青木 孝憲 (旅先:高知県桂浜)
ザバザバザー、スー。ザバザバザー、スー。
なみの音は、今もぼくの耳にのこっています。スーっと引くんだけれども、またすぐにザバザバザーという大きななみが、強い風といっしょにやってきます。
「こっちにおいで」
って、なみがさそっているみたいです。ぼくは、桂はま(高知県)の砂はまで、なみの声を聞きながら、長いあいだ、風にふかれていました。
桂はまから見た海は、とても大きくて、広くて、世界にむけて広がっていました。きっと、坂本りょう馬はこの風けいを見て、海を好きになったんだろうな。ここに立って、
「会社を作って、船でぼうえきするぜよ!」
と言ったのかなあと、そうぞうしました。
ぼくは、りょう馬が大好きです。なぜなら、江戸時代の終わりのばく末に、日本を大きくかえたからです。りょう馬みたいになりたいから、りょう馬のことをもっと知りたいと思いました。それで、高知県に来たのです。
われい神社にも行きました。われい神社はりょう馬がだっぱんして土佐はん(今の高知県)をはなれる前の日に来たところです。神社は、山の中にありました。だれもいなくて、ぶきみにかんじるくらいしずかで、音がないばしょでした。
きっとりょう馬は、だっぱんするけついを知らせに行ったんだと思います。ぼくは、りょう馬がのぼった石だんをのぼって、りょう馬がしたように、神社に手を合わせました。
神社におかれていたノートには、りょう馬にむけたメッセージが、たくさんの人に書かれていました。ここに来た人は、「よしっ、がんばろう」と思うみたいです。ぼくは、ノートに、「りょう馬みたいになりたいです」と書きました。
高知県に行ってみて、もっとりょう馬を好きになりました。そして、少しりょう馬にちかづけたような気がしました。りょう馬が見た風けいを見て、りょう馬と同じことをしてみたのです。そうぞうしていたよりも、海は広かったし、いがいと神社はこわかったです。
ぼくは、もっとりょう馬のことを知りたいです。今どは、長さきに行きたいです。かめ山社中というりょう馬が作った会社があったばしょに立ってみて、海を見下ろしたいです。長さきの海を見てみたら、どんなことをかんじるかなあ、どんな風がふいているのかなあ。今からとてもワクワクします。
高知県でりょう馬のことを知ってみたら、また、りょう馬のことを知るたびに行きたいと思いました。知れば知るほど、もっともっと、たびをしたくなりました。
高知県桂浜を訪ね、坂本竜馬の足跡や生き様に触れ大いに感化された旅/竜馬に対する思いから高知県での発見につながっていて、ダイナミックな視点となっている
●坂本竜馬に興味を持って観察しており、旅先で竜馬の足跡や生き様に触れ大いに感化された旅が素直にいきいきと描かれており新鮮である。
●現地の状況が目に浮かぶように書かれており、竜馬に魅了されることによって更なるゆかりの地への期待が生まれたことも書かれている。
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