棟方 有紀(場所:青森県)
夏休みに私たち家族は、東北のねぶた祭りを見に行ってきました。「らっせーらー、らっせーらー。」のかけ声でおおぜいの「ハネト」とよばれる踊り子たちが、汗びっしょりになって踊り続ける様子や、色とりどりの巨大ねぶた屋台の迫力に合った太鼓の大音響、その音はどんどん私に迫ってきて、私は見てるだけなんて“がまんできなく”なりました。
私は父母にたのんで、「ハネト」の支度をしてくれるお店に飛びこみました。浴衣を購入し、そのお店で着付けをしてもらうことにしました。着丈の短い浴衣に、ワラジ、帯をしっかりとしめて、色とりどりの肩タスキをしてもらって、たくさんの鈴を腰に飾り付けて完成です。私は、着付けをしてくれたおばさんたちに、「ありがとうございました。」とお礼を言うと、二人のおばさんは、「なもなも、ぐーぐとわっつどけっぱってけろ。」と言って、私をえ顔で送り出してくれました。
もちろん私は、青森の方言は使えないけれども、おばさんたちは私に「どういたしまして、さっ急いで思いっきりがんばっておいで。」と言ってくれたことが分かりました。私はおばさんたちに、最高のえ顔で「行って来ます。」と元気に答え、店から目の前を通りかかったねぶた屋台の後ろに入り、たくさんのハネトたちと一緒に踊りながら、足の後ろ側が痛くなるまで、はね続けることができました。
すごく楽しかったです。観光客として見ているだけなんて何だかもったいないし、絶対つまらないと思います。青森のねぶた祭りに「ハネト」として参加し、私も一日青森県人になることができて大満足でした。
その日の夜は、少し離れたキャンプ場で一泊し、よく日、私たちは秋田に向かう途中、八甲田山(はっこうださん)の近くにある酸ヶ湯(すかゆ)温泉に立ち寄りました。この温泉は、千人風呂が有名で、子供からお年よりまで、男の人もいれば女の人もこのお風呂に入れるのですが、小学四年生になる私は、少しはずかしいと思いながらも、思い切って父と入ることにしました。入ってみたら、すごく広い湯船が二つ以上もあって、湯けむりで前がよく見えません。目がなれしばらくすると、関西弁、英語、中国の言葉も聞こえてきました。
私は、みんなが楽しそうにおしゃべりしているのがはっきりと分かりました。
みんなで入るお風呂は、私たちの心をのんびりと、気持ちよくさせてくれます。
今回、青森県への旅をしてみて、私はこれから、もっともっとたくさんの人たちと会ってお話ししてみたいと感じました。
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