十分の天燈節とローカル線・平渓線の魅力

願い事を込めたランタンを、1年中上げることができる十分の街ですが、旧正月の時期だけは、ちょっと雰囲気が変わります。「天燈節」と呼ばれるイベントで夜の暗がりに火を灯したランタンをいっせいに上げるのです。ここでは幻想的な空気に包まれる十分の街と、ローカル線の魅力を味わえる平渓線（へいけいせん）の魅力をご紹介しましょう。

天燈とは？
天燈とは紙製のランタンのことで、高さは1mくらいあります。実際にそばで見るとけっこう大きいです！その中に火を灯すと、中の空気が温められて軽くなり、ふわっと浮かんでいくのです。熱気球が空に浮かぶのと同じ原理ですね。

台北郊外、十分は天灯上げで知られていて、訪れれば1年中ランタンを上げることができます。いろいろなところでランタンが売られていますので、それを買ってランタンに願い事を書くと、お店の人が火を灯してくれて、ランタンを上げるのをサポートしてくれるのです。

なぜ十分で天燈上げが盛んなのか、諸説あるそうですが、一説には、十分が神様が住む場所に一番近い町と考えられているからだそう。神様に一番近い町で、願いを込めてランタンを上げてみてはどうでしょう。

平渓の天燈節は、旧正月の15日（元宵節）に催されるランタンのお祭り。その歴史は古く、清朝の頃にまでさかのぼるそう。かつては「五穀豊穣」や「子孫繁栄」などを願って天燈が上げられる農村のお祭りでしたが、時代の流れとともにさまざまな願いが込められるようになりました。 今では、台湾全土はもちろん、世界中からこの天燈上げを楽しみに多くの観光客が訪れる、台湾を代表するお祭りの一つになっています。

元宵節の当日、夜になるとメイン会場で参加者がそれぞれの願いを書いたランタンに火が灯されいっせいに夜空に上げられます。暗い夜空に無数の、明るいランタンが上げられ、ちょっとほかでは経験できない幻想的な雰囲気に包まれます。

会場でランタンを上げるためには、当日受付で配られる参加証が必要ですが、これは大変人気であっというまになくなってしまうそう…なのでどうしても元宵節にランタンを上げたい方は、朝早くから受付に並んだ方がいいかもしれません。

けれど、この会場以外にも、日中に、いろいろなところでランタンが上げられますので、あきらめないでくださいね。

旧正月のイベントなので、開催時期は毎年変わります。2015年の元宵節は3月5日。メイン会場ではこの日に天燈上げが行われますが、お祭りは2月22日～3月5日の期間に開催され、さまざまなイベントが行われます。台湾の人気歌手やバンドなどのライブもありますよ！

台北から十分に行くには、バスなどさまざまなアクセス方法がありますが、台北ローカルな雰囲気を味わってみたいなら、「平渓線」というローカル鉄道がオススメです。

平渓線で十分へ行くには、台湾鉄道の台北駅から瑞芳駅へ行きます。「自強号」（特急）など45分ほどです。瑞芳駅で平渓線に乗り換えて、ローカル線でトコトコと25分程度で十分に到着です。のんびりと進む列車の車窓は、台北の景色とはまったく異なり、山の緑と渓谷とを進みます。

途中のいくつかの駅は、少しさびれたような、ひとけのない雰囲気…。というのもこの路線、かつては炭鉱町を結ぶ線路で、その賑わいも石炭の衰退とともに失われ、今はその面影を残すのみ、という駅も少なくないのです。けれどその、少しもの悲しい空気が、古き良き時代のどこか懐かしいようなノスタルジーも感じさせてくれます。沿線の、そんな独特の風景も人気の一つなのです。

途中駅には、「十分瀑布」として知られる滝などもあり、自然豊かな見所の多い路線でもあります。ランタンが売られていて、いつでもランタン上げができるのは、十分の駅を降りて老街へ進んだ辺り。線路のすぐそばまで軒が迫るさまは、ちょっと日本では体験できない「ギリギリ」感で、電車が来るとハラハラすること間違いなし、です！？

こんな、いかにも台湾の日常の風景に触れられる平渓線、興味ある方は体験してみてくださいね。個人ですべて手配するのはちょっと・・と不安な方は、台北発のオプショナルツアーも多く販売されています。JTBでもランタン上げと平渓線、さらに九?も組み合わせたツアーをご用意していますので、ご参考までにどうぞ。