クメール美術の最高峰!カンボジア にある「東洋のモナリザ」とは?
たとえ時間が限られていても、シェムリアップに来たらぜひ訪れていただきたいのが小さな遺跡「バンテアイ・スレイ」。
アンコール遺跡群の寺院などに比べるとはるかに小規模ですが、「東洋のモナリザ」とも称される女神像で世界的に知られている寺院です。
そのほほえみのすばらしさは、この遺跡の後に作られることになるアンコールワットの壁画などにも受け継がれ、アンコール芸術を、いっそう華やかでふくいくとした香りに包んでいます。
バンテアイ・スレイの魅力をJTB現地スタッフがご案内します。
デヴァターがいざなうアンコールの至宝
アンコール・ワットから北東へ約30km。
寺院バンテアイ・スレイは、世界中からファンが押し寄せるカンボジア屈指の遺跡の一つです。
アンコールワットができる100年以上も前、967年に建てられたこの寺院は、東塔門からのびる参道が67m、その向こうに続く境内は、3重の壁と濠とに囲まれ、一番外側の壁は95m×110mと、あっという間に一周できてしまうほど小規模。
しかしそこに築かれた寺院には見事なレリーフが施され、好きな人なら1日中いても飽きないほど素晴らしいです。
中でも「クメール美術の至宝」ともいわれるのが、中央の祠堂に刻まれた女神(デヴァター)像。高さは1mと小柄な女神ながら、ゆるやかな曲線で浮き上がる胴部とやわらかな笑みとで、見る人を虜にしてしまいます。
その美しさに心を奪われ、1924年に女神の一体を盗掘したフランス人作家アンドレ・マルローのことは、あまりにも有名です。
遺跡の保護のため現在は中央の祠堂へ入れませんので、女神たちは10m離れた場所から見ることになりますが、それでもその芸術性は十分感じとることができるでしょう。
その他のレリーフにも圧倒されます!
寺院や塔門などを彩るレリーフにも、思わず圧倒されます。
バンテアイ・スレイはヒンドゥー教の寺院であり、壁画として描かれているのは古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」の物語。
シヴァやヴィシュヌ、ブラフマーといった神々が生き生きと描かれるだけでなく、精緻なレリーフでその世界観が表現され、思わず息をのむ迫力です。
バンテアイ・スレイは、遺跡全体が赤っぽいのが特徴ですが、それは石材に紅色の砂岩やラテライトなどが用いられているため。
ほかのアンコール遺跡ではあまり見られないこの色合いも、ジャングルの緑に映えて、また美しいのです。
アクセスは?注意点は?
バンテアイ・スレイへ行くには、シェムリアップ市内から車で約1時間。
タクシーをチャーターすることもできますが、可能ならガイド付きのツアーなどに参加するのがおすすめです。
知識豊かなガイドさんに遺跡を解説してもらうと、その面白さが倍増します。
この地域には、クバール・スピアン(竜に横たわるヴィシュヌの像で知られています)やベンメリア(密林の中の遺跡)など、いくつもの遺跡も発掘されています。
ほかの遺跡と組み合わせて回るのも楽しいですよ!
注意点
バンテアイ・スレイの見学順路は原則として反時計回り。
参道前の東塔門から入り、祠堂裏の西塔門から出るよう決められています。
見学時のベストタイムは、やはり朝日にバラ色の砂岩が輝く午前中。
けれど午前中は多くの観光客で混むこともあります。
またレリーフや彫刻、彫像などに触らないようにしましょう。
JTBではバンテアイ・スレイと、巨樹に覆われつつあるタ・プローム遺跡とを組みわせたツアーもご用意しています。
そちらもぜひご参照ください。