松浦 夏帆
今年の夏休みに家族四人で東北地方へ、一泊二日の旅行に行きました。ツアーのプランは中尊寺や立石寺など、基本的に寺社巡りの様なものでした。正直、寺社にあまり興味が無い私にとって、事前にそれを聞いてしまい到底楽しみにできるものではありませんでした。
そんな中当日になって、ツアーの集合場所になっている東京駅に着きました。するとそこには私と同じくらいの歳の人は二人しかいなかったのです。あとの人は、外国の方の家族連れ、ご年配の女性、そしてほとんどは私にとって祖父母の年代の方でした。ここまで子供が少ないとは思っていなかったのでがっかりしました。今思えば本当に失礼だったと思います。
そして全員が揃い、新幹線に乗って福島駅まで行きました。それからはツアーバスでプラン通り、それぞれの観光地へ向かいました。
立石寺に行った時、ふざけて私がそこにあった弁慶の木造の真似を弟にやって見せると、弟の他にもう一人の笑い声が聞こえたのです。その笑い声の正体はなんと、外国人の男の子でした。私はこの時、言語が違ってお互い言葉を交わすことはできなくても、世界の笑いは共通で一瞬にして友だちになれる。そう思いました。また、その外国人の家族はどの観光地に行っても驚き、楽しそうにしていました。日本を見て喜んでもらえていると思うと、自分のことの様に嬉しくなりました。
いろいろな観光地を巡ってやっと宿舎に着くと、そこはもう大騒ぎで言葉で表せないと言う程従業員みんなが慌てていました。その理由は、一日にいろいろなツアー団体客が今までに無いくらいの数来てしまったからです。そのことで、食事の席が全然足りなくなり、一時間待たせてしまう事態が発生してしまったのです。こんなことになれば、待っている人は相当イライラしているのだろうと思い、恐る恐る列の前方を見てみました。すると、怒っている人なんて誰ひとりといないと思えば、
「ご飯はお腹が空けば空く程おいしいんだよ。だから私たちは逆にラッキーだね。」
という声まで聞こえました。予想外の反応に驚くと共に、日本人の温かみを感じました。順番が来ておいしい料理を食べ終わり、レストランを出ました。すると、店の責任者の様な人が私たちに、
「多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し分けございませんでした。」
と言いながら深々とお辞儀をしたのです。私も軽い会釈を返しながら、エレベーターの方へ向かいました。エレベーターが来るのを待っている間、先程の責任者の方を見ると、レストランから出てくるお客さん一人一人にお詫びの言葉を言いながら深々とお辞儀をしていました。混雑してしまったのは誰のせいでもないのに、丁寧すぎる程の対応から優しさが伝わりました。
こうして、二日目は特にハプニングは無く終わりましたが、何よりも印象に残ったのは最初から最後までツアーを仕切っていたツアーガイドの方でした。常に自分よりお客様優先で気づかってくれました。年配の女性が一人で持っている大荷物を持ったり、急に大雨が降ってきた時に、自分はびしょ濡れになって私たちに傘を渡してくれたりしていたのです。ツアーが終わって参加者に拍手されると、嬉しさで涙を流していました。ツアーガイドの方の人の良さにひたすら感動しました。
この旅行を通して、改めて日本の良さを体感できました。誰に対しても丁寧で優しく、おもてなしの心が強い。これが日本固有で自慢していけるところだと思います。同じ日本人の私がこう感じたのだから、外国人からすれば感動を越える感情が芽生えるはずです。私が感じた感動を、より多くの人に感じてもらいたいです。そのためにも日本の誇れるおもてなしの心が広がっていってほしいです。そして私も、今回出会えた人の様になりたいと思います。良い出会いがたくさんできた、最高の旅行となりました。
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