JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第13回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

中学生の部

入選

温かさ感じる街

朝海 美加

人生初の新幹線を体験しながら、行ったことのない関西、大阪に着いた。

私は、夏休み、家族に旅行に行こうと言われ、「いいね」と言ったものの、行き先が大阪と決まっても、別に変わったことはないだろうと事前に何も調べていなかった。だからなのか、私達の日常とは全く違った文化に戸惑いと観光以外の新鮮さを覚えた。

観光地を満喫後、疲れてぐったりとしながら、ホテルへ向かうタクシーに乗り、行き先を告げると、

「知らんなぁ。」

「商店街の近くです。」

「覚えとこ。なんぼ。」

迷うことなく、平然と値段を聞かれ、正直戸惑いと非常識さを感じた。警戒し、うやむやに回答しても具体的に当てようとしてくる。素っ気なく答えても、その後も無言になることは無く、その人に悪意は全くなさそうだった。むしろ、気になり、知りたいという気持ちが伝わってきた。口調も穏やかで、話していてなんだかすっかり意気投合し、この地域の相場を聞いたりして楽しくなってしまった。続けて、何処を観光するのかまで聞かれ、

「明日は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンです。」

と答えると

「あそこは、馬鹿みたいに混んでるなー。四、五時間待ちは当たり前やでー。」

もはや、初対面ではなく、近所のおじさんと話している気分になった。

わずか十五分程度の乗車だったが、すっかり友達のようになれた。もしかすると、クラス変えをしたばかりの友達と話し始めるより早く意気投合した気がする。

振り返ると、私が普段乗る地元のタクシーで話しかけられることはあまりない。会話は、行き先と乗車金額以外、お互い無言だ。気を遣わなくて済むから楽だし、違和感を覚えることもなかった。しかし、今回の旅行後、家路へ向かうタクシーでは、無言の車内に違和感しかなかった

よくメディアでも「大阪人や関西人」等と言われている意味が良く分かった。駅のホームで電車を待っている時にも、キャリーバッグを持っている私達に

「この電車、今宮に着くん。」

と聞いてくる。母が携帯で調べていると、待っている私に

「ええなぁ、おばちゃんも昔はパソコン使いながら稼いだんやでー。やけど、もう機械を使うのはこりごりや。」

と会話してくれる。大阪には人への警戒心というものが皆無のようだった。

放っておかれるところを放っておけない。そんな温かさを感じた。それと同時に私の中の当たり前の冷たさを気づかされた。他人は他人。用もなく話しかけない。困っている様子を感じなければ、極力関わらない。私にはそんな考え方しかなかったことに気づかされた。だからこそ非常識なんて思ったのだろう。気を遣うことなく話しかける中で、気になったことは気になるから聞くし、面白かったら笑う。これが関西の文化で、私の知らなかったもの。なんて素敵なのだろう。文化の違いを認めることが大切なことというものを実感した。

今回の旅行で感じたことは知らない人とでも楽しく話せるという大阪の素晴らしい文化である。そのことを教えてくれたタクシーの運転手の方にまず、感謝したい。

大阪だけではなく、もちろん、私の住む群馬にも良いところがある。伝統的なものがたくさんあるところだ。さらに関西の文化のように他人にも警戒することなく温かみ溢れる心で接することが出来れば、更に良いところになるだろう。

今回の旅行で感じた人の温かさを大切にしていこう。そして、地元群馬で私から発信していこう。

話していて笑顔になれる。ずっと居たくなる。そんな群馬に、大阪人ならぬ群馬人になっていきたい。だから今度は私がみんなへ話しかけていこう。

「ようこそ群馬へ。自慢出来る伝統がたくさんあります。じっくりお話しするので、ゆっくりして行ってください。」

※文中に登場する会社名・団体名・作品名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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