JTB交流創造賞

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交流創造賞 組織・団体部門

第14回 JTB交流創造賞 受賞作品

優秀賞

かかしによる「日本のふるさとの原風景」の再現・・・「奥播磨かかしの里」

ふるさとかかし親の会(兵庫県姫路市)

私たち「ふるさとかかし親の会」は、兵庫県姫路市安富町で人間そっくりの「かかし」を製作、集落ー帯に設置して「奥播磨かかしの里」として町から人を呼び込む村おこし活動を行っています。

姫路市の最奥部に位置する安富町地域は人口5,040名(H30/3月現在)で、年々人口の減少が進んでおり、5年前のH25/3月比でも370名減少しています。

中でも、北部の山間部は過疎化が激しく、空き家の増加、住民の高齢化が目立っています。ただ、この山間部は自然環境に恵まれ、また、のどかな山里風景が残されています。

この景観を活かし、独自の工夫を加えることで魅力ある山里を創出し、その魅力を発信して町から人を呼び込み地域の活性化を図ることが必要と考え取り組みを行っています。

取り組み内容

具体的な取り組みとして、安富町内の最奥部に位置する居住戸数8戸、住民数14名の関地区(空き家は約27戸)の集落ー帯に人間そっくりのかかしを設置し、「奥播磨かかしの里」として昔懐かしいふるさとの原風景を再現する村おこしを行っています。

現在、住民よりもはるかに多い約130体のかかしが一年を通して設置されており、見物客も多数訪れています。

また、更に活性化を図るため年に何回かの季節イベントを開催しています。(春・秋の野外カフェ、ふるさとかかしサミット、かかしの里のひなまつり、等)

活動内容の詳細は以下のとおりです。

〇「地域資源の活用」について

かかしの里は、今ある山里風景をそのまま活かし、その風景に溶け込んだかかしを設置することで昔の「ふるさとの原風景」を再現しており、集落内にある民家、倉庫、火の見櫓、段々畑などはもちろんのこと、ツタが絡んだ廃屋に至るまで昔ながらの風情を醸し出すものは全て貴重な地域資源としてその保全と活用に取り組んでいます。

その代表的なものとして、長年空き家になっていた古民家を活用した「ふるさとかかしギャラリー」、不使用の村の共同作業所を活用した「かかしの教室」、ツタが絡んだ「廃屋の掲示板」などの展示施設があります。

〇「観光、交流の促進」について

「ほのぼのとしたかかしに出会える村」「のどかな風景に心癒される村」として子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に親しまれ、多くの見物客が訪れています。

最近では、春・秋の行楽シーズンや「ひなまつりイベント」の開催期間には日帰りバスツアーのルートに選ばれ、京阪神方面や岡山などから観光バスがやって来ることもあります。

また、かかしと山里風景が一体化した絶好の写真撮影ポイントとして都会の写真同好会、写真教室のツアーもよく訪れています。

村の住民にとっても来訪客と言葉を交わす機会が増え、過疎で寂しくなる村ではありますが交流が生まれることで元気を与えられています。

全国の有名な温泉地や名所・ 旧跡のような賑わいもなく、過疎の集落にかかしが佇むだけの山里ではありますが、それが新たな魅力と感じ訪れる人が増えているものと考えています。

〇「地域の活性化」について

「奥播磨かかしの里」は各種メディアで紹介されたり、SNSでの情報発信などにより神戸・大阪方面など遠方からも見物客が訪れます。

また、「過疎地の特性を活かした取り組み」の先進事例として各地の同様の活性化を考える団体の視察も受け入れています。

全国規模の情報発信で言えば、H28年11月の朝日新聞のコラム「天声人語」に過疎集落の村おこしとして活動の様子が詳しく紹介されました。

また、H30年1月に放送されたBSの旅番組「大杉漣の漣っぽ」という俳優の大杉漣さん(故人)が旅をする番組で、旅の「お題」の最終目的地として選ばれ大杉漣さんが訪れたこともあります。

今年8月31日には日本テレビ放送網のクイズ番組でも全国ネットで紹介されました。

このように、「かかしの里」がメディアで紹介される機会も増えており、町の名前が紹介されることが地元住民の誇りにも繋がっています。

〇「地域における事業化」について

「かかしの里」は観光施設でも公園でもなく、住民が暮らす何処にでもある普通の集落であることが魅力と考えており、そのイメージを壊さないためにも入園料収入による運営は考えておりません。

しかし、展示施設そのものがかなり古い建物を利用していて営繕費用がかかることや、集落内の草刈り、展示用品の更新などにも相応の費用がかかります。

また、野外設置のかかしは衣服の日焼けによる色褪せ・変質のため半年に一回程度の衣替えが必要であり、かかし本体も劣化のため2年程度で更新が必要となります。

これらの維持費用は、かかしを見た見物客や、情報を得た各方面の企業・団体などから「店舗・施設のデイスプレーとして設置したい。」との申し出を受け有料で製作しているケ一スがあり、その製作代金を財源として充てています。

今後も活動を継続、更に拡充していくためには活動資金の確保は必要であり、かかしの有料での製作を事業化していくことが必要と考えています。

また、こうして各地の町の店舗・施設等に製作したかかしが設置され、人々の目に触れることが「奥播磨かかしの里」のPRに繋がるものと考えています。

※文中に登場する会社名・団体名・作品名等は、各団体の商標または登録商標です。
※本文は作品原稿をそのまま掲載しています。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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