カンボジアの穴場!バンテアイチュマール遺跡
カンボジアの遺跡はシェムリアップだけにあるのではありません。かつて東南アジアに一大帝国を築いたアンコール王朝は、ベトナムからタイに至るまで、インドシナ半島各地にさまざまな建造物を残しました。そのひとつが「バンテアイチュマール」。アンコールワットから北西に約150km、タイ国境近くにある壮大な遺跡です。その魅力と行き方を、JTB現地スタッフがご案内します。
タイ国境近く、密林に埋もれた遺跡
「バンテアイチュマール」は、知る人ぞ知るアンコール時代の遺跡です。バイヨン寺院やアンコールトムを手掛けた偉大な王・ジャヤヴァルマン7世が建てた寺院で、その建築様式もバイヨン寺院と同じです。
カンボジア北西部のうっそうとした密林に、埋もれるようにひっそりとたたずんでいますが、その敷地の周囲は約3km、幅65mの環濠を持ち、東西南北の参道には、悪神アシュラと神のデヴァが並びます。入口から続く十字型のテラスと25mの搭門の上には、バイヨンと同じ四面仏尊顔が飾られています。
敷地内には祠堂が整然と配され、その回廊には、やはりバイヨンと同じ様式の絵図が彫られています。特にチャンパ軍との戦の様子は圧巻です。
バンテアイチュマールを特に有名にしているのが、回廊に彫られた、千手観音のような観世音菩薩の像。22手を持つこの菩薩は、風雨にさらされながらも鮮明に残されていて、その美しい姿には思わず目を奪われてしまいますよ!
交通の要衝として発展
今ではジャングルの中に、ひっそりとたたずんでいるかのようなバンテアイチュマール。
なぜこのような場所に、これほどの寺院が築かれたのでしょう。
アンコール王朝の絶頂期を築いたジャヤヴァルマン7世は、周辺の国々を次々と従え国土を拡大させます。現在のタイからベトナムの近くまで、インドシナ半島の大半を支配下に置いた王は、広大な領土の縦横に道路を建設して、王都アンコールと各地とを結びます。
バンテアイチュマールは、アンコールとタイ東北部のピマーイとを結ぶ王道の途中にあり、北部地域の拠点として発展し、最盛期には15万人~20万人が住んだと考えられています。バライと呼ばれる貯が整備されるなど、高い生活水準だったことがうかがわれます。
王はこの北部の重要な都市に、この壮大な寺院を建設したのです。この寺院はジャヤヴァルマン7世の息子の菩提を弔うため、と言われています。
道路が整備され日帰りも可能に!
バンテアイチュマールは、遺跡ファンには以前から注目されていましたが、遺跡周辺一帯は、長らく一般の旅行者が立ち入りできない危険なエリアで、地雷等も数多く埋められていました。それらの撤去が進んでからも、道路の整備が遅れ、シェムリアップからはデコボコの道を車で5~6時間かけていくしかありませんでした。
けれどこの数年、バンテアイチュマール観光の拠点となる街シソフォンまで、ようやく道路が整備されてアクセスがスムーズになったため、シェムリアップから2時間前後で行けるまでに改善、がんばれば日帰り観光も可能になりました。
現地旅行会社から、シェムリアップ発のツアーなどが発売されていますので、ぜひそのようなものを選ぶか、あるいは信頼できるタクシーなどをチャーターして訪問されることをお勧めします。
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