小原ECOプロジェクト(福井県勝山市)
修復された古民家を活用し、より多くの都市住民の方が小原集落に滞在することが可能となり、交流人口の増加につながっている。
集落を訪れる人たちのリピーター率も高く、これらの人たちの口コミをはじめ、関係者の協力や広報により、参加者の輪が広がるとともに、大手の旅行業者によるツアーも増えている。
登山旅行者等からの地域環境保護協力金や、市天然記念物や歴史文化資源等を保全することにより、魅力的な地域資源の確実な保全やマナーアップにつながり、都市農村交流の一助となっている。
こうした交流人口の増加は、残された集落の人に活気を与える他、都市住民の人たちの感嘆の声から様々な地域資源の価値の再発見につながっている。都市等からの来訪者の感謝の気持ちが集落に愛着と自信を与えてもらっている。
他に研究者や学生論文等テーマ、調査対象とされることも多く今後の地域・集落の活動のあり方、将来像に大きな期待が寄せられている。
(1)地域の入りこみ客数 1,291人(平成25年度)
(2)古民家等での宿泊人数 563人(平成25年度)
(3)地域環境保護協力金 3,843人(平成25年度)
(4)ミチノクフクジュソウの保全活動参加者 186人(平成25年度)
(5)エコツアー参加者 218人(平成25年度)
・古民家修復活動(平成18年8月〜現在)
・ミチノクフクジュソウ保全活動(平成20年4月〜現在)
・地域環境保護協力金システム導入(平成19年9月〜現在)
・エコツアー開催(平成18年〜現在)
・国際ワークキャンプ受入れ(平成20年〜現在)
・耕作放棄地再生活動(平成20年〜現在)
・集落活動の支援:祭り、報恩講、草刈、雪囲い、屋根雪下ろし等(平成18年〜現在)
会費、寄付金、地域環境保護協力金、交付金及び補助金(国、県、市、民間)
ツアー参加費収入
豪雪地帯という気象条件や山間域の地理的条件を踏まえれば定住促進は難しいかと思われる。近い将来に訪れるであろう住民が存在しない中での地域維持のあり方、運営システムを地域資源を最大限生かした形で構築したい。
今後とも地域環境の保全と利用者の満足度向上に向けて、新たな魅力あるエコツアーのプログラムを開発するとともに、関係者と集落の連携をより進めていきたいと考えている。
地域特産品の加工、販売や地産地消による食の提供(豪華な料理ではなく、あたたかみがある地域料理)及び民芸品づくり体験や技術伝承やそれらを販売できる体制づくりを進めていきたい。
近年、企業の社会的責任、いわゆるCSR活動に力を注ぎだしているが、これまで当地域で行われてきた活動は環境面で見ても、それは広葉樹の植樹や河川等のごみ拾い等の活動が主であると考えられる。そこで、我々は自然や環境の点でCSR活動を行う、これから行う企業を対象に再生古民家等を自然環境や大きくはこの地球問題について考える、研修する場として提供していきたいと考えている。
それは、小原集落で実際の自然に触れ、そこにはどのような素晴らしいところと課題、問題点があり、それをどのようにして解決していかなくてはならないであろうという考える場としていきたい。
軌道に乗れば、メリットとしてコンスタントな利用が見込め、企業には小原地域の自然を通して環境や地球問題、地域の問題への意識が生まれ、意識の向上につながる。
福井県勝山市小原集落は自然に囲まれた限界集落。住民がたった2人というショッキングな状況にもめげず、古民家を修復した農家民宿を交流拠点に、地元大学・周辺住民らと観光振興に取り組んでいる。交流人口年間1200人以上を目標に、農村文化、動植物の生態系、地形などを資源とした多様なエコツアーを提供している。
●たった2人の住民でもこれだけのことができるんだという、未来への可能性を感じさせる。前向きに、力まず、粛々と継続して取り組んでいる姿に勇気づけられる。
●限界集落の存続を周辺都市、住民が参加し取り組む点で全国のモデルとなる。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。