JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第14回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

中学生の部

入選

つなぐ「モノ」

西幹 彩乃

今年の夏、私はカナダに二週間の短期留学に行った。目的地である学校の寮につくまでの間、たくさんの人に会った。そのほとんどの人が目があった瞬間、ニコッとほほえみ、

「Hi!」

とあいさつをする。日本ではあまり見かけないことだったため、私はあいまいに笑い返してごまかすことしかできなかった。寮につき、これからはじまる生活への不安と日本国外の友達ができる、という期待とが入り混じってうずをまいているなか、寮での最初の食事にいった。食堂に入った瞬間、一人の女の子がほほえみながら、

「Hi! What‘s your name?」

と話しかけてきてくれた。しかし私は驚きと緊張から、かろうじて自分の名前を言えただけだった。相手に申し訳ないな、と思っていたが、相手の子は英語で

「私はリサ。よろしくね。」

と言ってくれた。このことをきっかけに、私はこれからは積極的に笑顔で話しかけていこう、と思った。

しかし、現実はそうあまくはなかった。なぜなら、日本人にはない勢いに圧倒されたからだ。その結果、最初の三日間は話しかけられるのを待ってから、友達になる、というような流れでしかできなかったため、全然友達がいなかった。しかし、そのことから学んだこともあった。友達になるためにすることはあまり多くない、ということだ。それは、笑顔であいさつをし、喋ること。それぐらいならできるかも、と思い、翌日から頑張ってみることにした。

最初は名前がききとれなかったことで怖気づいてしまい、ききかえすことすらできなかった。しかし相手が笑顔で話しかけてくれたため、そのあともなんとか喋ることができた。だから、友達になることもできた。回数を重ねていくにつれて友達が増えたことにより、自信ができ、自分からもっと喋りかけることができるようになった。

あっという間に二週間がすぎ、ついに帰る日になった。友達にお別れを言い、空港に向かって出発した。

途中のフェリーで女の人にあいさつをされた。あいさつをかえすと、

「これから何をするの?」

ときかれたので、

「日本に帰る。」

と答えることができた。

「私も日本に行ってみたい。」

と言われたときには、

「ぜひきてください」

といい、私のおすすめの京都の話をした。

笑顔で一言言うだけで、きっとその人とはつながることができると思う。それのくり返しで、世界はもっともっと笑顔が増えるのではないだろうか。だから私はこれが小さなことだとしても、これを続けていきたいと思う。

後日、友達と約束していた花火大会に出かけた。電車ののりかえの時、一人の外国人の男性に会った。彼は目が合うと、笑顔であいさつをしてくれた。私も笑顔であいさつをした。その時、カナダからの帰り道話しかけてくれた女の人を思い出し、私も勇気を出して

「どこにいくんですか。」

ときいてみた。すると、

「雷門にいきたいが、よくわからない。」

という答えがかえってきた。口頭で説明してもよかったのだが、花火大会に行くための通り道だったので、

「一緒にいきましょうか。」

と言った。すると、

「ぜひ。」

という答えがかえってきたので、二人で笑顔で話しながら、目的地に向かった。

※文中に登場する会社名・団体名・作品名等は、各団体の商標または登録商標です。
※本文は作品原稿をそのまま掲載しています。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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