JTB交流創造賞

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交流創造賞 ジュニア体験部門

第12回 JTB交流創造賞 受賞・入選作品

小学生の部

優秀賞

美しい島と美味しいお芋

水澤 紀

去年の夏、お母さんと種子島に行きました。種子島宇宙センターに行ってみたかったからです。大阪から飛行機を乗り継いで種子島空港に着きました。車を借りて増田宇宙観測所に行きます。人工衛星の追跡管制をするための大きなアンテナがあります。カーナビどおり少し小高い丘のようなところまで上がって来ました。ところが芋畑のなかをぐるぐる回ってたどり着けません。仕方なく丘を一度おりて人を探します。やっと見つけて聞くと「迷う人多いんですよ」と笑いながら道を教えてくれました。通信所を見学して、宿に到着。夜、部屋からは星ってこんなたくさんあるんだなぁと、驚くような星空が見られました。

次の日、待望の種子島宇宙センターのツアーへ。施設の本物のロケットの部品に興奮し、管制塔も実際に使われると聞いて、将来宇宙に携わる仕事がしたいなぁと思いました。その後、展望台へ行きました。世界で一番美しい打ち上げ場と言われているとおりの発射場です。手前の美しい海ではサーフィンを楽しむ人。その奥では最新の技術で宇宙に飛び出そうとするロケット。その対比が面白いなぁ、と思いました。

三日目に単身赴任中のお父さんに葉書を出そうと小さな郵便局に立ち寄りました。そこで葉書を書いていると、居合わせたおばさんが僕たちに「どこから来たの」と聞きました。「大阪です」と答えると、「まあ、遠くから。今郵便局の人に持って来たお芋一緒に食べましょうよ」と言ってホイルに包んだ丸いものをくれました。食べてみると甘く、柔らかく美味しい!僕は驚いて「なんという芋ですか?」と聞くと、「安納芋と言って種子島の名物よ」と教えてくれました。なるほどあの迷った時の芋畑はこれの畑だったのか、と思っておかしくなりました。お母さんとお土産に買って帰ろうと話していると、「ちょっと待ってて」と言っておばさんが郵便局を出て行きました。しばらくして帰ってくると、「これ、重いだろうけど持って帰って」と言って僕のリュックいっぱいに安納芋をくれたのです。僕とお母さんは驚いて顔を見合わせていると、「いい旅をね」と言って郵便局を出て行かれ、後ろから「ありがとうございます」と言うと手を振って帰って行きました。僕はその日、リュックいっぱいの安納芋を背負って大阪まで帰りました。

今では僕は安納芋が大好きに。スーパーで安納芋を見かけるとすぐに買ってもらいます。しかし、スーパーで買った芋はあの時食べた味とは全然違うのです。あの時は特別だったな、また食べたいなと思います。「いい思い出が詰まっているから、忘れられない味なんだよ」とお母さんは言います。

種子島で出会った人は皆温かく、面白い方でした。チャンスがあれば打ち上げも見においで、と出会う人出会う人に言われました。僕は種子島の大ファンになり、また行きたいと思う気持ちが強くなりました。

あらましと評価のポイント
【あらまし】

母と二人での種子島への旅行の中で、素晴らしい景色と素晴らしい人に出会う。島ならではの近所付き合いのシーンから特産品の安納芋を老婆から貰う。今では種子島のファンとなり再訪を夢見ている。

【評価のポイント】

●当初の旅の目的以外に、島の魅力に気づく出会いが描かれている。その時に食べた安納芋と帰宅後に食べる味の違いに気付くところが素晴らしい。
●種子島の雰囲気が良く表現されている。島にはおいしいものもたくさんあり、そうしたところに気付く旅であったことが素晴らしい。
●旅の醍醐味が良く表現されている。

※会社名・団体名等は、各団体の商標または登録商標です。

※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。

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