スイスの観光地、といえばアルプスの山々やハイジ村のあるマイエンフェルト、絶景の中を走る赤い山岳鉄道などがまず頭に浮かびますが、スイスにイタリア語圏が存在することはあまり知られていません。
何と言ってもスイスは多言語国家。九州ほどの面積しかない国なのに公用語が4つもあり、地域によってスイス方言ドイツ語(約62%)、フランス語(約23%)、イタリア語(約8%)、そしてロマンシュ語(約0.5%)が使われています(スイス連邦摘要2024年版より)。
そこで今回は、そんなスイス南部にあるイタリア語圏ティチーノ州(Ticino)の魅力についてご紹介したいと思います。
同じ国にいながら、まるで違う国へ来たような気分を味わえる、それがスイスのティチーノ。スイスの他地域に住む人々にとっても憧れの場所です。 暖かくてリゾート感溢れるこの土地に、定年後移住するのが一種のステータスなのだそう。
スイス東部チューリッヒ中央駅からは列車でおよそ 2時間半~3時間ほど。到着後に列車を降りれば、そこはスイスというよりイタリアンな空気。雰囲気や建物も南国風で、人々もフレンドリーです。
ティチーノ州といえば、ルガーノ(Lugano)やロカルノ(Locarno)といった町が観光地としてよく知られていますが、この地を愛する人はそれぞれにお気に入りの町や村があったりします。
ショッピングに人気のルガーノ
ロカルノはカンヌ映画祭やベネチア映画祭と並び、有名な映画祭が夏に行われる町として有名です。ロカルノ映画祭の会場となるピアッツア・グランデ(Piazza Grande)では、普段市場が開かれています。
毎年8月にロカルノ映画祭が開催されるピアッツア・グランデ
その他州都で世界遺産にも指定され、3つの城がある町ベリンツォーナ(Bellinzona)や南欧一大きなアウトレット「フォックスタウン(Fox Town)」があるメンドリージオ(Mendrisio)、アトリエなど芸術的なものが路地のあちこちにあるアスコーナ(Ascona)など、訪れるべき小さな町がたくさんあります。
アウトレット「フォックスタウン(Fox Town)」別館
カラフルなアスコーナの町並み
日本から遠い欧州を旅するとなると、限られた時間で行動する必要があるため過密スケジュールになりがち。でもここティチーノ州では、ゆったり暮らすように過ごすのがおすすめです。
町歩きをすれば、楽しげに道端で談笑する人たちや、湖のほとりのベンチに座って読書をしている人、芝の上で寝ころぶ人、「ボンジョルノ!」と明るく声をかけてくる市場の人などがいて、なんだか自分も長く暮らす住人になったような気分に。
スイスというより、南国リゾートの朝食風景のよう
町の通りには、お洒落なカフェやピッツェリア、ジェラート店があちこちにあり、立ち寄ってみたくなります。この美味しい誘惑に勝つのはほぼ不可能!
イタリア語圏なだけあり、ジェラート屋さんだらけ
食事もレストランで楽しむだけではなく、近くのスーパーでピザやパニーニなどをテイクアウトして、湖の湖畔で自由気ままにランチをしたり、夜は地元のティチーノ産ワインやビール、スイーツと共に、滞在ホテルのバルコニーなどでゆっくり過ごすのも良いかもしれません。
イタリアやスイスで食される菓子パン「パネットーネ」専門店も
雪山のイメージが強いスイスですが、ぜひ「南国」なスイスも体験しにきてくださいね!
夜のマッジョーレ湖