JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第12回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

小学生の部

入選

行って伝えようみんなの思い

白方 伶亜

私はお母さんの仕事の関係で今年の春に仙台・石巻・南三陸に行きました。そこは、とても大きな地震で被害にあった場所です。初めて東北に行くと聞いた時に「遠いし、地震のこともあまり覚えていないから、何だかな」と正直重たい気持ちでした。

仙台から石巻・南三陸には語り部タクシーでまわりました。語り部タクシーとは地震で被害にあわれた運転手さんが、被災地を案内し、震災について色々教えてくれるタクシーです。

被害が大きかった地域に向うにつれ民家が減り、かさまし工事の砂山が目の前に広がって来ました。建物が全然ない所に、トラックばかりが行き来し、砂山が作られているのはとても不思議な光景でした。それから震災を忘れないために残されることになった建物や学校を巡りながら、運転手さんは用意してくれた写真や資料を使い、一生けんめい私にも語りかけてくれました。少し難しい内容でだまっていても、「今はわからなくても、現地を見てくれて感じてくれたらいいんだよ」と言ってくれました。

心に残った場所や話しは色々ありましたが、その中で大切だと感じたのは多くの人に実際に見てもらい、語りつぐということです。よくテレビに出てくる被害を受けた建物や学校についても、自分の目で見るのと、テレビを通して見るのでは、びっくりするくらいちがって感じました。また、津波の被害にあった場所の多くに以前からの言い伝えがあったり、石ひが立っていたり、山の中なのに「波」という文字が付いた場所があったりしたそうです。これは昔の人が文字がわからなくても後の人に、その時あった津波の恐ろしさを教えようとしたものだということが段々わかって来ているとのことでした。

「旅」というと楽しいものだという私の考えは、今回の旅を通して大きく変わりました。旅先で何かを体験したり、地元の人の話を聞いたり、見たりするだけではなく、地元の人の思いを持ち帰りみんなに伝えることも「旅」の大切な意味だと感じたからです。

語り部タクシーの運転手さんが話してくれた中で「震災についてこのように話をするのを心よく思わない人もいるんです」という言葉が忘れられません。災害は建物だけではなく人の心をこわしてしまうと知り、とても悲しくなりました。

実際に地震や津波を体験していないので本当の苦しみや悲しみは私にはわかりません。それでも、みなさんと一緒に思いを伝えていけたらとてもうれしいです。私にできることは今回の体験を周りの人に話したり、作文に書いたり、学校で発表することです。

被害に会った人達のことを気づかいながら地震や津波の恐ろしさをみんなに知ってもらい、今後の防災に役立てることは、とても大切だと思います。

※会社名・団体名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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