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アルペンスキーチリ合宿レポート

こんにちは!
JTBコミュニケーションズの小池岳太です。
日頃はJTBスポーツブログを通じ応援をいただき、誠に有難うございます。

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さて、今回は8月20日~9月13日の日程で、チリ・サンティアゴ市近郊にあります、valle nevado(バレネヴァドスキー場 標高3000m~3760m)にて行われました、アルペンスキーのオーストリアチーム合宿参加レポートを致します。

先ず例年の活動の流れですが、アルペンスキーの大会は12月下旬から3月まで合計30試合ほど行われます。

国内で雪が降るのは年末に近くなってからのため、練習のため例年10月には欧州氷河にて合宿を行ってきました。
このように秋に大凡2週間の雪上練習を積み、冬季はほぼ毎週末試合となり、試合に体調も併せた調整練習。4月以降の春には、2週間ほど基礎練習や来期用具のテストをします。

しかしながら、過去3大会のパラリンピックで最高9位という成績を打破するためには、従来の方法では不足していることは明らかであったため、夏場にも硬い雪質でじっくり追い込んで練習する期間が必要と考え、今回のチリ遠征参加となりました。

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さて、今回は、アルペンスキー5種目(下記※1)のうち、特に強化していく高速系種目に特化した合宿でした。
それでは3週間の合宿で、どのような練習と生活をしたか、以下、レポート致します。

<1週目>
始めの一週間は個人練習期間として、雪上の慣らしと高度順応期間として充てました。
宿舎も2300mと若干低い宿に宿泊し、体調管理を第一に午前中に雪上、午後にジム練習をしていました。
ただ、高地のせいか体調が思わしくなく、一週間のうち雪上は3日。ジムだけの日が多かった期間でした。
最初は息がすぐにあがり、山頂では空気の薄さが露骨に分かるほどでしたが、ちょうど一週間でいつも通りの身体に戻ってきました。

<2週目~3週目>
オーストリアスキーチームに合流後2週間の合宿でした。

宿舎も標高3000mの箇所に移動。
一日のスケジュールですが、早朝から昼過ぎまで雪上練習、午後にジム練習、ビデオミーティング、合間にワックス作業(※2)、就寝前に長めのストレッチ、という全体の流れでした。

雪上練習メニューは、低速での基本姿勢確認のメニューから始まり、フリー滑走にて徐々にスピード上げてから、アルペンスキーの実戦練習である、旗門を雪面に立てた練習に移行します。

種目は大回転(時速30km/h~50km/hほど)から始め、高速系種目のスーパー大回転(時速60km/h~100km/hほど)、そして滑降(最高時速120km/hほど)の練習を反復しました。

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スーパー大回転種目練習の様子(写真提供:オーストリアチーム)

基本となる姿勢を、スピードが上がった中、また旗門の振り幅(ターン弧の深さ)や地面の凹凸によりタイミングがずらされる中を、いかに正しく動作し続けられるか、という点が大切です。
まだまだ低速時の良い姿勢が維持できない状態は多くありましたが、自分の中の限界スピードが上がったこと、そして安定した天候と硬い雪質で滑走量を増やせたことは、非常に価値のあった合宿となりました。

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滑降種目練習の様子(写真提供:オーストリアチーム)

<今後の予定>
直近の予定ですが、日本障がい者アルペンスキーチームの活動に戻ります。
・10月上旬は、JISS(国立科学スポーツセンター)にて体力測定やメディカルチェック、低酸素トレーニング合宿
・10月中旬~3週間 オーストリアの氷河スキー場にて雪上合宿
・11月下旬~3週間 カナダ・パノラマスキー場にて雪上合宿と、北米カップ出場
早いもので、3年後を切った2018平昌パラリンピックに向けて、残りシーズンで数えますと3シーズン目が本番です。

大前提の出場権獲得に向けては、毎年開催のワールドカップに出場し、種目毎ポイントを獲得しておくことが必須です。
そして金メダルを本番で獲得するためには、先ずは今期中のワールドカップ表彰台入賞を必達目標にしています。

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(写真提供:オーストリアチーム)

この合宿に参加したことで、過去にないほど良いスタートを切ることができましたので、先ずは次回雪上合宿に向けていまいちど身体作りに励み、シーズン通じて良い活動ができるように準備していきます。
以上、チリ遠征レポートでした!

小池 岳太


※1 アルペンスキーのルールと種目について
・ルール

スタートからゴールまで、旗門で滑走コースが定められ、一人ずつ滑走する競技。
2本の合計タイム(高速系種目は1本)で争い、障がい者は実際の合計タイムに障がいのハンディを設けた“計算タイム”で争っています。
その他、障がいに応じた用具の使用が認められています。(例:座位選手のチェアスキー、片足選手が手に持つアウトリガーと呼ばれるもの)

・種目(回転弧が小さく、距離が短い順から)
回転、大回転、スーパー大回転、滑降、複合
俗に技術系種目は回転、大回転。高速系種目は、スーパー大回転、滑降と呼ばれます。 複合は、1本目に高速系の種目、二本目に技術系種目の回転を行う総合力を問われる種目です。

※2 ワックス作業について
スキー板のメンテナンス(両サイドの鉄製のエッヂの研磨や、翌日の雪質、雪温に合わせたワックスを滑走面に塗り込む作業)のこと。
海外チームはその道のプロが帯同するのが通常ですが、日本チームはこれまで選手自身で行ってきました。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの関係や、障がい者スポーツを取り巻く環境の変化により、冬季の競技団も今冬から予算が増えたため、全ての遠征とは行きませんが、プロのスタッフが帯同くださる予定です。

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