北陸の食
北陸の歴史を感じる
北と南で異なる食文化
本州の中央辺りに位置する北陸最西端の福井県。福井県は北部の「嶺北(れいほく)」と南部の「嶺南(れいなん)」という2つのエリアに分かれる。もともと福井県は「越前」と「若狭」という別々の国だった歴史的背景から、その食文化は今でも北と南で異なる色を持っている。嶺北の食文化に大きく関わっているのが精進料理だ。嶺北には仏教の信仰が広く浸透しており、曹洞宗の大本山「永平寺」など大きな寺社仏閣が多いため、蕎麦や油揚げといった精進料理由来の食が広く好まれている。一方嶺南は京都や奈良から一番近い海であった若狭湾もあり、天皇や神に捧げる食べ物を供給していた背景もあり、海の幸が豊富で、鯖や鯛と食材が著名である。
越前おろしそば
越前おろしそば
ソバの栽培が盛んな福井の名物。大根おろしが入ったつゆをかけて食べるのが通常で、大根の爽やかな辛みが特徴。超辛もあります。
ソースカツ丼
ソースカツ丼
ロースやモモ肉にきめ細かいパン粉をまぶして揚げ、ウスターソースにくぐらせます。ほどよい甘みと酸味があり、ご飯との相性も抜群。
油揚げ
福井名物の油揚げは、約15cm四方で厚さが3cm以上あるビッグサイズ。
古くから豆腐や油揚げの文化が根付いている福井ならではの一品です。
敦賀真鯛
敦賀の海で、カニ殻などの飼料で育てられた養殖真鯛。弾力のある身質や脂の乗りのバランスなど、最良の状態で出荷されています。
若狭牛
きめ細かなサシの入った柔らかい肉質と甘みが特徴。霜降り肉はとろけるような舌ざわりで風味が良く、赤身肉の美味しさも格別です。
焼き鯖寿司
たっぷり脂ののった鯖をこんがりふっくらと焼き上げ、風味豊かな酢飯と融合させた旨味たっぷりの一品です。
くずまんじゅう
くずでこしあんを包んだ、涼味あふれる夏の和菓子。あんこのほのかな甘さと、まるで水のようなのど越しが人気です。
"加賀百万石"で花開く 豊かな幸
北陸地方の中部に位置し、東は富山県、南は福井県に接する石川県。
かつて百二十万石におよぶ所領を得たとされており、"加賀百万石"の由来ともなっている。金沢城のある加賀藩のお膝元金沢市は、加賀藩によって造成された庭園「兼六園」や茶屋街跡、武家屋敷跡といった文化財が市内に点在しており、武家に由来した独自の食文化が発展した。
日本海に大きく突き出ている能登半島もあり、海鮮丼やお寿司といった豊富な海の幸を活用した料理も人気だが、地元でも愛される金沢おでんや金沢カレーといった食文化も有する。
海鮮丼
海鮮丼
北陸で水揚げされる魚種は多彩で、丼には宝石箱のように美しいネタが並びます。天然フグの漁獲量日本一の輪島のふぐ丼も要チェック。
ノドグロ
ノドグロ
割烹でも居酒屋でも上品な脂が乗ったノドグロ料理が大人気。刺身から炭火焼き、しゃぶしゃぶまで、さまざまな調理法で堪能できます。
金沢おでん
金沢には、冬でも夏でも四季を問わず営業するおでん専門店が点在。イワシやメギスのつみれ、車麩、バイ貝など地元食材が中心です。
回転寿司
近くの港で水揚げされ、鮮度を保ったまま仕込みをするためネタはぷりぷりです。加えて手慣れた職人の腕の良さも味の決め手。
金沢カレー
濃厚なルーの上にソースのかかったカツが載せられ、キャベツが添えられているのが金沢カレー。一度食べたらクセになる味です。
治部煮
金沢を代表する鴨肉を使った郷土料理。鴨肉の旨味と野菜の甘さが絶妙に絡み合い、深い味わいを楽しめます。
上生菓子
石川県の上生菓子は、繊細な技術で作られる和菓子の一種です。季節の移り変わりを表現し、見た目の美しさと独特の味わいが特徴です。
壮大な立山連峰と富山湾が紡ぐ豊かな食文化
東、南、西の三方を山に囲まれている富山県。標高3,000メートル級の山々が連なる立山連峰から、水深約1,000メートルの「天然のいけす」と称される富山湾に至るまで、その高低差は4,000メートルと、雄大な地形を有しており、豊かな食文化を育んできた。特徴的な地形で獲られるホタルイカやシロエビも含め、豊富な海産物を味わる富山湾鮨が富山を代表する逸品。また旅行のお土産に最適なます寿しや富山県民が日常的に食す富山ブラックラーメンといった食もあり、富山をまるごと味わえる。
富山湾鮨
富山湾鮨
日本海に棲む約800種の魚のうち約500種が富山湾に棲息。そこから水揚げされる地魚を、富山産の米で握る「富山湾鮨」が人気です。
ホタルイカ
3~5月が旬の体長約7cmのイカ。茹でるとぷっくりと膨らみ心地よいぷるぷる食感が楽しめます。鮮度がよければ刺身でも味わえます。
シロエビ
体長約6cm、淡いピンク色をおびた美しく透明な身が特徴。淡泊な甘みとねっとり舌に絡みつくような食感の刺身や天ぷらで食されます。
富山ブラックラーメン
力仕事の労働者のために、ご飯のおかずになる濃い味の中華そばを出したのが始まり。醤油味のワイルドな味わいがクセになります。
氷見牛
魚のまち氷見市は、黒毛和牛を飼育する氷見牛の産地。おからやリンゴの搾りカスなどを餌に混ぜるため、肉に甘みがありジューシー。
ます寿し
ニジマスを酢飯と共に押し寿司スタイルで調理したもの。魚の旨味と酢飯の相性が絶妙で、保存食としても利用されます。
かまぼこ
地元で獲れた新鮮な魚を原料に、伝統的な製法で作られる魚肉練り製品です。素材の風味を活かし、シンプルながらも深い味わいが特徴です。
米菓
素材の味を活かしたシンプルな味わいと、パリッとした食感が特徴。地元の米を使用し、一つ一つ丁寧に焼き上げられています。
自然食材が豊富な北陸には保存食文化が根付き、なかでも発酵食品はその代表格。日本海から水揚げされるイワシやサバ、フグなどを糠漬にして発酵させた保存食「ふぐ糠漬」や「鯖へしこ」が有名です。魚を塩漬けして上澄み液を利用する魚醤「いしる(いしり)」は万能調味料として使われます。
美味しい米や水、冬の寒さ。北陸には美酒を生み出す条件が揃い、古くから酒造りが盛んです。加えて日本四大杜氏に数えられる能登杜氏が活躍。北陸各地の酒蔵で個性あふれる日本酒を醸しています。魚介料理に合う淡麗辛口や濃醇な味わいなど、郷土料理とのペアリングも楽しめます。
(JTBショッピング調べ。2024年1月末現在)