JTB交流文化賞 Multicultural Communication
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JTB交流文化賞
交流文化が広げる未来
第8回 JTB交流文化賞 受賞作品紹介
交流文化賞(組織・団体対象)
優秀賞
学生ボランティアが運営する新今宮観光インフォメーションセンター
阪南大学国際観光学部 松村嘉久研究室(大阪府松原市)
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取り組みによる効果

(イメージ) あいりん地域に若い学生が集まり、新今宮TICを運営すること自体が地域イメージを変え、地域に宿泊するFITも、FITを受け入れるゲストハウスの数も着実に増えた。新今宮TICに集う学生は、街づくり活動の実際の担い手となるマンパワーとして、高い期待が寄せられている。

また、新今宮TICは、地域に根を張り活動を展開してきたので、地域のゲストハウスや商店から信頼を獲得し、色々な働きかけや社会的実験を行える関係性を構築している。「FIT向けの街歩きツアー」や「新世界・西成 食べ歩きMAP」も、そうした関係性があって初めて実現した成果と言える。

これまでの取組期間、継続期間について

新今宮TICは、2009年1月末から現在まで運営してきた。松村研究室があいりん地域と関わり始めたのは2005年春からである。

取組体制・組織、財源について

新今宮TICのスタッフは学生であるため、卒業・入学で常に入れ替わる。しかし、スタッフは1回生から参加し、利用者対応の記録蓄積とスタッフ間での情報共有が徹底されているので、先輩から後輩へとノウハウやスキルが継承されている。

学生は交通費も含めてボランティアで参加するため、人件費はかからず、地域の発展のため力になりたいという有志が集まる。スタッフのやる気は、地域社会からの称賛と、利用者からの感謝の声で維持されている。

今後の展望について

関西空港発着のLCCが増え、アジアからのFITも増えてきた。あいりん地域は格安志向のFITの受け皿として、今後とも成長が期待される。

新今宮TICの今後の目標は、何よりも運営を継続することにある。現在はボランティアで運営しているが、4年間の経験のなかから、独立採算事業として成立する可能性も見えてきた。今後は西成特区構想の行方も見据えながら、第三種旅行業登録し、学生が有償インターンシップで関わる方向性も探りたい。


評価のポイント

近年、簡易宿泊所から国際ゲストハウスへの転身が増加し、地域をあげて外国人個人旅行者の誘致を図っている。旅行者の宿泊拠点での消費拡大と情報提供を目的とした宿泊拠点立地型の観光インフォメーションセンターを学生ボランティアが運営する「民設学営」の事例であるが、学生の若い目線での取り組みと地域との連携に新しさと清々しさがある。


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※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。