JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第12回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

小学生の部

入選

初めての二人旅

池上 遼

「やったー、二人だけで着いた」

心は達成感でいっぱいでした。

ぼくが初めて弟と二人で電車の旅をしたのは二年生の時のことです。ぼくのおじいちゃんの家は矢かげにあり、井原線の小田駅が最寄駅です。それまではいつも車で行ったりお家の人といっしょに電車で行ったりしていました。でも何度も行っているうちにどうしても自分たちで行ってみたくなりました。そしてついに弟と二人で電車にのって行けることになりました。

いよいよ当日。総社駅のホームまでお母さんが送ってくれました。その日までに降りる駅名を言う練習を何度もしました。さいふの中にも駅の順番を書いたメモを入れました。いよいよ出発です。ふだんはあまり人がいない井原線なのにその日にかぎってたくさんの人が乗っていました。ドキドキして、持っていた荷物がなくならないようぎゅっとにぎりしめました。きんちょうして弟とも話ができませんでした。しばらくするときんちょうがほぐれてきてまどから外の景色をながめることができました。井原線は高い所を走っているので遠くの山や田んぼも見えて気持ちがいいです。でもトンネルに入ると耳がツーンとするので少し気持ち悪くなる時があります。矢かげ駅に近づくと古い時計が見えます。それを見ると矢かげに来たなと思います。でも、次の駅で降りないといけないので忙しいです。ねていた弟に、

「はよおきて」

と言い起こしました。そして、小田駅に着きました。小田駅のホームではおじいちゃんがまっていてくれました。おじいちゃんの顔を見た時、

「やったー、二人だけで着いたぞ」

ととてもうれしくなりました。そして自分たちでお金を払って降りることができました。ホームから降りる時、おじいちゃんが

「よく来れたなー。すごいなー」

と言ってほめてくれました。その後、すぐそばにあるコンビニによりました。ごほうびに好きなカードをぼくと弟に買ってくれました。それから、総社にいるお母さんに電話をしました。ぶじに着いたことを知らせると、

「がんばったな。えらいな」

とほめてくれました。そしておじいちゃんの車で、家につれて行ってもらいました。

その後何度も二人で電車に乗って行くようになりました。行くたびに電車の乗り方にも慣れていきました。最近ぼくは野球の練習がありあまり電車の旅をしていません。いつもむかえに来てくれていたおじいちゃんも一年前になくなりました。でもいつか時間をつくってまた電車の二人旅をしたいと思います。そしておじいちゃんのお墓まいりに行きたいと思います。

※会社名・団体名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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