ドイツのお祭りといえば、クリスマスマーケットやカーニバル、オクトーバーフェストなど秋冬のイメージが強いですが、ワインフェスティバルや移動遊園地など、夏に行われるお祭りも見ものです。特筆すべきが、その街特有の試みが楽しいストリートフェスティバル(Strasenfest)!
街のメインストリートで、そのストリート名を冠して行われるお祭りは地元に密着しており、地域性が出るのがポイント。週末ごとに9月まであちこちで行われています。
今回私が訪れたのは、フランクフルトのザクセンハウゼン地区で、35年以上に渡り続くSchweizer Strasenfest(シュヴァイツァー・シュトラーセンフェスト)。コロナ禍を経て、3年ぶりの開催となった今年も、メインステージをはじめDJブース、イベントコーナー、飲食や物販の屋台などがずらりと立ち並び、その光景は壮観そのもの。
お祭りの醍醐味は、やはり食べ物。ソーセージやクレープ、炭火串焼きのお肉、皮付きフライドポテトなどおなじみの顔ぶれに混ざって、ここ最近、中華やベトナムなどの新店がお目見えしたせいか、アジアン屋台が勢力を増していました。そして、定番ですが、やはりおすすめしたいのは、炭火にかけ、炎(Flamm)でじっくり炙った生の鮭(Lachs)!
Flammlachsというそのまんまなネーミングのこちら、店頭で鮭を焼いているのを見ると、ふらふらっと引き寄せられてしまうほど魅力的。サクッとしたバゲットの歯ごたえ、ジューシーな鮭にハーブクリームソースが絡み、なんとも言えないおいしさです。
ハンガリーで人気のストリートフード、Langos(ランゴス)も、すっかりドイツのお祭りのスタンダードとなっています。これは、端的に表すと、さっくり軽い口当たりの揚げパン。トッピングは、チーズやサワークリーム、オニオン、ベーコンなどのしょっぱい系のほか、ヌテラやパウダーシュガーといった甘い系もあり、食事的にもデザート的にもいただけるのがうれしい。チーズだけのシンプルスタイルは、生地の甘みもしっかり感じられるので、迷ったときにチョイスしたいですね。
ドイツといえばビールですが、白ワインを炭酸で割ったWeinschorle(ヴァインショーレ)、ノンアルコールもラインナップされたイチゴのカクテル、Erdbeerbowle(エアドベアボウル)など、見た目も口当たりも夏らしいドリンクにもご注目。また、アップルワインの産地・ザクセンハウゼンならではのBembel Gin(ベンベル・ジン/アップルワインとジンを組み合わせたもの)も見逃せません。
お腹をしっかり満たした後、メインステージに行ってみると、バンドの演奏に人だかりができていました。コロナ禍以前は、毎回テーマになる国があり、それに基づいたステージの出し物が行われていましたが(もちろん屋台なども)、今年はそういった縛りはなく、フリースタイル。
ステージ下には、音楽にノって、思い思いに体を揺らす人々がいたり、近くのキッズエリアからは、ミニ観覧車やミニメリーゴーランド、おもちゃをゲットできる露店ではしゃぐ子供たちの黄色い歓声があがり、ほのぼのしたムードが漂っています。
これがひとたび夜になると一転、若者たちがさらに集結し、DJブースも合わせて盛り上がりを見せ、ヒートアップ。終了時刻まで、にぎやかな音楽、笑い声が響き、昼とは違った一体感を味わえます。地元の小さなお祭りながら、時間帯や自分の興味によって、さまざまな楽しみ方ができるので、もしお祭りを見かけたら覗いてみてくださいね。