JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第13回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

中学生の部

入選

優しさは言語を超える

熨 みちる

私はこの夏休みに初めて海外旅行に行った。行き先はドイツ。留学している姉に会いに行くということで、この夏休みを利用して母と一週間滞在した。人生初の海外旅行がヨーロッパ、ましてや言葉がわからないドイツなど、行く前はとても不安だった。しかし現地の人はとても優しかったし、日本の夏と違って涼しく過ごしやすい場所だった。だから充実した旅行になった。そんなドイツで日本の文化との様々な違いを見つけた。

ドイツに着いた瞬間、私はまず交通量の多さに驚いた。自動車はもちろん、バスや路面電車もたくさん走っていた。バスには終バスがなく、夜通し走っているそうだ。またドイツは自転車の普及率がとても高いと思った。街行く所に自転車が走っていたり、止めてあったりしているのを見た。その普及率の高さは自転車専用道路や自転車専用信号があることからもうかがえる。日本ではあまり見られないが、自転車に自己流のアレンジをほどこしている人もいた。ハンドル部分に花かざりを付けていたり、ベルを自分好みのものに変えたりしていた。自転車のベルはいろいろなお店で売られていたので、ドイツではそれほど自転車がメジャーな乗り物なんだと感じた。旅行中は何度か電車やバスに乗ったが、ドイツの電車は満員ではなく、座席がたくさんあってとてもゆったりとしていた。一車両ごとに一階と二階に分かれていて、グリーン車がいくつもつながっているようなつくりだ。バスは二車両つながっているような形で、間には日本の電車にもあるようなじゃばらがあった。とても大きくて、車内も広かった。ドイツの電車やバスはとても快適に過ごすことができた。移動の多い旅行だったけど、いつもあっという間に目的地に着いたような気がした。

交通量の多さもそうだが、私はドイツと日本の文化の一番の違いはあいさつにあると思う。それは特にお店に入る時に感じた。日本では「いらっしゃいませ」とあいさつするのは店員だけで客からあいさつすることは少ない。しかしドイツでは、「Hallo!」と双方向からあいさつを交わしていた。買い物を終えて店を出る時にも「Tschüs!」と言ってお互いが気持ちよく終わる。素敵な習慣だなと感じた。日本でももっと愛想よくお互いにあいさつするべきだと思う。

この一週間のドイツ旅行を通して、異なる国の言語が話せることはとても素晴らしいことだと思った。旅行中、言葉が通じなかったり、文字が読めないがために、姉に頼ってばかりだったからだ。しかし、それ以上に素晴らしいことを学んだ。言葉が伝わらなくても相手に気持ちを伝えようとする姿勢や、どんな人とも笑顔であいさつをするなど、コミュニケーションをとることの大切さである。実際にドイツ人の二人の女性が荷物を持ち上げるのを手伝ってくれたり、バスや電車で席をゆずってくれた人もいた。これらは日本でも見かけることだが、言葉が通じなくても人の優しさは伝わってくることがわかった。これはドイツや日本に限らず、どこの国に行っても同じだ。また、私もドイツに着いたばかりのときは自分からあいさつができなかったが、気づいたら自然とできるようになっていた。それはきっと、ドイツ人の方々が明るくあいさつしてきてくれたからだ。このように相手の優しさが伝わるのは言葉だけではないと思う。私なりに学んだこれらの大切なことを生かしてコミュニケーション能力、表現力が豊かな人間になりたい。

※文中に登場する会社名・団体名・作品名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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