウフン）。時代に取り残されたような風情が、不思議に多くの人の心を引きつけ、今台湾の中でも人気の高い観光地となっています。特に訪れた人が思わず歓声を上げてしまうのが、阿妹茶樓（アーメイ・ツァーロウ）。エキゾチックなその外観と日が暮れると灯される赤い提灯が、何とも言えない妖しさと美しさを醸し出します。九份や阿妹茶樓について、JTB現地スタッフがご案内します。

閉山とともに打ち棄てられた町

台湾島でも最北端近くに位置する小さな町・九份は、清の時代にはわずか9軒しか家がなかったという言い伝えがあるほど小さな町だったそうですが、その後、金鉱脈が発見され町は急速に発展します。特に日本統治時代には最盛期を迎え、3～4万人が住んでいました。日本が撤退した後も鉱山の採掘は続くのですが、やがて鉱脈は尽き、1971年に閉山。山とともに町も、時間がそのまま止まってしまったかのように急速に廃れていきました。

九份が再び脚光を浴びるのは、1989年に公開された映画「非情城市」の大ヒットがきっかけ。九份の、日本でも中国でもヨーロッパでもない不思議な街並みが、ストーリーとともに人々の心をわしづかみにしたのでした。中でも阿妹茶樓の独特の造りは一度見たら忘れられない印象深さです。

九份へ公共交通機関を利用して行くなら、MRT板南線の忠孝復興駅から「1062番バス：九份・金瓜石」行きのバス（約1時間半）を利用するか、台北駅周辺のホテルに滞在しているのであれば、MRT北門駅から「965番バス：九份・金瓜石」行きのバス（約1時間）を利用するのが便利でしょう。
帰りのバスなどは混み合うことがありますので、バスの時間などは確認して余裕を持ってプランを立てた方がいいでしょう。

公共交通機関の乗り継ぎなどに不安や煩わしさを感じる方は、現地発着のツアーが多く出ていますので、そちらを利用するのもオススメです。
JTBでも朝出発して、午後早いうちに台北に戻れるものや、午後出発して夕景を楽しめるもの、提灯に火がともる幻想的な夜景を楽しむものなど、ツアーをいくつかご用意しています。ご自身のツアーのプランに合わせてお選びください。

九份老街（Jiufen Old Street）: 九份の中心部にある伝統的な商店街

九份老街の入り口から約400メートル続く商店街は魚丸湯などの海鮮スープや芋圓、草仔粿（草餅）など九份に来たら必ず食べたい"小吃"のお店が多く並びます。人気のお店は行列になる事も多いですが回転が速いので是非色々試してみたいところ。
商店街を歩いているとどこからか聞いたことある曲がオカリナの音色と共に聞こえてきます。お土産屋さんや雑貨店、懐かしの駄菓子屋さんなども並び歩くのが楽しくなります。

九份観景台（Jiufen Viewing Deck）: 九份の高台に位置する展望台

九份老街を散策していると、所々に展望デッキや開けた場所があり、九份から見渡す海岸線や基隆山の景色は格別です。晴れた日には基隆嶼の島が見え、夕方は提灯の明かりが灯り始めノスタルジックな雰囲気を醸し出します。雨が降って霧がかかった日でも九份や街の明かりがぼんやりと浮かび幻想的な風景を楽しむことができます。

多くの観光客が押し寄せ、今ではさまざまなカフェや茶藝館が軒を連ねていますが、かつてはこれらの多くは民家などでした。
例えば阿妹茶樓よりも少し高いところにある九份茶坊（ジォウフェン・サボウ）。昔ながらの風格ある木造の建物ですが、ここはかつて鉱山で賑わっていた頃、工場長が住んでいた邸宅でした。日本の寺大工が建てたそうで、あちこちに日本的な雰囲気を感じられる茶藝館です。

阿妹茶酒館も、かつては家具などを作る工場だったそう。
中に入ると、日本文化と中国文化が混じり合っているような独特の雰囲気が漂います。急な斜面に建てられているため、店内は奥行きはなく、窓の向こうには貼りつくように続く九份の建物と、その向こうに海が望めます。
店内では、台湾茶や茶菓子が出されるほか、食事も可能です。またアルコール類も提供しています。
お茶を単品で注文する場合には、お茶代に加え別途「お湯代」（一人100元）が必要です。ちょっと割高に思われるかもしれませんが、急須にお茶を何度でも追加でき、時間制限などがないので、ゆったりとお茶と風景を楽しめます。ちょっと割高かなと思う方には、お茶とお茶菓子がセットになったものもあり、気軽にお茶を楽しむことができます。

九份のメインストリートは、頂上へと登っていく道の豎崎路（ケンザキロ）と、その豎崎路に交差する基山街（キサンガイ）。豎崎路にはその眺望の素晴らしさをうたったカフェや茶藝館などが軒を連ねていますので、散策に疲れたら遠く海を見下ろすさまを眺めながらお茶を楽しめます。 一方、基山街は台湾の軽食「小吃（シャオツー）」をいろいろと楽しめる小吃ストリートといった趣です。
前述の九份茶坊は、この基山街にあります。

台湾の九份は、四季折々の美しい景観と風光明媚な場所で知られています。一年を通じて訪れる価値があります。

春…比較的穏やかな気候ですが山の上なので冷え込む日もあります。九份の近くにある金瓜石 黃金博物館は意外にも桜の名所としても知られ、吉野桜などを見ることができます。台湾の桜のシーズンは日本より早いので、２月中旬から３月頃にかけて花が咲き誇る風景も楽しめます。

夏…店舗の平均的な閉店時間が19:00など、九份のお店は閉店が早い傾向がありますが茶芸店などは週末、休日には22時ごろまでと遅くまで開いているところが多くなるため、夜景と食事をのんびり楽しみたいなら夏場はおすすめ。

秋…台風のシーズンが終わり、天候が安定。中秋節を過ぎると涼しくなり散策が気持ち良い季節。晩秋には九份や周辺の山ではススキが咲き秋の訪れを感じることができます。

冬…冬は寒冷な気候だが、その雰囲気がまた一味違った魅力を持つ。冬の季節は霧が多く、靄の中に提灯の赤い光が灯る幻想的な風景がみられる。旧正月には町全体が赤い飾りで彩られるなど、冬しか見られない光景が魅力的。　

行く時間や季節により様々な雰囲気を味わえる九份ですが、ベストな時間帯は？それぞれの様子をご紹介

午前中｜混雑を避けてのんびり散策

人が少ない街の雰囲気を撮影するなら午前中がおすすめ。九份の商店街やお店は10時ごろから開き始めるのでのんびり景色を楽しみたい方は午前中がおすすめです。

午前中にサクッと九份を観光し、午後はゆっくり台北市内で過ごしたい方にはこちらの午前中に台北を出発する九份コースがオススメ

お昼時｜カフェでティータイムを

お買い物ものやランチ、ティータイムも楽しみたい方は午後の九份がオススメ。１１時を過ぎれば軽食が食べられる小吃のお店も多くの人で賑わい、麺や小皿料理、台湾料理を楽しむことができます。
ランチが終われば商店街のお店もほぼ営業しており、お買い物を楽しむことができます。お買い物しながら芋圓、草仔粿（草餅）など食べ歩きも楽しみましょう。

長めに九份に滞在したい方にオススメなのがこちらの午後発のツアー。九份到着後、３時間の滞在時間を取っていますのでお食事やお買い物、茶芸店でのんびりお茶を楽しむ時間があります。

夕方｜提灯が灯るノスタルジックな雰囲気と夜景が魅力

やっぱり人気なのが提灯の明かりが灯り始める夕方～夜にかけての時間帯。週末はローカルの人も多く訪れるので行き帰りのバスも混むことがあります。夕方から茶芸店に入り、テラス席でお茶を飲みながらのんびり日が暮れる景色を楽しむ時間は忘れられない旅の思い出になること間違いありません。

混雑しやすい時間帯なので行きたいお店の営業時間や公共交通機関を利用する場合は帰りの時間帯に注意が必要です。

午前中はゆっくり台北市内を回って買い物したり観光した後に夜の九份の景色を楽しみたい方には夕方台北市内を出発するコースがオススメ

台湾の九份（Jiufen）と十份（Shifen）は、どちらも人気のある観光地ですが、それぞれに独自の特徴があります。
十份は鉱山地域として発展した場所で、煙突やレールなど、かつての鉱山の面影が残っています。特に十份の鉄道線路沿いにある十分老街では、伝統的な天燈（天灯）／ランタンを飛ばすことができます。また、十分の近くには台湾のナイアガラと呼ばれる十分瀑布や渓谷もあり、自然の景観を楽しめます。九份と十分、一日でまわるのも可能な距離です。
台湾三大ローカル列車のひとつ、平渓線を利用すれば瑞芳駅から片道約30分。線路沿いのノスタルジックな光景を満喫できます。

初めての台湾旅行で列車に乗るのは不安、という方は、JTBのmyBus現地ツアーをぜひご利用ください。九份と十分がセットになったツアーでは平渓線の乗車体験や十分での天燈上げも含まれていて１日で九份と十分両方満喫することができる人気のツアーです。

いかがでしたか？
台北からは少し距離のある九份。現地の交通機関がよくわからないと不安な方、効率よく回りたいという方は、JTBのMyBus現地ツアーがオススメです。