©The Willow Tea Rooms
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ウイロー・ティールームズで楽しむアフタヌーンティー

海外現地ライター便り
2024年10月15日
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海外旅行
旅行記
英国発祥のアフタヌーンティーは、イギリス貴族の中で19世紀に広まった社交文化の名残りを感じる優雅なひとときを過ごす午後の紅茶の時間です。英国のアフタヌーンティーでは、サンドイッチ、スコーンそしてケーキが載っている3段のティースタンドとティーポットの紅茶が出てきます。スコーンは、スコットランドが起源のお菓子です。

エディンバラでスコットランドらしいアフタヌーンティーを楽しめるウイロー・ティールームズ(The Willow Tea Rooms)をご紹介します。

ウイロー・ティールームズ

ウイロー・ティールームズは、スコットランド生まれの世界的に有名なアール・ヌーヴォーの建築家でデザイナーのチャールズ・レニー・マッキントッシュ(Charles Rennie Mackintosh)によってデザインされました。

1903年にオープンしたオリジナルのウイロー・ティールームズは、マッキントッシュが生まれ活躍した街、グラスゴーにあります。19世紀末に多くの産業・貿易都市として栄えていたグラスゴーにオープンした多くのティールームの中でも一番人気のティールームでした。

第一次多世界大戦を境にアール・ヌーヴォーの人気が下がり、忘れられた存在となっていたマッキントッシュですが、1970年代に再評価され始めました。今ではマッキントッシュは、スコットランドの誇りとして、彼のデザインした建物は修復され、グラスゴーのウイロー・ティールームズも1983年に再開しています。

ウイロー・ティールームズ

その待望の2号店が、2024年1月にスコットランドの首都の目抜き通り、プリンシズストリートにオープンしました。

エディンバラ城

エディンバラのウイロー・ティールームズでは、マッキントッシュ・デザインのインテリアの中で、街のシンボル・エディンバラ城を眺めながら、スコットランド式のアフタヌーンティーを楽しむことができます。

エディンバラ城は、街の中心にあるキャッスルロックという氷河期に形成された岩山の上に聳え立つ中世のお城です。このお城を一番綺麗に見られる場所が、街の目抜き通りのプリンシーズストリートの西側です。ウイロー・ティールームズの大きな窓からはお城がよく見えます。

ハイバックチェア

マッキントッシュの家具デザインの中で代表的なのは、背もたれの高い「ハイバックチェア」です。 この椅子はウイロー・ティールームズのためにデザインされたものです。高い背もたれで空間を区切ることで、テーブル周りにパーソナルで心地よい空間を創ることを意図したそうです。
他にも所々にマッキントッシュのバラなどの装飾も見ることができます。

2人分のアフタヌーンティーセット 2人分のアフタヌーンティーセット ©The Willow Tea Rooms

「トラディショナル・アフタヌーンティー」では、3段のティースタンドを楽しめます。一番下のトレーには、4種のサンドウィッチ(スモークサーモン、卵、ローストハム、きゅうり)、2段目のトレーにはスコーン&クロテッドクリーム(ジャージー牛のミルクの上澄みをかためた濃厚なクリーム)とジャム、一番上のトレーにはケーキとスコットランドらしいショートブレッドがのっています。

ケーキは、何種類かの中から好きなものをセレクトできます。選べるケーキはどれもイギリスらしいものばかりです。ストロベリータルト、レモンメレンゲタルト、ヴィクトリアスポンジ、キャロットケーキ、ベリーとクリームを添えたメレンゲ、チーズケーキ、チョコレートケーキ、チョコレートブラウニー、レモンドリズルケーキ、ジンジャーブレッド、バナナローフ、エンパイアビスケット、キャラメルショートブレッド、ロッキーロードです。

選べるケーキ

ベリーとクリームを添えたメレンゲ ベリーとクリームを添えたメレンゲ ©The Willow Tea Rooms

紅茶は、独自のブレンドのウイロー、マッキントッシュ、そしてスコティッシュ・ブレックファストから選べます。追加でシャンパンをつけて、更に優雅なアフタヌーンティーを楽しんではいかがでしょうか?

ここで簡単にアフタヌーンティーのマナーをご説明します。
紅茶の初めの1杯は茶葉の風味を楽しむためストレートで飲みます。ミルクは2杯目から入れます。
ティーフードは、ティースタンドの順に従い下のトレーのサンドイッチ、スコーン、ケーキの順に食べます。食べる分のみ自分のお皿に取り分けてからいただきましょう。

スコーン

スコーンは、ナイフを使わずに手で上下に半分に割ります。手で割るところが英国式です。スコーンはスコットランドの戴冠式に使われた「スクーンの石」をモチーフにしたお菓子という説があり、神聖なものにナイフを入れてはならないと言われています。

ジャムとクロテッドクリームをスコーンに塗る順番は、一般的に「ジャムファースト」と言われています。しかし、英国内でも議論があります。クロテッドクリームを先にのせるデヴォン式に対して、ジャムを先にのせるのがウェールズのコーンウォール式です。スコットランドなので、好きな順番で食べましょう。

アフタヌーンティーを最後まで食べるかどうか迷う方も多いと思います。ティーフーズは、19世紀に貴族のマダムが自宅でティーパーティーを開いた時に、「食べきれないほどお出しする」という考え方があったため、全部食べきらずに少し残すことがマナーだったそうです。ティールームの場合は気にせず食べましょう。

マッキントッシュ・デザインの素敵なウイロー・ティールームズで、エディンバラ城を見ながら美味しいスコットランド風のアフタヌーンティーを楽しんでください。

The Willow Tea Rooms
1st Floor, 120 Princes Street, Edinburgh EH2 4AD

文・写真=Sachiko

※掲載の情報は変更となる場合があります。

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