後藤 雅尚
夏休み、ぼくとお父さんは、寝台列車「あけぼの」に乗る、旅に出かけました。
夜八時、JR秋田駅のホームで待っていると、二つの光が見えてきました。ぼくは、カメラをかまえて「あっ来た」と言いながらシャッターを何度も押しました。
そして、急いで客車に乗り込み「六のE、六のE」と言いながら席を探していると
「六のEってここじゃない。」
とぼくと同じ年くらいの子が教えてくれました。もう、ぼくは、それだけでほっとした気持ちになりました。本当はとなりに「どんな人が乗ってくるんだろう」とずっと不安だったからです。
その子ともう一人近くにいた子とすぐに、大好きな鉄道の話になり、三陸鉄道に乗ってきたこと、二人ともぐう然、神奈川県から来たこと、全校生徒が千人もいることなどを話しました。「千人」と聞いて、ぼくの学校の児童が百三人なのでびっくりしました。
話をするうちに、「都会の子って自分勝手で冷たい」と思っていたけど、二人とも素直でぼくの話をじっくり聞いたりやさしく教えてくれました。
朝、早く、高崎で目がさめたぼくは窓の外をながめていました。すると二人も起きて来て、また三人、並んで座り、車窓から、鉄道博物館が見えると、「あっぼく行ったことあるよめずらしい列車もたくさんあるよ。」と教えてくれました。
「あけぼの」が上野駅にとう着すると三人で写真をとり「また会いたいね」、「楽しかったよ」、「バイバイ」と口々に言って別れました。きのうの夜はじめて会ったのに学校の友達みたいに仲よくなれました。
ぼくは、この出会いで大事なことに気づきました。それは、人のことを会っても話してもいないのに、「自分勝手で冷たい。」なんて決めつけてはいけないこと。まずは人のことを決めつけず、自分から積極的に話していって、相手のことを知ろうとすることが、大事なんだと気づいたのです。
この事を今度は、学校生活にも生かして、たくさん新しい友達を作っていこうと思います。二人の友達、「ありがとう。」
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。