JTB交流創造賞

  • トップページ
  • 受賞作品
  • 第15回JTB交流創造賞選考委員

交流創造賞 組織・団体部門

第15回 JTB交流創造賞 受賞作品

最優秀賞

漁師が地元の海をまるごと魅せる!漁船クルーズで町を活性化

マリン・ツーリズム山田(岩手県下閉伊郡山田町)

取り組みによる効果

「山田町といえば漁業体験」という観光客誘客、交流人口拡大に貢献しているほか、体験をしたお客様が、後日海産物を直接購入してくれ、さらにリピーターになるなど、山田産海産物のアピールに大きく貢献しているのを実感しています。

一番の効果は、漁師たちのこの活動に対する気持ちです。

最初は、片手間に受け入れをしていたり、「話すのは苦手」とガイド役をしてくれなかった漁師たちが、お客様が楽しんでいる様子、美味しいと感動してくれる様子、山田町っていいところと言ってくれることに、地元にいると気がつかない町の魅力、海産物の美味しさに自信をもち、「やりがい」と「自信」を感じてくれるようになりました。

いまでは、サポートスタッフがいなくても、自分たちの飾らない言葉で、自分がつくった海産物を紹介・説明し、おもてなしをしています。とくに、外国のお客様はとても表現が豊かなので楽しさや美味しさが漁師に伝わるようで、言葉が通じなくても、まったく躊躇せずに受け入れています。

もうひとつ、これは地域振興とは異なりますが、「震災のときのことを聞かれると辛いから、あまりお客さんと話したくない」と入会に積極的ではなかった漁師夫婦が、お客様と交流していくうちにガイドが上手になっただけでなく、自らの震災の経験をお客様に話すようになっていました。

とてもびっくりしましたが、あとからその漁師を会員に誘った方に聞いたところ、この活動をして本当によかったと言っていたそうです。山田町の多くの漁師たちは、津波でたくさんの大事な人を失っていますが、この活動が、被災した漁師たちの「心の復興」の一役を担っていたようです。

これまでの取り組み期間、継続期間について

2016年1月に新生マリン・ツーリズム山田を再開。8月より受入れ開始。現在3年目。

取り組み体制・組織、財源について

体制:有志漁師による会員制組織。事務局は山田町観光協会が担う。

山田町の体験観光コーディネート組織「やまだワンダフル体験ビューロー」(山田町体験観光推進協議会)が営業・PR・運営等をサポート。

体験料は、観光協会への事務手数料10%を差し引いた全額を会員漁師に分配。

会員漁師:8名

賛助会員:三陸やまだ漁業共同組合、(一社)山田町観光協会、山田町商工会、山田町水産商工課

年に1回の総会、必要に応じて打ち合わせ会を実施。

財源:年会費 2,000円(旗など雑費に使用)

その他、研修等スキルアップにかかる費用、広告宣伝費にかかる費用は、「山田町体験観光推進協議会」が負担。

今後の展望について

 お客様の受け入れ体制の強化をし(会員を増やす)、「山田町はおいしい」「山田町は楽しい」とお客様に帰っていただけるように、引き続き先進地域に学ぶなど、スキルアップしていく予定です。

 また、生産者と消費者(観光客)の繋がりによって、山田湾の海産物の認知度・ブランド化の促進をさらに進めることで、山田町全体の活性化を担っていきます。

 具体的な事業予定としては、「牡蠣の養殖施設の下をダイビング」「海中熟成ワイン付きクルーズ」「無人島でのアクティビティ付きクルーズ」など、お客様を飽きさせない新プログラム開発をしています。

 さらに、教育旅行なども積極的に受け入れ、子供たちに海の恵み、漁業という生業について知ってもらうことにも力をいれています。

概要と評価ポイント
【概要】

「マリン・ツーリズム山田」は2005年頃地元の漁師7〜8人で結成された会員制のグループ。当初は県内の子供達への養殖漁業体験を目的に活動していた。2011年の震災を境に一度は活動を中止するも、2016年夏に新生「マリン・ツーリズム山田」として再スタート。再開後は県外からも広くお客様を受け入れ、漁業を中心とする観光体験を展開している。取り組みでは山田町の資源のブランド化と、漁業の復興、そしてさらなる発展を目指す。

【選考委員の評価ポイント】

・観光客は山田町の漁師の“生きがい”を通じて、山田町ならではのリアルな体験を楽しみ、そこで生まれた今までにない交流によって漁師は“やりがい”を感じ、双方に大きな相乗効果が生まれている。
・2016年の再開以降、着実に規模を拡大しており(2019年9月時点で1000名以上受け入れ。再開当初の約3倍)、地元の方々のエネルギーが交流の源流としてしっかりと根付いている。
・復興支援のみならず、真に地域の人と資源、そしてアイデアによって活動を盛り上げ、思いを見える化し、観光客を巻き込むことに成功している。今後の事業予定からもさらなる発展が期待できる。

※会社名・団体名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

受賞作品

  • 受賞地域のいま
  • 受賞地域の取り組み
  • 交流創造賞 組織・団体部門
  • 交流創造賞 一般体験部門
  • 交流創造賞 ジュニア体験部門

JTBの地域交流事業