評価を受けるプログラムは、人材育成から
　2008年には、世界最大級の旅行口コミサイトTRIPADVISORで、京都の人気アトラクションに入ったり、旅行者のバイブルといわれる英語版ガイドブック、LonelyPlanetに掲載されたりと、海外の利用者からの支持も得ています。実際に、旅行者からも、「旅行者のために、便利なプログラムを設定し、本物の日本文化を垣間見ることが出来るので価値がある」「旅行中には、普通の日本人と話しをすることさえななか難しいのに普通の家庭に入って、特別な体験ができるなんて…。心に残る素敵な思い出ができた」などのコメントも寄せられています。
　こういった評価を受ける要因の一つに、活動に携わる女性たち向けに、ワックジャパンでは、様々な研修制度をとりいれていることがあげられます。外国人に日本文化を紹介するためには、日本文化についての学習、技能の研鑚、英語学習などが必須です。このため、通訳ガイドや、茶道や華道などの資格を持つ者などが講師となり、時には社外講師も招いて実施されます。一般の方々や通訳ガイドの有資格者なども受講され、好評を博しています。こういった活動が、ワックジャパンの質の高いサービスの要因となっているのかもしれません。活動を担う女性たちも、プロフェッショナルとして、技能や語学の研鑚は欠かせませんし、さらに、その成果を仕事で生かせる機会があり、それが新たな研鑚につながるという良い循環となっています。また、海外からのお客様と心を通わせ、直接心温まる交流ができることも、この仕事ならではの喜びであり、活動する女性たちの生きがいとなっています。
　実際に活動に携わっている女性たちからは、「わが家にいらしたお客様がにこっとして、感謝の言葉を述べられて帰られる時が、一番うれしい」「いっしょにしゃべって笑うと初めての方とでも昔からの友人のような暖かな気持ちになるから不思議」「日本の文化を海外の方からほめられ、改めて日本の文化の良さを感じた。反面、日本の文化を紹介することは、非常に責任あることだと感じたので、日々研鑚をしなければと、つくづく思う」「いっしょに学べる友が、ワックジャパンには、いるので心強い」等と感想を述べています。
　 　一方、女性がこのような活動を続けるためには、それぞれの家庭の理解や協力なしでは難しいものです。ワックジャパン事務局は仕事に携わっている女性の皆さんへ、お礼やお詫びの電話をまめに入れて、状況をよく説明します。ご家族の支援のもと女性が働き易い環境作りを、アレンジする側が心がけているのも、一人ひとりが長く仕事を続けられる原因ではないかと思います。

地域とともに
　ワックジャパンは、大きな会社ではありませんので、地域のいろいろな方々の協力で成り立っています。そのことが、大都市京都であるからこそ、とても重要であると思います。
　協力してくださる一般家庭、町家、伝統産業の工房、お寺や神社、国際会議場や、公共施設など、それぞれの施設がなければ、ニーズに応えたサービスを提供できませんし、また、一般市民、行政の方、地元企業、そして大企業、大学関係の方々など、関わりがあるたびに力となってくださいます。
　京都市内の寺院を借り切っての団体向けプログラム（企業の会議や学術会議）は、日本の文化や、京都や日本の存在をアピールできる絶好の機会です。
　2006年には、京町家を借りての文化体験や、伝統産業の工房での体験も始めました。それらを活用することは京都の景観を守り、地域活性化を図る上でとても重要なことで、ワックジャパンが地域振興や国際交流の一助となっていると考えられます。このように観光を通じて地域がつながることができるのは、とても素晴らしいことではないでしょうか。

明日に向かって
　今年度は、不況や新型インフルエンザの影響で、会社の売上も減少し3,000万円程度になりそうですが、来年度は、会社を移転した町家でのプログラムを充実し、景気も回復して団体のお客様が増えたら、2倍近くに伸びると予想しています。利用者も1カ月300人を超えることを目標にしたいと思っています。そして、何よりも、サービスの質を今まで以上に向上して、お客様の日本での旅行が本当に思い出深いものになるように、またワックジャパンで働いている皆が生き生きと働ける様願っています。

京都から日本文化の発信を
　観光立国としての日本をアピールし、ソフトパワーで世界を魅了する時代です。そんな中で、地域の人々が主体となって、誇れる日本の文化を仲立ちとして来訪者との交流をはかる、すなわち観光の語源であると言われている「観国之光」をまさに実践しているワックジャパンの活動は、国際観光都市京都にふさわしいものであり、これからも京都の魅力、日本の魅力を世界に発信するためにますますパワーアップしていきたいと思っています。