長野県の南部に位置する阿智村。人口6,000人ほどの小さなこの村が全国的に知られるようになったのは、平成18年(2006年)のこと。環境省が主催する「全国星空継続観察」で、「夜空の明るさが星の観測に適している場所」として1位になったのがきっかけだった。
認定された場所は、阿智村浪合(なみあい)。標高1,200mの山間に位置し、豊かな自然が広がり、澄み切った空気の中で輝く星が、最も輝いて見える場所として選ばれた。
屋外イベント会場からの眺め
それまで阿智村は、昭和48年(1973年)に発見された昼神温泉を中心とする観光業で栄えていたが、時代の流れと共に観光客も減少傾向にあった。そして、当時は当たり前にある星空で観光客を呼び込もうという考えには及ばなかったのだという。
けれども、スキー場である富士見台高原ヘブンスそのはらの若いスタッフは山頂に昇り、星空観賞を楽しんでいたというのだ。そこで、平成23年(2011年)には試験的に「星空ツアー」を実施。さらに、「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」を行い、以来年々訪れる人達も増えて、阿智村の星空の魅力は全国的に知られるようになった。
星空遊覧ゴンドラ
180度シアタールーム
「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」のスタートは、ゴンドラでの全長2,500m、高低差600m、所要時間約15分の星空遊覧から。辺りが街の灯から遠ざかり、星が見える数が増えていくほど、ワクワク感が高まってくる。
頂上駅に到着し、ゴンドラを降りればきらめく光の演出が出迎えてくれる。「EntranceZone(エントランスゾーン)の施設North Base(ノースベース)」には、阿智村の豊かな自然を大画面で楽しめる180度シアタールーム(12月~3月はクローズ)、宇宙へとつながるホール(穴)が広がるプラネットホールなどがあり、最初に阿智村の知識を得てから星空観察へと進むことができる。
屋外イベント会場
森の散歩道
星空観賞ができるのは、ExperienceZone(体験ゾーン)の屋外イベント会場だ。案内に従ってシートを敷き、観賞の準備をする。カウントダウンにより一瞬にして辺りは真っ暗に。頭上に美しく広がる満点の星空に、驚きの歓声と拍手が沸き上がった。ここからガイドさんによる20分の星空解説がスタート。プラネタリウムのようにレーザーで星を示してくれるので、初心者でも分かりやすく、楽しく星観賞ができるのがありがたい。
他にもプロジェクションマッピングで映し出された、カワウソをはじめ森中の妖怪や妖精が集まり踊り出す「森の散歩道」を歩いたり、星空のおみくじ(別料金)をひいたり、子供から大人まで楽しめる仕掛けが満載だ。
宙遊覧リフト
SilentZone(静寂ゾーン)では、星空撮影エリアのほかリクライニングチェアや天体望遠鏡(別料金)があり、ゆったりと静かに星を観賞できる、いわば大人の空間だ。また、SilentZoneからEntranceZoneまでの移動は宙遊覧(ソラユウラン)リフト(別料金)がおすすめ。足元に光る、まるで天の川のようなライトアップと、頭上にきらめく星を見ながら贅沢な時間を過ごすことができる。
展望デッキ ソライロからの雲海
人気を集める「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」だが、秋はさらに雲海が楽しめる「天空の楽園 雲海ハーバー」が行われる。夜明け前から早朝、ゴンドラ、展望台リフトを乗り継いでたどり着く標高1,600mの展望デッキ「ソライロ」では、遠く南アルプスまで広がる雲海を一望。さらに、早朝に輝く星空、紅葉に色づく山々、冠雪の南アルプスなど、この期間限定の風景に出会うことができる。
星空はもちろんのこと、美肌の湯で知られる昼神温泉や歴史ある寺社仏閣が残る阿智村。さらに秋の阿智村は、星空&雲海が楽しめる特別な季節。ぜひ今年の秋の行楽は阿智村へ。ここでしか見られない絶景を探しに出かけてみたい。
「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」
2025年3月30日まで
「天空の楽園 雲海ハーバー」
2024年10月12日~11月10日
※掲載の情報は変更となる場合があります。詳細は阿智村の公式サイトをご確認ください。