JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第12回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

小学生の部

入選

越後妻有の大雪と鳥追い

佐藤 優宙

「何でこんなに雪があるの」と、ぼくは、大雪に埋まった村の風景にびっくりしました。バスが止まった道の両側には、三メートル以上の雪の壁があります。ぼくは、子供がいなくなった村の鳥追い行事に参加するため、仙台から新潟の山奥の越後妻有へ来ていました。

宿泊する廃校へ歩いて行くと、ドサボドンと大きな綿アメのような雪が降って来ました。見たこともない大きな雪の固まりです。今度は、ピチピダピチと氷の粒が、顔に当たり、とても痛いです。その次は、粉さとうのような細かい雪がフワサララと降って来ました。雪国には、いろいろな種類の雪が降ります。

宿泊する廃校に着くと、積もった雪が、二階建ての屋根までありました。それを登ると、簡単に屋根へ上がることができました。校庭にも雪がたくさんあります。ぼくは、雪だるまを作るため、雪の上を歩こうとしました。すると、足がズボーと、どこまでも入っていきます。もう片方の足で踏んばろうとすると、その足も、雪の中に入っていきます。手をついて、立ち上がろうとすると、手も雪の中に入っていきます。一メートルの雪の穴から抜け出せなくなりました。最後は、お父さんが、何とか引っ張り出してくれました。たった二歩で、そう難するところでした。雪の上を歩くにはコツがいります。足に体重をかけないように歩き、少しずつ雪を踏み固めて、雪の中に氷の橋を作ります。ぼくは、校庭にたくさんの氷の橋を作りました。ちょっとでも、氷の橋から落ちると、深い雪でそう難します。

夕方になると、鳥追いの行事が始まります。村に子供がいないので、ぼく達が、悪い鳥を追い払います。三角のわらのみのをかぶり、わらの長ぐつをはきます。ちょうちんを持って出発します。「あわんどり、へんどり、てんじくまでかけあがれ、ホーィホイ」と唱えながら、夜に村の家をみんなで回ります。

小さな古い家に行くと、一人暮らしのおばあちゃんが腰を曲げながら、「元気な声だね」と玄関に出て来ました。ニコニコしながら、「後で分けてね」とおかしがいっぱい入った大きな袋を二つくれました。

鳥追いの後は夕食です。村のおばあちゃん達が、小正月のごうかな料理を作ってくれました。おもちは、みんなできねとうすでつきます。とても楽しいです。ついたおもちは、お汁粉やお雑煮で食べます。つきたてのおもちはおいしいので、何回もおかわりしました。

夕食後、村の人が帰って、山の上の校舎は静かになりました。雪が降り続き、外は何の音もしない世界です。ぼくは、おかしをたくさんくれた優しいおばあちゃんのことを考えていたら、急に悲しくなりました。大雪の村は何もなくなって、とても静かで、おばあちゃんは、一人で、さびしいと思ったからです。

ぼくは、おばあちゃんの笑顔を見るため、来年も越後妻有に来て、鳥追いに参加したいと思いました。ぼく達の大きな声で、村から、悪い鳥を追い払いたいです。

※会社名・団体名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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