ベトナムの歴史とともに学ぶ ベトナムコーヒーの飲み方、楽しみ方
ここ最近のベトナムは、急激な経済発展に伴い、先進諸国のようなインテリジェントビルが目立ってきましたが、各都市には、まだまだベトナムの歴史を感じる、古き時代の建築物が残されています。特に首都のハノイやハノイ近郊には、一歩路地裏へ入ると古い建物が残されており、あたかもタイムスリップをしたかの様な感覚に襲われてしまうでしょう。
ハノイには著名な建築家が設計した博物館や政府施設に加え、昔からの古い建築物もまだ数多く残っているのですが、それぞれ同一の建築方式ではなく多様性を帯びているのがハノイの魅力。実は現有する建築物は2つの国(中国・フランス)の影響が色濃く反映されているので、その濃密度によって違った表情を醸し出しているのです。
今回はこの独特の融合文化と、そこから生まれたベトナムコーヒーについてご紹介させていただきます。
二つの大国による植民地支配と文化の融合
ベトナムの歴史・文化に大きく影響を与えた国は中国とフランスだといえます。紀元前111年から始まったといわれる中国による統治は、1885年にフランスと清が天津条約を結ぶまで約1000年も続きました。そしてその後約90年にわたって今度はフランスによる統治が行われ、1946年にようやく自らの手で独立を勝ち取り今のベトナムがあります。
もちろん中国・フランスだけでなく、インドシナ半島他民族文化や日本・アメリカ等、ベトナムを通過し、影響を残した事は言うまでもありません。それをうまく取り入れ自国の文化と融合させていったのがベトナム人。この力強い国民性こそがエスニックな風景を作り、独自の文化として昇華出来たのではないでしょうか。
ベトナムは今まさに、伝統的農業国家から先進的工業国へ変わろうとしています。 ただ、産業が発達すればするほど、歴史的な建築物や道路の維持が難しくなってしまうことは想像に難くありません。ベトナムの最大の都市ホーチミンではすでに高層ビルの街が広がりつつあり、ハノイにおいても、空港ターミナルや橋などの新しい構造物が林立し始めました。だからこそ、まさに今が「古い街並み・古い建築物」を楽しんでいただけるチャンスなのです。
街の中のカフェ文化
ところで、ベトナムのコーヒーは、フランスの植民地時代に持ち込まれたといわれています。大河の流れが変わるごとく、伝統的なお茶文化からコーヒー文化へ、それは大きな時代の流れだった事でしょう。カフェ大国といっても過言ではないベトナム。なんといっても、コーヒー生産量は、あの「ブラジル」に続き世界第二位でもあるのです。全世界のコーヒー総生産量で言うと約20%を占め、ベトナムコーヒーで多用されるロブスター種のみだと約40%(堂々の世界第一位)となり、重要な輸出品目でもあります。
そんなコーヒーを愛して止まないベトナムの人々ですが、街の片隅にあるカフェで、将棋(中国将棋)を指しながら一杯のコーヒーを楽しんでいる姿が良く見られます。コーヒーはフランスから、将棋は中国からという事で、こんなところでも文化の融合を感じ取る事が出来ますね。また、お茶の文化が廃れたかというとそうでもなく、地元のカフェではコーヒーを注文する前に蓮茶がお水代わりに出てきます。ベトナムコーヒーはかなり濃い目なので、ベトナム人はコーヒーの量が少なくなってくると、その蓮茶をコーヒーに足してかさを増やしたりもします。
ベトナムコーヒーの飲み方
ベトナムコーヒーは、ロブスター種の豆を濃い目に抽出します。飲み方は、ホット・アイス共に、ベトナム式ドリッパー(アルミ製)でゆっくり落としていき、好みでコンデンスミルクなどを用いて味を調整します。クリームなどでの調整しているのは見かけません。比較的、ハノイを含め、北部の人々より、南部の人々のほうが甘めにする傾向があるようですね。ちなみにこのベトナム式ドリッパーは、比較的安価で手に入ります。お土産にももってこいですので、日本に帰ってからもハノイの街角のような香りを楽しんではいかがですか?
また、ベトナムには、スタンダードなベトナムコーヒーのほかに、ちょっと変わったコーヒーも存在していますので、少しご紹介してみましょう。コーヒー豆本来で変わったものというと、ジャコウネココーヒーや、イタチコーヒーなどがあります。 こちらは、コーヒーの豆を食べた動物の排泄物から、未消化の豆を取り出して炒ったコーヒーです。聞こえは非常に悪いですが、非常に香り高く、希少価値も相まって、高価格で取引されるほど人気が高いようです。また、コーヒーに付加した飲み物で言うと、卵コーヒー(コーヒー味のミルクセーキみたいなもの)やマンゴーコーヒー(コーヒー味のマンゴージュース)なども意外と美味しいんですよ。
街は、入り組んでいるところや、日本語や英語がまったく通じない所が多々あります。大通りにも、沢山雰囲気のある建築物がありますので、十分、安全を鑑みてご鑑賞下さい。また、カフェは沢山ありますが、衛生面でお勧めできないところも沢山ありますの、日本で発行されている旅行ガイドや、弊社デスクでも確認してみてくださいね。
もし、ご心配の場合は、オプショナルツアー「日本語ガイド」プランもございます。現地のガイドと共に、いろいろな話を聞きながらのカフェめぐりもまた旅の思い出になること間違いなし。上でご紹介させていただいたマンゴーコーヒーも、ハノイ市内観光に参加いただくと途中のカフェで飲むことが出来ますよ。