JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第14回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

中学生の部

入選

Before After homestay

近藤 初音

ホームステイの一週間は本当にあっという間でした。たくさんの思い出を作り、たくさんの写真を撮り、色々な場所を訪れました。その中でも特に心に残ったことを二つ紹介します。

一つ目はホストファミリーと過ごしたことです。建築家のお父さんと事務職のお母さんとミドルスクールに通うエリー、大型犬のモリーが私のホストファミリーでした。エリーとは折り紙をしたり、日本語を教えてあげたり、大きな庭でトランポリンをしたりしました。エリーはとても優しく本当の妹のように接してくれました。日本から持ち込んだレトルトで簡単な和食を作ると、家族みんなで慣れないお箸に苦戦しながら全部食べてくれました。お湯を注いだり、レンジでチンするだけでも喜んでもらえて良かったです。

二つ目は、日本を出る時から楽しみにしていた食事です。アメリカの人たちはどんな物を食べているのか、スーパーではどんな品物がいくらで売っているかとても興味がありました。食事で一番忘れられないのは、やはりハンバーガーでした。KYOTOという名前のそれは、厚さ三センチ以上のツナがはさんであり、バーガーの概念をくつがえす程美味しかったです。ファミリーと食べた朝食は、とてもシンプルで、シリアルか冷凍パンケーキだけでした。ガロンという単位のタンクに詰められたジュースや牛乳が巨大な冷蔵庫から出て来ました。スーパーでは、カラフルなシリアルが何種類も売られていました。日本のLサイズより何倍も大きなピザやフォトジェニックなカップケーキは、どれも日本より安く売られていて驚きました。

アメリカンサイズの食事にも慣れ、スーパーで駄菓子のようなものをたくさん買い、地元名産だというケチャップを買い、このままずっとアメリカで過ごしたいと思い始めた頃に、別れの日はやって来ました。日本に戻るのが悲しくて、今までの楽しかった夢から覚めてしまうのがさびしくて、涙が出そうでした。アメリカっぽいものを忘れないように、機内で出されたナッツはポケットにしまいました。

しかしそれは、乗り継ぎのハブ空港でのことです。日本で暮らしてきて、それほど和食が好きだとも思わず、アメリカ味にすっかり染まりきったはずだったのに、免税店をこえて、おしゃれなブティックの横に日本食レストランがあったのです。日本人のビジネスマンや旅行中らしいアメリカの家族が食事をしていました。店内から漂ってくる懐かしい出汁の香り、つやつやの白米ごはん、薄いしょうゆや味噌の香りが私を捉えました。

今までの人生で「どうしても今、何かを食べたい」と強く思ったことは無かったけれど、私はその時、どうしても味噌ラーメンが食べたくなり、夢中でお店にかけこんで、注文しました。十四ドルもするラーメンは、高いと思うけど、今まで食べた食事の中で最高にほっとする味でした。

この旅から帰り、ホストファミリーについての考えが変わりました。ゲストを迎えることは大変だけれど、決して無理ではないということです。自分がホストになるとは考えたことが無かったけれど、エリーが日本に来る時には、私の家に来てほしいと思いました。

そして、アメリカの食事は魅力的なものが多かったけれど、私の体や心を満たすソウルフードは、米や味噌やラーメンといった日本の気どらない「普通のごはん」だったということに気付きました。

知識だけではアメリカも私自身のこともわかりませんでした。旅の魅力は、知らない世界について新たな経験をするだけでなく、その世界に飛びこむことで、新たな自分を知ることができる所だと思います。

これからも色々な味と色々な自分を知るために、旅に出たいと思います。

※文中に登場する会社名・団体名・作品名等は、各団体の商標または登録商標です。
※本文は作品原稿をそのまま掲載しています。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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