芳賀 祐太朗
七月三十日、ぼくは熊本城へ行きました。大分県で開催される空手の試合に出る前日、母が急に行こうと言い出したからです。ぼくはそれほど興味はなかったけど、ついていくことにしました。
十時ごろ到着して車から降りると、ものすごく暑かったです。日差しが強くて肌がじりじり焼けるようでした。この暑さの中を歩くのがめんどくさかったけど、カメラでとんぼや景色を撮影しながら熊本城に向かいました。
熊本城の入口に着くと、おじいさんが話しかけてきました。
「見てごらん。熊本城と書かれた石碑の土台から上が回転しているよ」
おじいさんは、ボランティアで観光ガイドをしている人でした。今年の四月十四日に発生した熊本地震によって、石碑がずれてしまったことを教えてくれました。熊本城はこの地震で中に入ることができなくなっていたので、ガイドさんが、外から見学できるコースを教えてくれました。
「この先の戌亥やぐらを見てきてごらん。石垣が崩れているのに、残った石でちゃんと支えられているよ」
案内のとおりに進んでいくと、あちこちで塀や石垣が崩れていました。一メートルくらいの大きな石が転がっているのを見て、地震がこれほど大きな石を動かすほど大きいものだったんだと実感しました。テレビのニュースで、熊本地震の被害状況を見てきたけど、実際に近くで見てみると、迫力があって、感じ方がが全然ちがいました。
戌亥やぐらに到着しました。やぐらの下の石垣が大きく崩れていて、角の一つは、外側一列の石だけでやぐらを支えていました。石のバランスが少しでも崩れたら、その上のやぐらがかたむいて、崩れ落ちてしまいそうでした。ぼくは、その一列の石が使命感をもって支えているように見えて、かっこいいと思いました。まだ、余震が続いているけど、修復が終わるまで、この先もがんばってやぐらを支え続けてほしいです。
突然の思いつきで始まった熊本城への旅だったけれど、ぼくにとって、忘れられない旅となりました。やぐらを支える大きな石垣を崩すほど大きな地震が起きたこと。それを実際に自分の目で見たときの迫力の大きさ。そしてそのことを旅行客にボランティアで説明してくれる人たちがいること。いろいろな発見がありました。復興に向けてがんばっている熊本城を見て、ぼくにもできることがなにかあるか、探していこうと思いました。
これからもぼくは旅をしていきたいです。自分の目で見て、その場所の人と話しをして、いろいろなことを発見していきたいです。
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