JTB交流文化賞 Multicultural Communication
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JTB交流文化賞
交流文化が広げる未来
第7回 JTB交流文化賞 受賞作品紹介
交流文化賞
最優秀賞
漁村の暮らし体験が地域を再生する
「番屋エコツーリズム」

NPO法人 体験村・たのはたネットワーク(岩手県下閉伊郡田野畑村)
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取り組みによる効果 (イメージ)
  • ◎インストラクターにとって副収入(特に、サッパ船長には150万円以上/ 年)となりました。
  • ◎体験プログラムに感動したお客様の声を聞くことで、地元民が暮らしや文化の価値を再認識しました。
  • ◎民泊受入などで子どもと交流した高齢者が、とても元気になりました。これは、高齢化問題を抱える土地としては非常に大きな効果です。
  • ◎都市及び近隣市町村、また地域内での新たな交流が生まれました。
  • ◎宿、食堂、水産加工業、流通、交通機関など関連産業へも経済効果が波及しました。
  • ◎「わかめオーナー制度」により、わかめ販売促進につながりました。
  • ◎魚を食わず嫌いしていた地元の子が、体験を通して魚が大好物になりました。
これまでの取組期間、継続期間について
  • ◎平成12年 サッパ船観光の取り組み開始(実施主体は賛同する漁師数名による組合)
  • ◎平成15年「 体験村・たのはた推進協議会」発足
  • ◎平成20年 上記協議会を前身とし、NPO法人格を取得
     (NPO法人 体験村・たのはたネットワーク発足)
取組体制・組織、財源について
  • ◎当団体はNPO法人で、事務局常勤スタッフ4名、インストラクター約100名(すべて村内の漁業者、農業者など)という体制になっております。
  • ◎活動の主財源はサッパ船アドベンチャーズなど体験観光事業の収入です。イベント開催にあたっては助成金(今年度に関しては子どもゆめ基金、日本財団震災復興助成など)も活用しております。役場から業務委託(イベント開催やビジターセンター管理など)は受けておりますが、補助金はいただいておりません。
今後の展望について (イメージ)
  • ◎東日本大震災による大津波被災のため、これまで利用していた漁船、漁港、体験施設、資材などが流失しました。それらのほとんどはまだ失ったままですが、なんとか船を調達し、漁船による断崖冒険クルージング「サッパ船アドベンチャーズ」を7月末に再開しました。
  • ◎震災で多くのものを失いましたが、幸い事務局員やインストラクターなど人材は無事でした。体験施設を使用した体験メニューやこれまでのような規模の受け入れは現状では難しく、施設などの復興予定もまだわかりませんが、少しずつ以前のような体制を、またさらに良いものを目指して整えていきたいと思います。
  • ◎被災地で生き残った者として、被災経験を風化させないために、新プログラム「大津波ガイド」を開始しました。今後も、防災教育、ジオツーリズムなど新たなソフトを開発しながら、発展させていきたいと思います。

評価のポイント

地域の伝統的な生活様式である「番屋」を体験観光のソフトとして活用し実績を積んできたが、今般の震災で多大な被害を受けた。その影響がまだ後を引いている中で、被災地見学、防災教育という新たな体験の視点を加え、果敢に地域の人々の手による着地型観光をいち早く復活された熱意と思いに敬意を表したい。着地型観光を通じた交流の復活がエンジンとなり、漁業、地域の復興につながることを祈念したい。


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※賞の名称・社名・肩書き等は取材当時のものです。