JTB交流創造賞

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交流創造賞 組織・団体部門

第12回 JTB交流創造賞 受賞作品

選考委員特別賞

「芸能の都・大阪!」〜the capital of performing arts in Japan!

公益財団法人 山本能楽堂(大阪府大阪市)

取り組みによる効果

①上方伝統芸能全体の活性化。

②文化庁の事業として、平成24年度より、大阪府下の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に、上方伝統芸能に携わる演者を芸術家として派遣し、約300校で総合学習の時間を使って、能、狂言、落語、講談、浪曲の授業を実施し、上方伝統芸能全体の普及と伝承につとめる。

③本事業を約10年間、継続して実施している結果、大阪府と大阪市がたちあげた大阪のアーツカウンシルの提言を受け、大阪で初めて実施される大阪府・大阪市の協働の事業である「芸術文化魅力育成プロジェクト」の最優秀提案者として選ばれ、中之島の中央公会堂を使用して、上方伝統芸能の普及に取り組めるようになった。また、継続して事業を実施してきたことで、「伝統芸能」に多くの方に親しみを感じていただくことができ、この大阪初の事業のキーワードを、「伝統芸能」にして、他の事業者と協働で事業を行うことができた。

④修学旅行生、訪日観光、大阪への観光客、クルーズ船での観光客など、ありとあらゆる大阪を訪れる人々に、個別に上方伝統芸能を楽しんでいただく機会を創出し、上方伝統芸能の魅力を継続して、広く周知している。Ex.クルーズ船のお客さまに英語落語を楽しむ会、電鉄会社とタイアップしての街歩きと組み合わせた上方伝統芸能体験会など

⑤山本の能楽堂は大阪を代表するユニークべニューとして、観光庁のホームページにも取り上げられ、国賓をはじめとする要人の迎賓館として、または世界会議のレセプション会場として利用され、その機会に上方伝統芸能を上演することで、その魅力を世界に向けて発信した。特に、平成27年2月には、タイ王国首相夫人ご一行が大阪を訪れた際に、上方伝統芸能によるおもてなしを行い、高く評価された。(日本経済新聞などでの紙面でも紹介された)

⑥ロンリープラネットやフランスのPetit Fute、タイ、台湾、シンガポール、中国、韓国など世界各国の旅行雑誌や旅行ガイドブックの取材を受けるようになった。

⑦大阪城天守閣前広場の公共空間で、大阪商工会議所、大阪観光局の協力により、すべて英語の解説によるストリートライブ能を実験的に実施し、外国人に対する伝統芸能を活用した新たな観光集客の可能性を開拓した。

⑧大阪商工会議所、船場近代建築ネットワークとの連携により、大阪の中心部に位置し、大阪の経済・文化の発展の中心として知られる「船場地区」を、伝統芸能の力で活性化する事業を3年間継続して受託し、船場のまちに新たな魅力を添加し、地域活性化を行っている。(主催:大阪市中央区役所)

⑨事業実施前にはつながりの薄かった上方伝統芸能の演者のイベントへの派遣を行い、上方伝統芸能の演者の雇用の場を広げている。

⑩山本能楽堂は、地元のランドマークの役割を担いながら、上方伝統芸能全体の情報発信基地、ならびに教育・継承施設として、期待されている。

これまでの取組期間、継続期間について

■2004年 能の世界では希有な、初心者向け夜型公演、体験講座を開始。

■2006年 大阪商工会議所が推進する「大阪ナイトカルチャー事業」への参加
・大晦日に「大人のための年越しライブ」を大阪商工会議所と共同開発。

■2007年〜・大阪夜楽、初心者のための上方伝統芸能ナイトの開催。

*2008年 日本語、英語、韓国語、中国語の4カ国語の字幕付き公演を実施。

■2008年 「初心者のための上方伝統芸能ナイト」事業を継承し、毎月第1、3土曜日夜の定期公演とする。
*「水都大阪2009」の開催期間中、全て4カ国語の字幕付き公演を実施する。

■2011年 100回記念公演を迎え、記念企画公演を中の1つとして「全て英語の公演」を開催する。
英語の司会、英語落語、英語講談、お座敷遊び(英語字幕)、能(英語字幕)

■2012年 外国人教師と一緒に英語によるプログラム開発。

■2012年 「すべて英語による公演」を再演し好評を得る。

■2012年〜文化庁の事業により出演者を大阪府下の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の総合学習の授業の講師として派遣し、約220校で上方伝統芸能の普及と継承につとめる。

■2013年 春野恵子による史上初の英語浪曲の制作を、大阪商工会議所とともに実施。(3月公演で初披露)

■2013年 司会者に外国人を登用し、英語落語、英語講談、英語浪曲、お座敷遊び(英語字幕)、能(英語字幕)による「全て英語による公演」を2回実施し、大きな反響を呼ぶ。

■2014年 外国人司会者による「すべて英語による公演」を継続して実施。

■2015年 これまで要望の多かった昼公演を実施。

■大阪アールカウンシルの提言による大阪府・大阪市協働の初めての大きな事業である「芸術文化魅力育成プロジェクト」の最優秀企画者となり、中央公会堂で本事業を実施。

取組体制・組織、財源について

【 取組体制 】

主催:公益財団法人 山本能楽堂
共催:大阪商工会議所、大阪市
協力:大阪観光局

【 協力出演者 】

[ 能楽 ]山本章弘、波多野晋、松浦信一郎、山本博通、河村栄重、林本大、前田和子、井戸良佑、山本哲也、成田達志、守家由訓、荒木建作、中田弘美、上田慎也、野口亮、斉藤敦、善竹隆司、善竹隆平、上吉川 他
[ 文楽 ](大夫)豊竹英大夫、豊竹千歳大夫、豊竹咲甫大夫、豊竹呂勢大夫(三味線)竹澤宗助、鶴澤清志郎、竹澤団吾、豊澤龍爾(人形)桐竹勘十郎、吉田玉男、吉田幸助、吉田一輔、吉田玉佳、吉田玉翔、吉田玉誉 他
[ 上方舞 ]山村友五郎、山村若、山村侑、山村若隼紀、菊央雄司、澤智佐子、菊寺智子 他
[ 落語 ]桂春團治、桂南光、桂米團治、桂春蝶、桂かい枝、桂吉坊、桂ちょうば、桂阿か枝
[ 講談 ]旭堂南海、旭堂南湖、旭堂南青 旭堂南陽、太平洋、旭堂小二三
[ 浪曲 ]菊地まどか、虹友美(曲師)春野恵子、一風亭初月(曲師) 他
[ 女道楽 ]内海英華
[ お座敷遊び ]お茶屋「島之内 たに川」芸妓連中
[ 活動写真 ]大森くみこ

【活動の財源】

■助成金の採択を受け、観客に低価格で本格的な公演の鑑賞の機会を創出。
平成23年〜平成25年 芸術文化振興基金
平成26年 文化庁 劇場・音楽堂活性化事業
平成27年 大阪府文化満喫キャンペーン

今後の展望について

①事業を継続して実施し続けていくこと。それが何よりの上方伝統芸能による地域の活性化につながっていくと考えています。

②現在、能楽の海外公演は主催事業として実施しているが、能楽だけでなく、上方伝統芸能全体の海外公演を実施し、その魅力をダイレクトに海外に伝え、大阪への観光集客につなげる。

③すべて英語による公演を、毎月継続して実施し、海外からの観光客が訪れる人気スポットにする。

④海外からの要人をもてなす場として、上方伝統芸能を活用する。

⑤アニメーションを多用したアプリを多言語で開発し、世界に向けて、上方伝統芸能の魅力を発信しているが、今後さらに観光に結びつけることができるよう開発を継続して行っていく。(世界初の能楽の楽器演奏アプリアニメーションを使用した能楽アプリは無料でダウンロード可能。能の謡(うたい)を楽しむことのできるアプリは、来秋公開予定。)

⑥上方伝統芸能を志す若者たちが互いの芸能を学び、交流を行うことのできる「場」の育成。

⑦能楽堂の中の一部を、若手の演者たちの研鎮・発表の場として開放。

⑧他の芸術やアートを学ぶ者たちが、日本の伝統芸能について知り、学び、体験できる施設をして、「新たな芸術が育まれる場所」となり、多くの芸術・芸能が交わることで、次代へと日本の伝統芸能を継承していくこと。

概要と評価のポイント
【概要】

大阪のイメージを「下品で訪問したくないまち」から「歴史と文化のあるまち」へ転換することを目標として、約10年間継続して「初心者のための上方伝統芸能ナイト」に取り組んでいる。大阪府下の小中高での授業、修学旅行・訪日外国人の誘客にも取り組み、大阪市、大阪観光局、商工会議所とも連携し地域全体で文化芸能の普及活動も実施。

【評価のポイント】

●観光客向けに伝統芸能をわかりやすくコーディネートする役割を、民間の立場で果たしている点を評価。大阪の伝統芸能の継承にも寄与している。
●着地型旅行商品として素晴らしい。都市の伝統的な文化を伝承するために、外から来る人を受け入れる資源として非常に重要。

※会社名・団体名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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