坂本 裕美奈
私は一月に小学生新聞のリポーターとして、宇宙飛行士の若田光一さんと交信することができました。宇宙から見ても地球温だん化が進み、サンゴの白化現象が広がっているのが分かるそうです。美しいサンゴ礁を守るために色々な努力がされている様子を、調べてみたいと思いました。サンゴは赤道を中心に熱帯雨林の海で見られますが、日本では静岡より南の小笠原諸島や沖縄の海に広がっているそうです。前に小笠原に行ったので、今年は沖縄に行くことにしました。
ライオンと犬がまざったような「シーサー」にむかえられて沖縄に着くと、マリンブルーという言葉がぴったりの美しい海が、空まで続いていました。ここで美しいサンゴを見ることができると、私は楽しみにしていた海底散歩をすることにしました。シーウォーカーという三十キロもある重いヘルメットをかぶって海にもぐりました。すると水族館では見られない生きものもいましたが、サンゴはとてもよごれていました。海の中は、小笠原の海と同じように昔の戦争で使われた軍かんや大ほうがさびついてすてられていました。他にもこわれた物やゴミでいっぱいでした。
沖縄の人々は、海やサンゴの事よりも七十年前の戦争の悲しみが今も続いていました。
私も両親も戦争を知りません。でも広島や長崎に落とされた原子ばく弾で家族や全てのものを失った人々の悲しみや苦しみと、対馬丸で私と同年代の大勢の子ども達がぎせいになった悲しみを忘れることができない人達がたくさんいることは、テレビや新聞で知っています。戦争を知らない私達も、どんなに多くの時がすぎ去っても人々の悲しみや苦しみを忘れてはいけないと思いました。戦争を知らない私達が、心にとめて語りついでいかなければならない。二度と、戦争をしてはいけないと伝え続けなければと思いました。
生命のゆりかごと言われるサンゴ畑は、生物の二十五パーセントが住んでいる海のオアシスです。日本は周りを海にかこまれて、海の幸にめぐまれています。大自然からのプレゼントの海をきれいに守らなければ、サンゴの白化現象を止めることもできないでしょう。海をよごすのは戦争だけではありません。毎日、私達が出す生活のゴミや工場などから出されるよごれた水、原子力発電所から流される汚染水など海をよごすものはたくさんあります。一人一人が少しずつ気を付けて美しい海を守ることが大切だと思いました。
サンゴを守り、そこに集まって来る生き物達を守ることが、地球を守ることだと思います。美しく見える日本の海の底は、水族館で見られるようなきれいな海底ではありませんでした。私は水族館に行くのが好きですが、いつか水族館のようなきれいな海で海底散歩をしてみたいです。サンゴを見に行った沖縄旅行は私に新たな使命を与えてくれました。
宇宙飛行士の若田光一さんとの交信をきっかけにサンゴに興味を持った筆者は、沖縄旅行時にサンゴ礁を見に行った。きれいに見える海も、底には軍艦や大砲やたくさんのゴミが。戦争、原子力施設の汚染水、生活排水などから、きれいな海を守ることが結果的に地球を守ることにつながると感じた。
自分の経験をきっかけにさまざまなことをよく調べ、勉強している。社会性のあるテーマで、大人の方が教えられる。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。