台湾 伝統市場がスタイリッシュに変身

海外現地ライター便り
2024年02月15日
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伝統市場というと、地元の人たちが食材を購入する場所というイメージですが、高雄の「鹽埕第一公有零售市場」は、そんなイメージをくつがえす、リノベーションされた新しいスタイルの市場です。レトロな雰囲気はそのままに、クラフトビールを片手にアレンジされた伝統料理をいただく、といった楽しみ方も。今回は、若者たちでにぎわう新しい市場をご紹介します。

「鹽埕第一公有零售市場」について

入り口にある台湾スイーツのお店「李家湯圓」。手作りの小さいお団子をトッピングしたかき氷などが味わえる 入り口にある台湾スイーツのお店「李家湯圓」。手作りの小さいお団子をトッピングしたかき氷などが味わえる

70年以上の歴史ある「鹽埕第一公有零售市場」は、もとは伝統的な市場でしたが、風通しの悪さ、照明の暗さ、水漏れなど老朽化の原因から2022年に修復され、約8ヶ月かけて新たな市場として再生しました。

細い通りに昔から営業しているお店や新しいお店が並ぶ 細い通りに昔から営業しているお店や新しいお店が並ぶ

2022年に行われた台湾クリエイティブエキスポの一環として修復されたこの市場は、肉や野菜、惣菜などを売る伝統的な市場とは違って、レトロな雰囲気の中で、若者が新しい発想でグルメや雑貨などを提供しています。

ゆっくり散策するのがおすすめ ゆっくり散策するのがおすすめ

自然の風や光が入るように設計されたモダンなデザインの市場には、若者が経営する創意工夫のある新形態のグルメや雑貨などの屋台が10軒以上入っています。

「鹽埕第一公有零售市場」の特徴

自然の光が差し込む市場内 自然の光が差し込む市場内

手作り雑貨を販売する屋台。野菜や果物のキーホルダーなども 手作り雑貨を販売する屋台。野菜や果物のキーホルダーなども

野菜や肉などの食材や惣菜などを売る伝統的な市場とは違って、実際の肉や野菜ではなく、肉や野菜の食品サンプルの手作りキーホルダーが置かれていたりするのがユニークです。

一坪の展示スペース 一坪の展示スペース

市場内には、パブリックスペースとして講演会や交流会、パフォーマンス等を行うイベントのスペースや一坪の簡単な映像やアートなどの展示スペースがあるところも特徴です。2022年台湾設計展に合わせてこの場所で行われたイベントには、2日間で約10万人が訪れ、市場が新たな観光スポットとなりました。

伝統的な屋台料理を新しいスタイルで楽しむ

代替文

「山壹旗魚食製所」で提供しているのは、伝統的な「黒輪」という食べ物です。「黒輪」とは長い棒状の魚の練り物のことで、台湾語で「Oren」のように発音します。日本語の「おでん」に似た発音で、その名の通り、おでんの具として入っていることもあり、台湾ではポピュラーな食べ物です。「旗魚(カジキ)」を使った「黒輪」は、その場で揚げて塩コショウで味を付ける屋台料理として、南部ではおやつにも食べられています。

「黒輪」などの盛り合わせ「蒸炸綜合」 「黒輪」などの盛り合わせ「蒸炸綜合(台湾ドル100元)」

「山壹旗魚食製所」では、その場で揚げるカジキの「黒輪」にシューマイなどが美しく盛り合わせたものを販売。台湾式のアフタヌーンティーを提供する趣向で、近くのカフェでオーダーしたドリンクなどを持ち込んで「黒輪」と一緒にいただくことができます。

右上の茶色の木製のものが「紅龜粿」の押し型(亀の甲羅模様) 右上の茶色の木製のものが「紅龜粿」の押し型(亀の甲羅模様)

伝統的な米粉を原料とする「粿」という食べものを販売する屋台「食好粿大富粿」は、おばあちゃんから受け継いだ伝統を守りながらも、これまでの赤い食用色素から果物の自然の色素を使用するなど、伝統食を健康的なものに改良。現在、お参りの時期以外は市場などで見かけなくなった「粿」をいつでも味わうことができます。

蒸したものが並べられている 蒸したものが並べられている

客家の草もち「草仔粿」や亀に似せて作られた小豆餡の「紅龜粿」、タロイモと豚肉が入った「芋粿巧」の3種類を販売。どれも一つ台湾ドル50元で、おやつにもぴったりです。

創作台湾料理には、その日だけの特別メニューもある 創作台湾料理には、その日だけの特別メニューもある

オーダーしてからその場で作るので少し待つことも オーダーしてからその場で作るので少し待つことも

オリジナルカクテルやドリンクと共に台湾創作料理が味わえるのが「空腹虫大酒家」。おつまみに合う料理として、地元の食材を使って作り出されたメニューは、他では味わえない特別なものばかりです。看板メニュー「包葉仔(台湾ドル80元)」は、ビンロウを包むキンマの葉を揚げたものを豚肉に合わせたもの。ブラックペッパーのスパイシーな味ですが、柔らかい肉を一口噛むと、キンマのハーブのような味が口の中に広がります。中でも特別なメニューが揚げトマト「炸蕃茄(台湾ドル60元)」。揚げたトマトに生姜、とろみ醤油などがかかっています。外はカリッとしていて、中は柔らかい特別な食感です。

ミニマムチャージ(最低消費額)は一人100元 ミニマムチャージ(最低消費額)は一人100元

ノンアルコールカクテル「李鹹氣泡飲(台湾ドル80元)」には、このエリアにあるかき氷の老舗「婆婆冰」のスモモの砂糖漬けがのっています。甘酸っぱく、暑さを和らげてくれるドリンクです。ドリンクメニューには、オリジナルカクテルが数種類あります。8席しかなく予約はできませんが、満席でも席が空くのは早いので、しばらく待つか、または隣の空きスペースに持って行って味わってみてください。

環境に配慮し、量り売りをしている屋台 環境に配慮し、量り売りをしている屋台

「鹽埕第一公有零售市場」では、若者が新しい発想で、屋台で売られているものをカフェ的にアレンジしたり、通常の屋台では見かけないクラフトビールを販売したりしています。また、グルメだけでなく、雑貨などを作り出しているので、お土産探しにもおすすめです。月曜日はお休みのお店が多く、月曜日と火曜日は14:00までなので、できれば月曜日と火曜日以外に行くことをおすすめします。

いろいろな屋台のものを少しずつ楽しめる いろいろな屋台のものを少しずつ楽しめる

食べ物だけでなく、雑貨を売るお店も 食べ物だけでなく、雑貨を売るお店も

お土産探しにもおすすめ お土産探しにもおすすめ

市場の新しいスタイルが楽しめる「鹽埕第一公有零售市場」。屋台でアフタヌーンティーを楽しんだり、お酒と一緒に伝統料理をいただいたり、普通の伝統市場とは違った楽しみ方があります。ぜひ高雄観光の一つに加えてみてくださいね。

「鹽埕第一公有零售市場」
住所:高雄市鹽埕區瀨南街141之7號
営業時間:8:00~21:00(月・火~14:00)

文・写真= 千里

※掲載の情報は変更となる場合があります。

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