ブラウン 蕗七
今年のゴールデンウィーク、私は家族と供に新潟県に行った。一晩ホテルに泊まり、次の日には、そのホテルから車で三十分くらいのキャンプ場に行った。その日から、ここで寝泊まりすることになった。
このキャンプ場には天文台があり、一般の人も夜なら天体望遠鏡をのぞけることになっていた。おもしろそうだったので、その夜、家族で行ってみると私達を待っていたかのように、そこの職員らしき人が出てきた。その人は、普段は昼間しか開けていない、展示室を開けて展示物を一つ一つ細かく説明してくれた。そして全ての展示物の説明が終わると、みんなで屋上に行に出てあおむけにねころんだ。そのときほど、一つ一つの星がきれいだと感じたことはなかった。それぞれの星が、それぞれのかがやきをはなち、それぞれの美しさをもっていることをはじめて知った。星なんて、空にうかんでいるただの石のようなもの、としか感じていなかった私にとって、こんな夜空との出会いは本当にすばらしいものであった。その後は、天体望遠鏡でたくさんの星を見た。望遠鏡から覗いた星たちも一つ一つにもようがあり、とてもきれいであったが、何よりも私は、自分のこの目で見た自然の星達に魅了された。たぶん、本や図かん、プラネタリウムなどで見たよりも、万倍も億倍もきれいだっただろう。そして、その日からわたしは毎日天文台に通った。そして帰る前には必ず屋上から星を見て帰った。
京都に帰った今でも、あの星空はくっきりとまぶたにやきついているし、いつも、もう一度見たいと思う。そして、旅から帰ってきたころから私には新な思いが生まれた。天文学者になりたい。それは、きっとあの空からとんできて、私の心に入りこんだメッセージなのだろう。
私はこの旅を通して、星空の美しさに対する感動を知り、旅によって生まれ、ふくらむ思いがあるということにも感動を知った。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。