石原 由貴
私は、夏休みにかん国のソウルに行きました。そして、「笑顔をつくるまほう」を発見しました。
かん国に着いた日の夜、やき肉を食べに行きました。お店に入ったとき、店員のお兄さんはお母さんと英語で話していたけれど、私達が席についたら、お兄さんは「荷物はここにどうぞ」となめらかな日本語で話してくれました。そして、お兄さんとお母さんは日本語で話を始めました。私はびっくりしました。他の国の人がこんなにぺらぺら日本語を話すのを聞いたのは初めてだったからです。
りょう理が運ばれて来ました。お母さんはかん国語が話せないけれど、「カムサハムニダ」と一言、言いました。すると、お兄さんはとてもうれしそうな顔をしました。その後も、お兄さんはにこにこしていたけれど、やっぱり一番うれしそうな顔をしていたのは、お母さんがかん国語を話した時でした。だから、私もかん国語を話してみようと思いました。
かん国語の「감사합니다」(カムサハムニダ)は「ありがとう」という意味です。私はお母さんに教えてもらって、お店を出るときお兄さんに「カムサハムニダ」と言ってみました。そうしたら、お兄さんは、はじけるような笑顔で、「ありがとうございました」と日本語で言ってくれました。私は初めてかん国語を話して心ぞうがとび出すほどドキドキしたけれど、かん国人のお兄さんが日本語、日本人の私がかん国語を話したから、おもしろくて思わずお兄さんとふき出してしまいました。
お母さんに「안녕하세요」(アニョハセヨ)というかん国語も教えてもらいました。日本語で「こんにちは」という意味です。私はお店に入るたびに、「アニョハセヨ」「カムサハムニダ」とあいさつをしました。ある店員さんは電話のほんやくきのうを使って、どうにか私と話そうとしてくれました。おたがいが笑顔になれたしゅん間でした。
私は、英語が話せたら、世界中の人と話せると思っていました。学校でも英語を習っています。たしかに英語が話せると、たくさんの人と話ができると思うけれど、おたがいを本当に知るためには、その国の言葉を話すのが大切だと思いました。そして、その国の言葉を話すと、みんなが笑顔になります。私は笑顔をつくるまほうだと思います。このまほうはむずかしくないです。たった一言でもいいのです。このまほうを他のみんなにも教えたいです。
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