動物の足跡が残る鳥取砂丘 写真提供=鳥取県
砂丘というと夏、灼熱の太陽がまず思い浮かぶかもしれない。写真は、冬の鳥取砂丘の景色。鳥取県は豪雪地帯で12月中旬になると雪が降り出し、一面に広がる銀世界を楽しむことができる。イメージを覆す雪に覆われた鳥取砂丘。冬には、自然が生み出した圧巻の風景が待っている。
風紋 写真提供=鳥取県
鳥取砂丘は鳥取県鳥取市の日本海沿岸に広がる砂丘のこと。鳥取市岩戸~白兎までの東西16km、南北2.4kmに広がり、最大高低差が90mという日本最大級の砂丘だ。昭和30年(1955年)に山陰海岸国定公園に指定。また、同年には、世界的にも珍しい大きな起伏、砂丘独特の地形(風紋・砂簾・砂柱、スリバチ)、植物群落があることなどから学術的にも高く評価され、国の天然記念物に指定。昭和38年(1963年)には山陰海岸国立公園にも指定された。
砂簾 写真提供=山陰海岸国立公園鳥取砂丘ビジターセンター
鳥取砂丘の砂は中国山地の花こう岩などが風化したもので、この砂は雨によって千代川へ流出し、日本海へ運ばれて海底に堆積。沿岸流と波の働きによって岸に打ち上げられ、北西の風によって内陸へと運ばれる...というサイクルを繰り返すことによって出来上がったと考えられている。その歴史は約14~15万年前まで遡るのではないかともいわれる。
馬の背 写真提供=鳥取県
鳥取砂丘は東から、福部砂丘、浜坂砂丘、千代川を挟んで湖山砂丘、末恒砂丘の4つの砂丘で構成される。観光客が訪れているのは浜坂砂丘の一部で、唯一戦後の開発から逃れ、天然記念物に指定された当時の面影を残しているといわれる。3つの「砂丘列」があり、中でも中央部に長く横たわる「第二砂丘列」は「馬の背」と呼ばれる丘で、傾斜32度・海抜約47m。登るのはなかなか大変だが、急な坂を上りきると日本海を一望。雄大な自然を体感することができる。
オアシス 写真提供=山陰海岸国立公園鳥取砂丘ビジターセンター
砂丘では降った雨は地下に浸透し地下水として蓄積される。この地下水が湧き出して「馬の背」の下にオアシスができる。雨や雪の量が多いときは、1mを超える深さになることもあり、天気の良い日には水面には周囲の風景が映り込む素晴らしい風景を楽しむことができる。夏の暑い時期は水が蒸発してしまうことから、特に晩秋から春にオアシスが現れ、冬ならば大きなオアシスにも出会う確率も高くなる。
波模様の雪景色 写真提供=鳥取県
雪の鳥取砂丘を訪れるのならば、やはり天気のよい日がいいだろう。青い空と真っ白な砂丘のコントラストがすばらしい。「馬の背」にのぼって日本海を見下ろせば、青い海と真っ白な砂丘の風景を楽しむことができる。また、積もった雪と風がつくる美しい波模様の雪景色も砂丘ならではの風景だ。
鳥取砂丘は鳥取を代表する名所だ。一度夏に訪れたという人も多いだろう。これから寒さのピークを迎える鳥取県。まるで海外にいるかのようなダイナミックで幻想的な風景に出会える冬の鳥取砂丘は、夏とは違った感動を与えてくれる。