ラミントン国立公園の楽しみ方、世界遺産を訪ねる旅
クイーンズランド州南東部とニュー・サウス・ウェールズ州北東部にまたがる大森林地帯は、「オーストラリアのゴンドワナ多雨林群」として世界遺産にも登録され、独特の自然環境や生態系で知られています。この大森林の一部に、世界最大の亜熱帯雨林が広がるラミントン国立公園があります。ビーチリゾートとして人気の高いゴールドコースト(クイーンズランド州)ですが、内陸部(通称ヒンターランド)方面へ車で約1時間(約80km)程度で行ける、とても訪れやすい国立公園です。
公園内には、15~20分程度の軽い散策ルートや、数時間から1日かけて歩くコースまでが整備され、誰でも気軽に亜熱帯雨林を楽しめます。
ゴールドコーストの背後に広がるラミントン国立公園は、国内最大の亜熱帯雨林の保護区で、その面積は約20,000haにも及びます。園内には170種類もの植物、38種類もの動物が生育、生息しており、なかには約3億年~1億年前に南半球に存在していたとされるゴンドワナ大陸に由来する植生も残されています。また、絶滅危惧種、希少種、あるいは絶滅の危機に晒されている植物は58種、動物は22種に上ります。まだまだ人間に“発見”されていない小生物も無数にいると考えられているとか。
森林浴で癒やしの時間、ブッシュウォーキングで楽しむ亜熱帯雨林
ラミントン国立公園内は、初級者から上級者向けのウォーキングルートが無数に張り巡らされています。約1kmの散策程度のコースから片道20km超の本格的なウォーキングコースまでさまざま。随所に設置された展望台(Lookouts)からは、海岸沿いのゴールドコーストの町やクイーンズランド南東部、ニュー・サウス・ウェールズ州北部を一望に。ダイナミックに流れ落ちる滝、渓谷、樹齢1000年超のレッドシダーと呼ばれる巨木や、優美なグランディスユーカリの木など、太古からの大自然を存分に体感できます。
鳴き声がまるでムチを打つような音のムナグロシラヒゲドリ(Eastern whipbird)の声をに驚いたかと思えば、赤と青色のアカクサインコ(Crimson rosella)や、赤と緑色のキンショウジョウインコ(Australian King-Parrot)、そして黄色と黒色のフウチョウモドキ(Regent bowerbird)など、目の覚めるような色彩の野鳥に出会ったり。森林浴でリラックスする癒やしの時間を存分に楽しみたい人にオススメのブッシュウォーキングです。
公園内には2カ所の宿泊施設
宿泊施設もあります。ラミントン国立公園は、グリーン・マウンテンズとビナブラの2つのエリアに大きく分けられます。グリーン・マウンテンズにあるのがオライリーズ・レインフォレスト・リトリートです。客室数は66室と48のヴィラがあり、プールやスパ施設も完備。宿泊客向けにウォーキングや4WDでのエクスカーションなどの各種アクティビティも提供しています。
ビナブラにはビナブラ・ロッジがあります。ロッジには散策ツアーやアクティビティなど国立公園を楽しむプログラムが用意されています。
また公園内にはキャンピング場が両エリアそれぞれ各1カ所ずつあります。利用の際は事前予約とともにキャンピング料として1人1泊AUD5.6が必要。この利用料は利用人数や泊数などによって異なります。
ラミントン国立公園に宿泊するチャンスがあったら、晴れていたら、ぜひ夜、外に出てみてください。こぼれ落ちそうな満点の星が夜空いっぱいに広がっています。くっきりと姿を見せる天の川、南十字星を探したり、日頃見る星座が逆さまに見えたり、きっと飽きることなく眺められるはずです。
野鳥の目線で多雨林を眺めると
オライリーズ・レインフォレスト・リトリートから徒歩15分ほどのところに、地上15mの木と木の間に架けられた吊り橋があります。ツリー・トップ・ウォークと呼ばれるこのアトラクションは、この吊り橋を渡りながら、野鳥や木の上の動物たちと同じ目線で熱帯雨林を眺めることができます。果物の実や昆虫などを食べに来た野鳥を間近に見るチャンスも。いつもは見上げる木々ですが、見下ろす感じがなんとも新鮮です。
世界自然遺産「オーストラリアのゴンドワナ多雨林群」
「オーストラリアのゴンドワナ多雨林群」について紹介しましょう。
クイーンズランド州南東部とニュー・サウス・ウェールズ州北東部に広がる大森林地帯で、約50もの自然保護区で構成されています。総面積は約36万6455ha。これは埼玉県とほぼ同じ面積です。この広大なエリアに、亜熱帯、冷温帯、暖帯の各地域の植生があり、古大陸ゴンドワナ大陸の残存種とされるナンキョクブナの熱帯雨林、ナンヨウスギの熱帯雨林なども見られます。あたり一帯は、古代ゴンドワナ大陸由来の植生、その系統や共同体にある動物が幅広く生息しています。また多くの絶滅危惧種に指定されている動植物が生息、生育しています。
ゴンドワナ大陸は、古生代後期から中生代前半にかけて、つまり約3億年前から約1億年前にかけて、南半球にあったと考えられる大陸のこと。その後、分離移動して現在の南アメリカ、アフリカ、オーストラリア、南極大陸、マダガスカル、インドへと姿を変えたと考えられているそうです。
ラミントン国立公園のグリーンマウンテンを訪れる、JTBのツアーもおすすめです。
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オプショナルツアー(現地発着)AUD180〜大人(12歳以上)1名あたり世界遺産に登録されるラミントン国立公園を訪れます。地上約15mの吊り橋から亜熱帯雨林を楽しみます。途中、アルパカ牧場でのモーニングティ、野鳥の餌付け体験、オージースタイルのランチも含まれます。