インド最大のヒンドゥー聖地、バラナシへ行こう

5000年の歴史を持ち悠久の流れを讃えるガンジス河。インドへの旅行といえば、ゴールデン・トライアングル(デリー、アグラ、ジャイプール)が知られていますが、やはり1度は行っていただきたい場所がここ、バラナシ(Varanasi)です。
毎年インド全土より100万人以上のヒンドゥー教徒達が、清めの沐浴と祈りの儀式のために訪れます。このインドらしい異国情緒溢れる魅力を、JTB現地スタッフがご紹介します。

日の出のガンジス河。印象的な光景です。

聖なる川、ガンジス河とは


日本の文化や歴史、そして精神性を表象するのが富士山であるとすると、インドのそれは間違いなくガンジスです。
全長約2500kmのインド北部を流れるガンジス河はヒマラヤの氷河を源に、いくつもの支流と広大な流域面積を持つ大河、そして、ヒンドゥー教徒にとって聖なる河とされています。
インドの神話によると、天界のみに流れていた聖なる川が、人々の苦行と祈りによって地上を流れるようになりました。しかし、あまりにも大きいガンジス河の落下の衝撃で地上界が壊れぬよう、シヴァ神が自らの額で受け止め、髪の毛を伝って地上へ下るようになりました。

このエピソードはシヴァ神を象徴する物語として知られ、シヴァ神を描いたイラストや絵画では、大河からの激流を髪で受け止める姿を描いたものも多いんですよ。また、ガンジス河そのものもガンガーという女神として神格化されています。
この母なる河ガンジスに身をゆだね、死んだ時は母に抱かれてヒマラヤに帰って行くことを願って人々は篤い信仰を捧げます。

ガンジス河、朝の顔と夜の顔


~朝~
ボートに乗ると水上から日の出と沐浴の風景が広がります。人々は早朝から身を清め1日の生活のスタートを切ります。その熱心な祈りの姿を見ればきっと、我々との人生観や宗教観の違いが感じられるはずです。
1.バラナシ最大の沐浴場として知られる「ダシャシュワメード・ガート(Dashashwamedh Ghat)」から、手漕ぎのボートに乗船しましょう。ガンガーへ降りる階段にはバラモンの祭壇が並びます。
2.ボートがゆっくりと岸沿いを滑り、河沿いに建ち並ぶ400~500年前の建物を見ながら進んでいきます。
3.ゆっくりと陽が昇るにつれ水面がオレンジ色に染まっていく風景は感動的。途中、お土産船が近づいてきたり、マニカルニカー・ガート(火葬場/Manikarnika Ghat)を遠目に見られます(写真撮影厳禁)。その他、ガンガーの水で洗濯する人や水泳、ヨガ、口をゆすぐ人、花売りの女性など様々な風景が垣間見られます。

※ガートとは、岸辺から階段状になって水面へと続く堤のこと。バラナシには84ものガートがあります。

~夜~
ダシャシュワメード・ガートでは、日没とともに始まる祈りの儀式が行われます。アルティーと呼ばれる、人々の尊敬の念が最も込められた儀式です。バラモンの祭司たちがガートからガンジス河に向かい、音楽とともに祈りを捧げます。その表情は、暗闇を灯明が照らし、どこか違う意識へと誘われていく幽玄世界が毎夜繰り広げられます。
儀式の様子を簡単にご紹介しましょう。
1.白檀が焚かれ1人の僧侶がサンスクリット語の祈りを唱え始めます。
2.インド古典楽器の生演奏とともに6人の僧侶が祈祷の歌を響かせます。
3.いよいよガンジスに聖なる火を捧げるメインの儀式へ移り、燭台の灯りが幻想的に揺れます。
4.祭壇の周りに集まった信者たちにスィクという神聖な木でガンジスの水を振り撒きます。

「アルティー」という夜の祈りの儀式が行われます。

1日中煙が立ち上るマニカルニカー・ガート(火葬場)


遺体を燃やして灰にし、それをガンジス河に流すことはヒンドゥー教徒にとって最大の願い。遺体がガンジスの水に浸され、火葬の薪の上に載せられると喪主が火をつけた後24時間その煙が途絶えることはありません。ガンジス河の水は万物を浄化し、この世の苦しみから全てを解き放ち、解脱(げだつ)できると現在でも考えられています。
ここでは撮影は厳禁。ただ静かに見つめ、昔からの慣わしを感じてみてください。

朝のボートツアーを終えたら、外から見ていたガートの裏に迷い込んでみませんか。日本とはまったく違う、インドならではの異世界体験も面白いですよ。
狭い路地から見る窓の向こうは朝ごはんの支度をしている人、角にはひげそり屋、突然遭遇する牛たち、カラフルな建物、そしていくつもの行き止まり…ここは1人歩きでは難しいので、できればガイドに案内してもらうのがいいでしょう。

ボートから降りたらガートの裏へ足を延ばしてみましょう。

夕暮れのガートの風景

聖なるお土産、ガンジスの水

昔からガンジスの水は不思議と腐らず、時間を置けばおくほど透明になる聖なる水と言われています。遠くから巡礼に来た人々は当時は壷に入れて持ち帰っていました。現在はガートでペットボトルやポリタンクが売られ、多くの信者がガンジスの水をお土産に持ち帰り、体にふりかけて身を清めたりします。但し、異教徒である私たちにとっては決してきれいなものではありませんので、口にしないようにしましょう。

色とりどりの建物が朝日に映えます。

バラナシへ行くには


デリーからだと2つの行き方があります。
<飛行機>
所要時間:約1時間30分
エアインディアのほか3社での運航。航空会社によって様々ですが週約6~7便。

<列車>
所要時間:12~17時間(遅延多々あり)
1日9便ある中、ニューデリー駅18:55発(2015年7月現在)の12560-Shiv Ganga Exp.で翌バラナシ7:20着がおすすめ。寝台列車を利用し、のどかな田舎風景を眺めながらの移動です。1~3等車まであり、寝具と冷房付。食事は食堂車であればチケットに含まれていることがあります。時々スナックやチャイの車内販売があります。但し、スリも多発していますので特に就寝中はお気をつけ下さい。
※時期によって列車ダイヤとフライトスケジュールは変動しますのでご注意下さい。

このように生と死をこれまでも、そしてこれからも見つめ続けるガンジス河。
ヒンドゥー教徒の生死の根源は、この川に集約しているといっても過言ではありません。
いかがですか。インド最大の聖地バラナシを体感してみませんか。

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