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第7回 JTB交流文化賞 受賞作品紹介
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何もないけど何かある…。
無人駅を、ひとのあつまる場所に。

JR下灘駅フィールドミュージアム運営委員会(愛媛県伊予市)
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取り組みによる効果 (イメージ)

近所の老人が自発的に行い始めた活動の輪は、またたく間に周辺住民や各種の団体、有志の行政職員などの間に拡がりました。地域の人々はこの活動により、あらたな生きがいや喜びを得ました。小学校の子供たちは地域を美しく保つ活動に誇りを覚えています。地域を愛する気持ちが潜在から顕在へと変化してきています。また近年では多くの観光バスがJR下灘駅から気動車(ディーゼルカー)に1区間乗車するツアーを行っており、地域内外の交流も進んでいます。また、駅を中心とした様々な取り組みは新聞社やテレビ局などで多く取り上げていただく機会を得て、地域内はもとより県下でも広く知られるところとなってきました。「下灘はいろいろやっとるのぉ」「双海はええのぉ」という言葉が行く先々で聞かれるようになりました。なにより印象的なのは、駅のイベントにマイピア(電動の四輪車)や、手押しの歩行器できてくれた高齢者の姿を見られるようになったこと。高齢者にとって楽しく充実したひとときを過ごしていただくことも私たちの大切な役割です。

これまでの取組期間、継続期間について

ひっそりと駅の美化活動が始まったのは平成19年ころ。同年には老人会により「下灘駅観光スポットづくり協議会」が立ち上がり、散発的に苗植えや種まきなどを行ってきました。平成21年春からは定期講座も始まり、「JR下灘駅フィールドミュージアム運営委員会」が正式に発足したのは今年、平成23年5月のことです。

取組体制・組織、財源について (イメージ)

「JR下灘駅フィールドミュージアム運営委員会」に参画している団体・個人は、地域老人会、漁協後継者グループ、商工会青年部、夕焼けプラットホームコンサート運営委員会、地区公民館、観光協会、伊予市カタリバ(市職員有志グループ)、市役所地域事務所有志、住民自治組織検討会有志、地元高校生、地域出身の会社経営者。現在17名の運営委員がボランティアとして活動しています。活動財源は講座への参加料や寄付、各種の助成金(まちづくり活動アシスト事業/ えひめ地域政策研究センター、生き生きシニア活動顕彰/ ニッセイ財団ほか) など。

今後の展望について

今、うれしいことに地域の気運は高まっています。私たちはこの好機を逃さず、次の段階へステップアップしなくてはなりません。引き続きJR下灘駅を起点とした幅広いユニークな交流イベントなどを企画・運営していくとともに、私たちの大きな課題である収益事業についての研究を加速させ、地域が交流をきっかけとした事業収入と雇用を得ることを目指します。また、この活動が継続的に行われていくための地域人材の発掘と育成に力を入れ、世代が変っても持続していく地域づくり集団を目指します。

評価のポイント

何もない無人駅を地域の一人一人が大切にし心の拠り所となっている生活風景は、なぜか『行ってみたい』と旅心を刺激する。背伸びせず手づくりの温かさが伝わってくる取り組みである。

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※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。