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トップ > JTB地域交流トップ > JTB交流創造賞 > 受賞作品 > 交流文化賞(組織・団体対象) > 交流は地域との連携から 〜地域資源は誰のもの?〜
〜交流事業による効果〜行政・地元住民・都市住民が一体となって参加できる仕掛けを一年を通じて行っています。オープンから13年の歳月を経て、その間の来訪者は、家族連れ、学校単位の体験学習、職場での研修、トレッキングの愛好家グループ、ボランティア活動参加者、農業体験希望者など多岐にわたります。日帰りでの参加から、長期の宿泊滞在、もしくは立ち寄りの利用など、様々な利用ケースがあります。地域への経済波及効果はもちろんのこと、都市との交流促進による村の活性化効果は非常に高いといえるでしょう。自前の企画、運営のみならず、多方面との連携を中心に活性化をはかっていることが当施設の大きな特色です。波及効果を生み出す6つの要因@スタッフA登録制『市民インストラクター』B農業の活性化C地域資源の保護、保全D広域活動への展開E地域住民へのサービスの拡充@スタッフスタッフは県外出身者が中心です。村人と共に村の作業や行事に参加することにより、暮らしていることそのものが過疎の山村に活性化を生み出しているといえます。県外出身者を中心に運営を行うことで、農村と都市のそれぞれの魅力を知った者が生み出せる企画を検討していることも特徴の一つです。A登録制『市民インストラクター』地域住民の中には「市民インストラクター」として活躍の場を見出し、埋もれている地域の宝物を掘り起こす活動をしている人が数多く在籍しています。これらの活動を通じて「ふるさとの魅力の再発見」をされていることは確実です。地域に住む人が、誇りを持ってお客様を迎える姿は、当施設の設立以前にはなかった光景です。B農業の活性化なべくら高原には260haにおよぶ国営農場が広がっています。各農家とは、少人数でも実施する野菜の収穫体験やきゅうり1本でも森の家に届けてもらうことで成立する、少量注文のできる多品種野菜の宅配便システムを構築しています。市の基幹産業である農業活動を通じ、農家との交流を増やし地域資源の活用や活性化に繋げているのです。積極的な情報発信により、「なべくらブランド」としての認知度が広がり、食のリピーターも増加しています。併せて農地としての魅力が伝わり、定住、移住のきっかけ作りにも貢献しているといえます。C地域資源『ブナ林』の保護、保全なべくら高原には、里に近いブナの天然林としては学術的に貴重と言われる鍋倉山があります。鍋倉山にある樹齢300年以上の巨木ブナが、平成12年に林野庁日本の巨木100選に選定されたこともあり、多くの観光客により根元が踏み固められ衰退が激しく進む現象が起きました。観光資源が観光客の増大により失われそうになる事態の中、自然環境の保全と地域資源活用型観光の両面を見据え、ブナ(自然)と人の関係に正面から取り組むため、平成12年に地元住民、観光関係者、ボランティア等により「いいやまブナの森倶楽部」を設立しました。巨木の保全活動のみならず、入山者の意識向上、山麓の整備保全、森にも人にも快適な遊歩道づくりなど、100年先へと繋がる活動をしています。D広域活動への展開いいやまブナの森倶楽部の活動と相まって、信越トレイルクラブの活動が生まれました。これは、信州と越後の県境をなす関田山脈にロングトレッキングルートをつくりエコーツーリズムの推進、新たな地域観光の創出するものです。平成12年より国土交通省の「北陸地域の地域づくり戦略」事業に基づく活動の一環として信越トレッキング委員会が設立され、なべくら高原・森の家北側の「関田山脈」にトレッキングルートを設置し地域活性化につなげていくよう研究・調査がなされ、その活動を引き継ぐ形で、事務局をなべくら高原・森の家内におく「NPO法人信越トレイルクラブ」が平成15年に設立いたしました(平成20年信越トレイル全線開通)。E地域住民と森林散策『森林セラピー基地いいやま』近年健康ブーム、登山ブームを背景に、森の癒し効果にも注目が集まるようになっています。長野県飯山市の森は、さまざまな生理実験により健康増進効果があることを実証され、平成18年に安心して森林セラピーを楽しめるフィールドとして、第1期「森林セラピー基地」の認定を受けました。平成19年のグランドオープン後、各種の森林セラピーツアーを用意するなど心と体の健康づくりのための活動は、徐々に浸透し広がりを見せています。一方、そのような機会を望みながらも叶えられない方が多くいる現状もあります。長期入院中の方や在宅療養中の方を対象とした森林散策を「保健師(病院)」、「介護者(ヘルパー)」と連携し実施しています。
○なべくら高原・森の家・・・平成9年〜(13年目)○いいやまブナの森倶楽部・・・平成12年〜(10年目)○里山再生活動・・・平成14年〜(8年目)○NPO法人信越トレイルクラブ・・・平成15年〜(7年目)○森林セラピー基地いいやま・・・平成18年〜(4年目)
なべくら高原・森の家の運営主体は一般社団法人「信州いいやま観光局」です。2010年、飯山市観光協会と財団法人飯山市振興公社が統合され、強固な運営組織として生まれ変わりました。 組織の取組体制としては、常駐するスタッフは半数以上が県外出身者であり、“外者”の視点から地域で埋もれかねない歴史・文化・風習や自然景観等を発掘し、都会へ情報発信する役割を担っており、特記すべき事項であるといえます。プログラムは企画運営する常駐スタッフの他に、地域の人材活用という視点から「市民インストラクター」制度を導入、登録者により実施しています。また、地元住民・有識者・市等の行政機関・観光関係者、そして都市住民が協働し、地域の宝をどのように活用すべきか協議しています。里山、森林の活用、保全活動、地域の歴史・文化の継承、または交流等をおこない多岐の活動を推進することで、地域活性化の創出を実現しています。 組織の財源については、宿泊・各種体験での収入を主とした自主財源の他に、飯山市からの事業受託料によって運営をしております。新たな事業を展開する際には、国や県が公募する助成事業に積極的に参画し、時代のニーズに即した地域の活性化を推進しています。
全ての活動は地元の理解と協力があったからできてきた事。私たちはそのことに感謝し、また今後も繋がりを大切にしていきたいと考えています。そのために出来ることとして、今までに発掘してきた数多くの地域資源を、外部からの来訪者だけではなく、地元の方々にも今まで以上に提供していく必要性を感じています。 地域資源を単なる観光商品と捉えるのではなく、地元の人に喜んでいただくものに変換していく。そして、それらを随時サービスとして提供していく。地域資源を誰もが享受できる環境の整備。このことは私たちのこれからの使命といえるでしょう。 例えば「森林セラピー」の事業では、より多くの地元住民を森へ案内し、その癒し効果を健康増進に役立てていただきたいと考えています。広域にまたがる「信越トレイル」も、実際に自分の足で歩き、体感してもらうことにより、より多くの発見が地元の人たちの中に残ることでしょう。森を豊かな生涯教育の場として、また子ども達の環境教育の場としてなど、地域資源活用の可能性はまだまだ多く残されています。これらの活動を通じ、地元の人が地域資源の恩恵をより深く理解することにより、より飯山、なべくら高原のブランド力は強固なものになるものと期待しています。 4年後2014年度に北陸新幹線が開業される予定です。飯山市も新幹線駅を拠点とした町づくりの整備が進められています。首都圏からの利便性が高まることにより、さらに多くの交流が広がることが予想されます。これまでの地域に根ざした活動を通じ、多くのノウハウを得ることができました。組織的にも強固な受け入れ体制を構築し、新幹線開業を豊富な地域資源を今まで以上に多くの人に提供できる絶好の機会と捉えています。 地域資源の豊かさを本当に知っているのは地元に住んでいる人たちのはずです。ところが、身近にありすぎるが故、その素晴らしさに気付いていない地元住民が多いこともまた事実といえます。私たちは今まで築いてきた地元の方たちとの連携を活かしながら、地域資源の恩恵を共有するための橋渡し役としてこれからも活動を続けていきます。そこから新たな交流がきっとうまれていくことでしょう。