松本 あすか
私は英語が大好きです。中学生から初めて英語を習いだして勉強していくうちに英語が理解できていくのもうれしいし、先生のまねをして発音が良くなっていくのもうれしいです。そしてNHKのラジオ番組「基礎英語一」で登場人物になりきってリピートするのも楽しいです。こんな風に英語をがんばっている私に、今年の夏、祖父はスイス旅行をプレゼントしてくれました。夏休みに入ってすぐ、私は祖父と母と一緒にスイスへ飛び立ちました。スイスはロマンシュ語・イタリア語・フランス語・ドイツ語が公用語です。でもスイスでは、観光業に携わる人達は英語で応対してくれます。
私はスイスに行き、英語を使うことで色々な体験をしました。ホテルの人にお湯を下さいと言いに行ったり、切手や葉書を買いに行ったり、登山客の人が連れていた犬を触っていいか聞いたり、飛行機の中でインドの男の子と話したりしました。
そんな数々の体験の中で、旅行に行く前に勉強していた事を発揮できた会話があります。ローヌ氷河の中の氷の洞窟で、スイスに住んでいる女の子とその子の母親に出会った時の会話です。その子はソフミオちゃんといって、国内のフランス語圏に住んでいます。まず私の母がソフミオちゃんの母親に一緒に写真をとってもらえるか聞きに行ってくてれました。そして一緒に写真をとった後、私はソフミオちゃんに英語で質問してみました。
「How old are you?(何才ですか。)」
と聞いてみると
「I’m eleven years old.(十一歳です。)」
と
「十一は英語で何というの。」
と母親に確認しながら、あまり得意そうでない英語で答えてくれました。私は自分の英語が伝わったと思い、とてもうれしかったです。お互いに母国語でない英語を使って会話して、仲良くなれたことで喜びが倍になりました。
反対に怖い体験もしました。関西国際空港を出て乗り継ぎのアラブ首長国連邦のドバイ空港でのことです。空港で搭乗手続きをする所で私は写真をとりました。するとその途端、警備の人が血相を変えて近づいてきて、
「Delete delete.(消せ、消せ。)」
と怒鳴ってきました。私はその人が一体何を言っているのか分からなかったので怖くて心細くなりました。するとそこへ母が来てくれ
「Now I will delete it.Just a moment,please.(今から消すので少し待って下さい。)」
と頼んでくれました。その警備の人は私達が目の前で写真を消すのを確認して、
「OK.(よし。)」
と言って去って行きました。とても恐しい体験でした。あの時母が来てくれなかったら、私はどうすることもできないまま連れて行かれていたと思います。せいぜい
「What delete?」
か
「Japanese please.」
しか言えなかったでしょう。相手が何を言っているのか正確に理解し自分で自分のしたことに対処できるようになりたいと思いました。
私は初めての海外旅行で、英語を使って現地の子と楽しんだり、店やホテルで自分の要望を伝えたりすることができました。日本にいれば英語はなくても生きていけます。でも一歩日本の外に出ると、英語が母国語の人もそうでない人も英語でコミュニケーションをとっていました。私はその中へ心を開いて飛び込んで行けたと思います。もし心を閉じたまま思い切ってしゃべらなければ、英語が世界に共通する便利な言葉だと実感できなかったと思います。
これからの目標が決まりました。毎朝の基礎英語では、登場人物になりきって話すだけでなく、今回の旅行で自分が身を置いた外国の街並みや出会った人をイメージしながら勉強していきたいと思います。そして次に海外旅行に行く時は、もっとたくさんもっと深く外国の人と交流できるようにしたいです。
※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。