インド旅行前に知っておきたいデリーの道路事情
急激に経済発展するインドでは、特に大都市で車が一気に増え、道路の渋滞が深刻な社会問題になっています。しかも車が急増するペースに比べ人々の規範意識は、少々ゆるめ、ゆったりめ…。運転する人も歩行者もあまり交通規則やマナーにとらわれず、マイペースに行動する傾向が見られます。
日本の道路事情にすっかり慣れている日本人からすると、思わず唖然としてしまうことも少なくないインド、中でもデリーの道路事情を、JTB現地スタッフがご案内します。
4車線のはずが5車線?6車線?
インドは車社会、中でもデリーは車が溢れていて、年中渋滞で悩まされています。2002年に地下鉄が開業し、公共交通網が徐々に整備され始めてはいますが、それでも車の急増に追い付かず、デリーの道路では、日本ではあまり体験できないような事態によく遭遇します。
タクシーなどに乗ってまず驚くのが、不意の頻繁な割り込み、そしてクラクションの騒々しさかもしれません。
1日中車で溢れ返る幹線道路では、ドライバーは隣の車線が少しでも空いていると、すぐに割り込もうとします。しかも、ほとんどの車がちょっとでも隙間があると、むりやり入ってくるのです。それが全車線で繰り広げられるうちに、だんだん車列がわからなくなり、4車線のはずが5車線になったり、時には6車線になったりします。ひどい時には、対向車線を逆走する車も出てくるほどです(それも1台ではなく車列になって逆走する光景が、たまに見受けられます)。
こうやってどんどん割り込むせいか、多くの車がしょっちゅうクラクションを鳴らします。バイクやオートリキシャーもひっきりなしに鳴らすので、道路はそれは賑やかです。日本ではクラクションはよほどのことがないと鳴らしませんが、インドでは「通りますよ!」とか「ここに私がいますから、気をつけて下さい!」という感覚で、気軽に鳴らしているようです。
信号もあてにならない
デリーでは日本のように、信号を守って整然と進み停止するのが当たり前、では決してありません。守らないで交差点に突っ込んでくる車も少なくありません。そんな時には盛大にクラクションを鳴らしながら通ることが多いようです。「通るから避けてねー」といったところでしょうか。
とはいえ、歩行者はたまったものではありません。青信号と思っていたのに車が通過しようとするのですから、横断歩道では歩行者は十分注意して、もし車が猛スピードで近づいてくる場合には、迷わず歩道に下がるのが正解です。
歩行者もマイペース
歩行者もかなりマイペースです。車同様、信号を守る人はあまりいないので、ちょっとでも車が途切れると、赤信号でもみなスタスタと渡り始めます。横断歩道以外のところを横断する人も大勢います。車は猛スピードで走ってきますので、はたから見ると危なかしくてしょうがないのですが、インドの人々はすいすい交わしながら渡ってしまいます。
また、高速道路でもなぜか人が横断していますので、運転者は「車専用道路」と油断してはいけません。いつ人がふいに横切ってくるかわからないからです。
路面はデコボコ、サスペンションはガチガチ、朝晩は大渋滞
首都デリーであっても、道路の舗装状態は決していいとは言えません。あちこちで工事が行われ路面はデコボコし、砂や石が道路に上がってガタつくこともよくあります。また減速させるために、スピードブレーカー(道路に凸面をつけること)が設けられている交差点も少なくありません。それに気づかず減速しきれずに通過すると、激しい衝撃を受けます。
そんな道路を、サスペンションの硬いタクシーなどで通ると、車体は大いに揺れます。あまりの揺れに乗っているだけですっかりクタクタ…。そんな時に大渋滞に巻き込まれると、本当にもうぐったり…です。しかもそれは、ほぼ毎日起こり得ます。
タクシーは道を知らない
本来、外国人旅行者にとってタクシーは、手軽に利用できる心強い移動手段、のはず。しかしデリーでは道路を知らないドライバーが多く、乗車した後で行き方がわからないと言われたり、同じようなところをぐるぐると回ったり、さんざん遠回りをした挙句に、メーター通りの料金を請求されたり。また、タクシーを予約したのに予定の場所で何十分も待たされたり、挙句の果てにドライバーに予約を勝手にキャンセルされたり…タクシーが実際には当てにならないこともしょっちゅうあります。
でも、これがデリーです。
猛スピードの経済発展に合わせて猛烈な勢いで増え続ける車、それに追いつかない公共サービス、それよりさらにエネルギーに満ち溢れる人々、それがデリーなのです。
このような特殊な状況なので、現地の旅行会社は慣れない方にレンタカーなどをほとんど勧めません。また、タクシーでのトラブルも頻発しているため、日本の外務省やインドの政府観光局は旅行者に注意を喚起しています。この状況に不安を感じる方、スムーズでストレスのない移動手段を求める方には、送迎サービスや信頼できる車のチャーターサービスなどをお勧めします。
JTBでも、日系企業関係者が多く住むグルガオン地区と空港とを結ぶ送迎サービスなどを実施しています。ご参考までにどうぞ。
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